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旅の合間 (ある仕立て屋のおかみのひとりごと)
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うちのダンナが侯爵様の領地に行く!と決めたのは、侯爵令嬢のエリーゼ様が婚約破棄されて数日たった日の夜だった。
うちは仕立て屋でお針子もそれなりに抱えてる。
侯爵様の家はうちの上得意様で、使用人はもとより使用人の子供達用の服も沢山注文してくれて助かっていた。
仕立て屋仲間からは羨ましがられる程の上得意様の侯爵様が大臣を辞めて、遠く離れた領地に帰るという話はエリーゼ様の婚約破棄の事を聞いた翌日に流れて来た。
だから、ダンナの決断の早さにアタシは喜んだ。
エリーゼ様の婚約破棄から少しずつ王都の雰囲気がおかしくなってきたから。
イヤな噂はあちこちから流れるし、うちの仕立て屋は侯爵様があって何とかやれてるから。
侯爵様が領地に帰る時、一緒に連れて行って下さいと言ってきたと店で話した時お針子達全員が自分達も一緒に行きたいって言いだしたのには驚いたね。
侯爵様は私達が付いていく事を快く許してくれて、ダンナ共々喜んだね!
いざ王都を旅立つ時はあまりの数の多さに驚いたし、景気良く飲み食いする物を振る舞ってくれたのも嬉しかったよ。
うちのお針子はみな若い娘だが、夫と小さい子供のいる娘ばかりでアタシの娘とそう変わらない娘ばかり。そんなうちの娘も夫とまだ幼い子供二人抱えて、店でお針子として働いてる。
まだまだ若いもんだから金も大してなくて、侯爵様について行くにも歩いていくのかと不安になったもんだからダンナに言って安い荷馬車を二台買った。
元々あったうちの荷馬車二台と合わせて四台、一台は仕立ての布や道具でいっぱいになった。
残り三台のうち、アタシとダンナと娘夫婦と子供の六人と家財道具一切合切。残り二台にお針子達とその家族と家財道具を詰め込んだ。
それでもまだ余裕があって、ヤレヤレと思ったもんさ。
王都を出る時は泣けて泣けて、仕方なかったけどその日の内になくなっちゃって大変のがバカらしくなった。
野営って言って休むたんびに、食べた事のない豪華で美味しい物をたーくさん振る舞ってくれてさ!
魔物が出るって道を沢山の領兵に守って貰って、美味しい食べ物食べさせて貰って!
でも一番の驚きは甘い物だよ!
初めて食べる甘い物は、ほっぺたが落ちるかと思ったよ!
ダンナはお貴族様も初めてだってよ!と大喜びでアタシ達に言いふらして騒いだ。
アタシ達平民が軽々しく口に出来るような物じゃない上等な物を毎日食べさせて貰う。
夜は夜で中っ側に荷馬車を停めさせられ、危ない事が無いようにして貰う。
そんな毎日をずっと過ごしてきて、突然一日ここで野営するって言われてどうするのかと思ったら領兵の人達がみんなの荷馬車やら箱馬車を修理したりしてくれて……
馬達もゆっくり休ませられて、疲れを取って貰って嬉しそうだったよ。
後もう一日ここで野営するって言われて、それまた驚いたけどね。
子供達は子供達で仲良くなって、一緒に遊んだり歌ったり字を教えて貰ったりしてた。
ダンナは度々領兵の人達から話を聞いて、侯爵様の領地は恐ろしい魔物が沢山出るけど沢山の領兵で守ってるから安心して商売をやると良いと聞かされたと何度も言った。
「ばあちゃん!これ!エリーゼ様がみんなにって!」
娘夫婦の下の子は無邪気な顔をして、手に何か握って走り寄って来た。
差し出された手に入っていたのは、キレイな色した丸いもの。
「これは何だい?」
「飴だって!キレイだね!甘いんだよ、ばあちゃん!はいっ!」
一粒アタシの手に乗せると、娘夫婦の子は残った一粒を口に入れた……嬉しそうに、幸せそうに。
アタシも嬉しくて、口に入れた。
「ああ、甘くて美味しいねぇ。ありがとねぇ。」
こんなに幸せなら、きっと大丈夫。早く侯爵様の領地に行きたいねぇ。
うちは仕立て屋でお針子もそれなりに抱えてる。
侯爵様の家はうちの上得意様で、使用人はもとより使用人の子供達用の服も沢山注文してくれて助かっていた。
仕立て屋仲間からは羨ましがられる程の上得意様の侯爵様が大臣を辞めて、遠く離れた領地に帰るという話はエリーゼ様の婚約破棄の事を聞いた翌日に流れて来た。
だから、ダンナの決断の早さにアタシは喜んだ。
エリーゼ様の婚約破棄から少しずつ王都の雰囲気がおかしくなってきたから。
イヤな噂はあちこちから流れるし、うちの仕立て屋は侯爵様があって何とかやれてるから。
侯爵様が領地に帰る時、一緒に連れて行って下さいと言ってきたと店で話した時お針子達全員が自分達も一緒に行きたいって言いだしたのには驚いたね。
侯爵様は私達が付いていく事を快く許してくれて、ダンナ共々喜んだね!
