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討伐の旅 33
日はすっかり落ち、空に星が瞬きあちらこちらにかがり火が炊かれている。
シュタインはどんな気持ちで俺の隣に居たんだろう。
多くの事を知らされ、まだ良く分かってない。でも、俺の正妃はマリアンヌだ……その正妃を蔑ろにする事は出来ない。側妃の二人を大切に扱う事位しか両貴族に対しての責任が取れない。臣籍降下になる道も無い。このまま王子として暮らすしか無い。それでも何がしか努力しなければ、側妃達を取り上げられ俺と正妃は処分されるだろう。
この討伐の旅で感じたのは、思いのほか過ごしやすかった事。
きっと俺は王子なんて立場じゃなければ……そうだ、王子でなければこんな風に兵士か何かになって生きただろう。
好きな女と婚姻して家庭を持っただろう。
街並みを見ると悔しく悲しい気持ちになる、灯り一つついてない街並み。
これ程迄に立派な街並みを捨てた、シュバルツバルト侯爵の気持ちや思い切り……どれだけの金を注ぎ込んだのか想像もつかない。それだけじゃない、どれ程の邸を建てるつもりだったのだろう……玄関ホールであろう所だけでも、かなり広い。これら全てを捨てても構わない程にシュバルツバルト侯爵はエリーゼを愛し気持ちを尊重した。
いや、エリーゼは知っていたのか?…………これ程の物を捨てさせても良いと思っていたのか?…………それとも…………それとも、捨てても構わない程失望させたのか…………
そうだ……俺は何一つエリーゼの言葉を聞かなかった。何一つもだ。
『お噂は聞き及んでおります。殿下はどうお考えで、どうなさるおつもりなのですか?』
何度か言われた言葉だった。その言葉に俺はいつでも、煩いだの黙れだの言って逃げた。まともな事は何一つ言わなかった。辞めろとも付き合うなとも言って無かった……いつでも俺の考えを気持ちを聞いてくれていたのに。
グイと目元を拭って、前を向く……泣いてようが何してようが腹が減るってのは何だろうな。
最後に見たエリーゼは今まで見た中で一番美しかったな……あんなに美しく微笑むなんて知らなかった。
あの日、俺だけじゃない討伐隊全員に惜しげ無く贅沢な魚介を振る舞ってくれたのはエリーゼからの申し出だったと後から教えられて驚いた。
…………シュバルツバルト侯爵と夫人の恐ろしさは身に染みたが…………でも、侯爵は恐ろしいだけじゃなかった。
『努力せねばジャスティンも救われぬ!せいぜい足掻いて努力せよ。』
父上とは学園からの友人だと教えられていた。侯爵からすれば俺は友人の息子でもあった。
麓に向かい歩き出す。
「はは……腹が空くなぁ…………」
生きてるから腹が空くんだよな……ジョシュア、ミヒャエルまだ、お前達の所には行けないよ。
そうして俺は赤々と燃える火が見える竃へと向かった。
シュタインはどんな気持ちで俺の隣に居たんだろう。
多くの事を知らされ、まだ良く分かってない。でも、俺の正妃はマリアンヌだ……その正妃を蔑ろにする事は出来ない。側妃の二人を大切に扱う事位しか両貴族に対しての責任が取れない。臣籍降下になる道も無い。このまま王子として暮らすしか無い。それでも何がしか努力しなければ、側妃達を取り上げられ俺と正妃は処分されるだろう。
この討伐の旅で感じたのは、思いのほか過ごしやすかった事。
きっと俺は王子なんて立場じゃなければ……そうだ、王子でなければこんな風に兵士か何かになって生きただろう。
好きな女と婚姻して家庭を持っただろう。
街並みを見ると悔しく悲しい気持ちになる、灯り一つついてない街並み。
これ程迄に立派な街並みを捨てた、シュバルツバルト侯爵の気持ちや思い切り……どれだけの金を注ぎ込んだのか想像もつかない。それだけじゃない、どれ程の邸を建てるつもりだったのだろう……玄関ホールであろう所だけでも、かなり広い。これら全てを捨てても構わない程にシュバルツバルト侯爵はエリーゼを愛し気持ちを尊重した。
いや、エリーゼは知っていたのか?…………これ程の物を捨てさせても良いと思っていたのか?…………それとも…………それとも、捨てても構わない程失望させたのか…………
そうだ……俺は何一つエリーゼの言葉を聞かなかった。何一つもだ。
『お噂は聞き及んでおります。殿下はどうお考えで、どうなさるおつもりなのですか?』
何度か言われた言葉だった。その言葉に俺はいつでも、煩いだの黙れだの言って逃げた。まともな事は何一つ言わなかった。辞めろとも付き合うなとも言って無かった……いつでも俺の考えを気持ちを聞いてくれていたのに。
グイと目元を拭って、前を向く……泣いてようが何してようが腹が減るってのは何だろうな。
最後に見たエリーゼは今まで見た中で一番美しかったな……あんなに美しく微笑むなんて知らなかった。
あの日、俺だけじゃない討伐隊全員に惜しげ無く贅沢な魚介を振る舞ってくれたのはエリーゼからの申し出だったと後から教えられて驚いた。
…………シュバルツバルト侯爵と夫人の恐ろしさは身に染みたが…………でも、侯爵は恐ろしいだけじゃなかった。
『努力せねばジャスティンも救われぬ!せいぜい足掻いて努力せよ。』
父上とは学園からの友人だと教えられていた。侯爵からすれば俺は友人の息子でもあった。
麓に向かい歩き出す。
「はは……腹が空くなぁ…………」
生きてるから腹が空くんだよな……ジョシュア、ミヒャエルまだ、お前達の所には行けないよ。
そうして俺は赤々と燃える火が見える竃へと向かった。
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