婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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討伐の旅 21

慌ただしく支度を終え、軍馬に跨がる。
大分慣れたのか、暴れる事なく俺を乗せてくれている。
俺達はシュバルツバルト候の後を付いて行くだけの旅だ。
彼等が動いて初めて動く、ゆるゆると動いた事で彼等が動いた事を知る。
そしてゆっくりと進む。
無言で前を進む兵士達を見たり、景色を見ながら進む。
そして大分進んだ頃、ふいに止まった。

「おかしいですね……こんな事は無いのですが……殿下、少し様子を見てまいります。」

シュタインはそう言うと馬を走らせ行ってしまった。
どれだけの時間が掛かったのだろう、大慌てで戻って来たシュタインは荒い息のまま俺の隣に来ると一気に話し出した。

「まず、この先に町があります……と言っても、昨日の村より少し大きい位ですが石壁で囲っているだけあって魔物に襲われる危険は少ないです。町の中に街道が通っているので、街道利用者は町で泊まったり休んだりと町の活性化に繋がってますが私達の事を考えたシュバルツバルト候が通過しようとした所町側がそれを拒否しました。シュバルツバルト候は街道を外れ、迂回路を作りながら野営すると候の隊員から聞きました。私達は町を利用して欲しいとの事です。昨晩の事もあり、少しゆっくり休めるように配慮した方が良いとも仰られました。なので順次町に入り、宿を利用するよう各伝令に伝えました。殿下もゆっくりなさって下さい。」

「勝手に決めたのか……」

何も考えずに、ついポロリと思った事が口から出てしまった。
シュタインは怒るでもなく、ただ俺の顔を見た。

「殿下が何年も討伐隊の隊長を為さっていたのなら、このように勝手に指示を出さなかったでしょう。ですが、殿下は初めてです……兵士達の事を何一つ把握してない以上、私が勝手に指示を出す事の何がいけないのでしょう?」

「そうだな……俺は、思った事をつい口に出す癖があるようだ。悪気はなかった、許してくれ。」

俺は率直にシュタインに謝った。
シュタインは苦笑いをしながら、少しだけ前に出る。

「えぇ、分かってます。殿下は幼い、同い年の貴族子弟ならばもっと駆け引きや何かをするのに殿下は全く為さらない。殿下はもっと知るべきです、様々な事を……さぁ、動き出しましたよ行きましょう。」

俺は無言で頷き、ついて行く。
討伐隊は町に吸い込まれるように入っていった。
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