いざ王都を旅立つ時はあまりの数の多さに驚いたし、景気良く飲み食いする物を振る舞ってくれたのも嬉しかったよ。
うちのお針子はみな若い娘だが、夫と小さい子供のいる娘ばかりでアタシの娘とそう変わらない娘ばかり。そんなうちの娘も夫とまだ幼い子供二人抱えて、店でお針子として働いてる。
まだまだ若いもんだから金も大してなくて、侯爵様について行くにも歩いていくのかと不安になったもんだからダンナに言って安い荷馬車を二台買った。
元々あったうちの荷馬車二台と合わせて四台、一台は仕立ての布や道具でいっぱいになった。
残り三台のうち、アタシとダンナと娘夫婦と子供の六人と家財道具一切合切。残り二台にお針子達とその家族と家財道具を詰め込んだ。
それでもまだ余裕があって、ヤレヤレと思ったもんさ。
王都を出る時は泣けて泣けて、仕方なかったけどその日の内になくなっちゃって大変のがバカらしくなった。
野営って言って休むたんびに、食べた事のない豪華で美味しい物をたーくさん振る舞ってくれてさ!
魔物が出るって道を沢山の領兵に守って貰って、美味しい食べ物食べさせて貰って!
でも一番の驚きは甘い物だよ!
初めて食べる甘い物は、ほっぺたが落ちるかと思ったよ!
ダンナはお貴族様も初めてだってよ!と大喜びでアタシ達に言いふらして騒いだ。
アタシ達平民が軽々しく口に出来るような物じゃない上等な物を毎日食べさせて貰う。
夜は夜で中っ側に荷馬車を停めさせられ、危ない事が無いようにして貰う。
そんな毎日をずっと過ごしてきて、突然一日ここで野営するって言われてどうするのかと思ったら領兵の人達がみんなの荷馬車やら箱馬車を修理したりしてくれて……
馬達もゆっくり休ませられて、疲れを取って貰って嬉しそうだったよ。
後もう一日ここで野営するって言われて、それまた驚いたけどね。
子供達は子供達で仲良くなって、一緒に遊んだり歌ったり字を教えて貰ったりしてた。
ダンナは度々領兵の人達から話を聞いて、侯爵様の領地は恐ろしい魔物が沢山出るけど沢山の領兵で守ってるから安心して商売をやると良いと聞かされたと何度も言った。
「ばあちゃん!これ!エリーゼ様がみんなにって!」
娘夫婦の下の子は無邪気な顔をして、手に何か握って走り寄って来た。
差し出された手に入っていたのは、キレイな色した丸いもの。
「これは何だい?」
「飴だって!キレイだね!甘いんだよ、ばあちゃん!はいっ!」
一粒アタシの手に乗せると、娘夫婦の子は残った一粒を口に入れた……嬉しそうに、幸せそうに。
アタシも嬉しくて、口に入れた。
「ああ、甘くて美味しいねぇ。ありがとねぇ。」
こんなに幸せなら、きっと大丈夫。早く侯爵様の領地に行きたいねぇ。
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