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討伐の旅 23
何日もかけて大分進んで来た、このまま行けば最も遠い王家直轄地にたどり着く。
おそらくそこが目的地なのだろう。
今までずっと、夜は村や町街等俺自身が野営する事無くきたがとうとう野営地で寝泊まりする事になった。
兵士達が野営地を囲むように魔物除けの杭を打ちつける音が、あちらこちらから聞こえる。
野営地の端に来て、先行しているシュバルツバルト候の野営地まではほんの僅かな距離しか離れてない。
向こうから聞こえる楽しそうな声や笑い声が、無性に羨ましく感じる……あの中にエリーゼが居る……あの皇子と一緒に。
こちらの魔物除けの杭とあちらの魔物除けの杭の間の距離は、馬一頭位か……こんなに近付ける意味があるのだろうか?
「殿下……あっちは楽しそうですね。」
いつの間にかジョシュアが後ろから近付いて来ていた。
「そうだな。」
「こんなに近いなら、一緒に野営してくれれば良いのに……」
バカな事を言っている……シュバルツバルト候は自分達の領民や寄子貴族ばかりだ。
そこに誰ともつかない兵士達を招き入れる訳が無い事に気付かないのか?……気付く訳ないか……俺だって思った……一緒に野営してくれれば、どれだけ心強いか。
「無理だろう、向こうは顔見知りばかりだろう。遊びに来てる訳じゃないんだ、甘える事は出来ない。」
もし……もし、俺がエリーゼと婚姻していたなら一緒に入れただろう……でも、俺はもうエリーゼと婚姻する事は許されないだろう。
すぐ先のシュバルツバルト候の野営地の在り方は、色々違う事が良く分かる。
最も豪華な馬車が一番外側に配置されている……馬車と馬車の間に軍馬が並べられて休んでいる。
軍馬達の間から豪華な馬車がある……多分、寄子貴族の馬車だろう……なぜ、最も守られるべき侯爵家の馬車が一番外側なのだろう。
無言でシュバルツバルト候の野営地を見ている俺とジョシュア。
「殿下、不思議そうな顔ですな。何故あちらの野営地は外側が侯爵家の馬車なのか?と思ってますか?」
振り返って声を掛けてきたシュタインを見つめる。
「シュバルツバルト候とご家族の馬車には、王都外壁に使われるような強力な魔物除けが施されているんですよ。大型すら寄って来ないような魔物除けです、ああやって外側に配置する事で同道する者達を守ってるんですよ……それに私達も僅かですが恩恵を受けれるんですよ、本当ならもっと離れた場所に構えなければならないのにこれ程近くに設営しても文句の一つも無く黙認してくれている。ありがたい事です。」
俺は何も言えなかった、ジョシュアの顔を見れば驚いたままだった。きっと本来はもっと離れていた事に驚いたんだろう、俺だってもっと離れていたら不安で眠る事すら出来ないだろう。
俺はシュバルツバルト候の野営地を見て、思い知らされた。
あの豪華な馬車はただ豪華な馬車じゃない事、同道する者達に対しての考え方や行い……これだけでも侯爵の人となりが分かる……侯爵を見て育ったエリーゼは俺をどんな思いで見ていたんだろう。
キリキリと胸が痛む……ジョシュアの肩を軽く叩いて、野営地の天幕が張られた方へと歩き出す。
「色々とありがとう、シュタイン。」
シュタインは静かに頭を下げ、早足で俺たちの野営地中央へと向かった。
ノロノロと歩く俺たちをおいて。
おそらくそこが目的地なのだろう。
今までずっと、夜は村や町街等俺自身が野営する事無くきたがとうとう野営地で寝泊まりする事になった。
兵士達が野営地を囲むように魔物除けの杭を打ちつける音が、あちらこちらから聞こえる。
野営地の端に来て、先行しているシュバルツバルト候の野営地まではほんの僅かな距離しか離れてない。
向こうから聞こえる楽しそうな声や笑い声が、無性に羨ましく感じる……あの中にエリーゼが居る……あの皇子と一緒に。
こちらの魔物除けの杭とあちらの魔物除けの杭の間の距離は、馬一頭位か……こんなに近付ける意味があるのだろうか?
「殿下……あっちは楽しそうですね。」
いつの間にかジョシュアが後ろから近付いて来ていた。
「そうだな。」
「こんなに近いなら、一緒に野営してくれれば良いのに……」
バカな事を言っている……シュバルツバルト候は自分達の領民や寄子貴族ばかりだ。
そこに誰ともつかない兵士達を招き入れる訳が無い事に気付かないのか?……気付く訳ないか……俺だって思った……一緒に野営してくれれば、どれだけ心強いか。
「無理だろう、向こうは顔見知りばかりだろう。遊びに来てる訳じゃないんだ、甘える事は出来ない。」
もし……もし、俺がエリーゼと婚姻していたなら一緒に入れただろう……でも、俺はもうエリーゼと婚姻する事は許されないだろう。
すぐ先のシュバルツバルト候の野営地の在り方は、色々違う事が良く分かる。
最も豪華な馬車が一番外側に配置されている……馬車と馬車の間に軍馬が並べられて休んでいる。
軍馬達の間から豪華な馬車がある……多分、寄子貴族の馬車だろう……なぜ、最も守られるべき侯爵家の馬車が一番外側なのだろう。
無言でシュバルツバルト候の野営地を見ている俺とジョシュア。
「殿下、不思議そうな顔ですな。何故あちらの野営地は外側が侯爵家の馬車なのか?と思ってますか?」
振り返って声を掛けてきたシュタインを見つめる。
「シュバルツバルト候とご家族の馬車には、王都外壁に使われるような強力な魔物除けが施されているんですよ。大型すら寄って来ないような魔物除けです、ああやって外側に配置する事で同道する者達を守ってるんですよ……それに私達も僅かですが恩恵を受けれるんですよ、本当ならもっと離れた場所に構えなければならないのにこれ程近くに設営しても文句の一つも無く黙認してくれている。ありがたい事です。」
俺は何も言えなかった、ジョシュアの顔を見れば驚いたままだった。きっと本来はもっと離れていた事に驚いたんだろう、俺だってもっと離れていたら不安で眠る事すら出来ないだろう。
俺はシュバルツバルト候の野営地を見て、思い知らされた。
あの豪華な馬車はただ豪華な馬車じゃない事、同道する者達に対しての考え方や行い……これだけでも侯爵の人となりが分かる……侯爵を見て育ったエリーゼは俺をどんな思いで見ていたんだろう。
キリキリと胸が痛む……ジョシュアの肩を軽く叩いて、野営地の天幕が張られた方へと歩き出す。
「色々とありがとう、シュタイン。」
シュタインは静かに頭を下げ、早足で俺たちの野営地中央へと向かった。
ノロノロと歩く俺たちをおいて。
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