婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
259 / 756

青氷の薔薇 15 注意!このお話は過去のお話です!

しおりを挟む
ひとしきり見て回り、どうにか帝国に流通出来ないか考える。もし、帝国に流通させる事が出来たのならば私がハインリッヒ様の元に留まる事が可能になる。
チラリと横で楽しそうにアレックスと話すハインリッヒ様を見る。この男の子を孕み、帝国と王国の流通を握れば……私は隣に居るエミリに目配せし小声で伝える。「私はハインリッヒ様を何が何でも手に入れる。」対するエミリの返事は「私はアレックスを頂きます。」主従同士ならば、回りは文句のつけようも少なかろう。

「素敵ね、エミリ。」

「はい、フェリシア様。」

私達は年若い娘らしくホホホ……フフフ……と笑い合った。

「ん?素敵……ですか。やはり公爵家令嬢ともなると、目が肥えてらっしゃる。この部屋の物の殆どは効果が付与されているので、より生存率が上がるので高い金を出しても欲しがる者が後を絶たないんですよ!」

効果が付与されている。何の効果だろうと、大抵は有益な効果が殆ど……皇帝に献上すれば覚え目出度いと言うものだ。最も我がシルヴァニア家には覚え目出度い事など必要無い事だが。

さて、楽しい時間はあっという間だ。

「そろそろ良い時間です。街長の屋敷に戻りましょう。」

「ハインリッヒ様も街長の屋敷にお泊まりなのですか?」

間髪入れずここで聞いておかないと……

「ええ。安心して下さい。フェリシア様のお部屋からは最も遠い、屋敷の左端の部屋ですから。」

まぁ……ご自分から部屋の位置を仰るなんて……私に訪ねて来いと言う事ですね!

「まぁ……ハインリッヒ様ったら。でも何故、私の部屋が分かりましたの?」

ちょっと照れたお顔で微笑んで……可愛らしい方……

「フェリシア様のお部屋が二番目に良い客室だからです。申し訳ない、私が一番良い客室を使わせて頂いて。」

なる程……次期領主として、そこは譲る事が出来ない程……と言う事ですね。このシュバルツバルト侯爵家と言うのは、余程領民を大事にし又領民から慕われているのだな。
では令嬢らしく優雅に微笑み、可愛らしく見えるようにしなければ……な。

「いいえ、ハインリッヒ様は殿方ですもの一番良い客室で良いのですよ。私もっとハインリッヒ様とお喋りしたいわ、お時間作って頂ける?」

少しびっくりしたお顔も良いわ……

「勿論です。その……食事の後でも?」

「まぁ!嬉しい!勿論ですわ。ゆっくりお喋り致しましょう!王国の事は知らない事が多いんですもの、教えて下さいませね!」

優しい笑みで頷いて下さったハインリッヒ様。
ゆっくり……ゆっくりお喋り致しましょうねぇ……ハインリッヒ様。
しおりを挟む
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。 こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。 完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。 この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。 ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。 彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。 ※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)

処理中です...