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華のように 3 (キャスバルの思い出)
次期領主として早朝からの体力作りに訓練。湯浴みを行い身支度を整え、朝食を取ったら座学の時間。
父上が治める我がシュバルツバルト領は広い。広い上に大きな魔物が出る。他領には殆ど出ないのにだ。だが我が領はこの大きな魔物のおかげで帝国との貿易を行い、多大なる恩恵を受けてる。
領主として必要な事が多くて、沢山の事を学ぶのは大変だが楽しくもある。
「キャスバル様は覚えが良くて教え甲斐があります。さて、そろそろ私めはお暇する時間です。では、失礼致します。」
「本日もありがとうございました、先生。」
立ち上がり自室から出て行く先生に礼を述べて扉まで送って行く。メイド達が休憩の為のお茶や軽食をソファセットのテーブルに準備している、二人分を。
扉の所で暫し待つ。コンコンコンと小さなノック、俺の大事なお姫様が来た合図。自ら扉を開け、招き入れる。
「キャスアルお兄ちゃま、ごほんをよんでくだしゃいませ。」
三歳になるエリーゼは俺のお茶の時間にやって来る。以前、座学の時間に来て母上から言い含められてからエリーゼは俺のお茶の時間に来るようになった。別に座学の時間に来たって構わないのに。
エリーゼの後ろに立つ乳母はニコニコしながら見守っている。
「今日は何の本かな?」
エリーゼと共にソファへと向かう。先に座り大人しく待っているエリーゼを抱き上げ、膝の上に座らせる。以前、横に座らせたら癇癪を起こして泣き出した。「あたちのちゅわるとこはにーたまのおひじゃのうえぇ!」そう叫んだ俺のお姫様の言葉を聞いてからずっと、エリーゼは俺の膝の上にちょこんと座り俺にくっついてお茶の時間を過ごす。
「おちにいりなの!」
ここ最近のお気に入りの本。『タークとマーユの冒険譚~』昔々の物語だけど、母上だけは笑って『本当のお話よ。』と言っていた。なぜかエリーゼはこの冒険譚が好きで、結構巻数がある物語だ。
膝の上にちょこんと座り、俺の腕の中母上と同じ色の瞳をキラキラさせながら俺の読む物語を夢中で聞いている。
一回見開き分と決めている。見開き分を読み聞かせた後、必ずエリーゼは単語を指さし言葉を聞いてくる。こうやって文字や単語をどんどん覚えていくエリーゼは、うんと賢くなると思う。
今日もあれこれ指さして聞いてくる、俺は分かり易いように答える。今では見ただけで、その単語が何か一瞬で分かる程だ。
そんな時間を過ごしている間に淹れて貰ったお茶は飲みやすい温度へと冷め、エリーゼと共にお茶を飲んで休憩時間を終える。
エリーゼはニコニコと俺を見上げる。
「キャスアルお兄ちゃま、だいすちっ!」
そう言って抱きつき、俺の頬にキスをする。
俺は小さなエリーゼの体を優しく抱きしめてから、額にキスをする。
「私もエリーゼの事が大好きだよ。」
やっと最近、『私』と言えるようになった。嬉しそうに頬を染めるエリーゼを膝から下ろす。エリーゼの温もりと重さが消え、寂しい気持ちになるけれど仕方のない事だ。
エリーゼは覚えたカーテシーで礼をとると「キャスアルお兄ちゃま、またね。」と言って乳母を従え歩き出した。いつ来たのか扉には次の座学の先生が立っている。エリーゼはチョコンと頭を下げて、俺の部屋から消えた。
エリーゼ、俺の可愛いお姫様。エリーゼが一生苦労しないよう、精一杯頑張るからね。
父上が治める我がシュバルツバルト領は広い。広い上に大きな魔物が出る。他領には殆ど出ないのにだ。だが我が領はこの大きな魔物のおかげで帝国との貿易を行い、多大なる恩恵を受けてる。
領主として必要な事が多くて、沢山の事を学ぶのは大変だが楽しくもある。
「キャスバル様は覚えが良くて教え甲斐があります。さて、そろそろ私めはお暇する時間です。では、失礼致します。」
「本日もありがとうございました、先生。」
立ち上がり自室から出て行く先生に礼を述べて扉まで送って行く。メイド達が休憩の為のお茶や軽食をソファセットのテーブルに準備している、二人分を。
扉の所で暫し待つ。コンコンコンと小さなノック、俺の大事なお姫様が来た合図。自ら扉を開け、招き入れる。
「キャスアルお兄ちゃま、ごほんをよんでくだしゃいませ。」
三歳になるエリーゼは俺のお茶の時間にやって来る。以前、座学の時間に来て母上から言い含められてからエリーゼは俺のお茶の時間に来るようになった。別に座学の時間に来たって構わないのに。
エリーゼの後ろに立つ乳母はニコニコしながら見守っている。
「今日は何の本かな?」
エリーゼと共にソファへと向かう。先に座り大人しく待っているエリーゼを抱き上げ、膝の上に座らせる。以前、横に座らせたら癇癪を起こして泣き出した。「あたちのちゅわるとこはにーたまのおひじゃのうえぇ!」そう叫んだ俺のお姫様の言葉を聞いてからずっと、エリーゼは俺の膝の上にちょこんと座り俺にくっついてお茶の時間を過ごす。
「おちにいりなの!」
ここ最近のお気に入りの本。『タークとマーユの冒険譚~』昔々の物語だけど、母上だけは笑って『本当のお話よ。』と言っていた。なぜかエリーゼはこの冒険譚が好きで、結構巻数がある物語だ。
膝の上にちょこんと座り、俺の腕の中母上と同じ色の瞳をキラキラさせながら俺の読む物語を夢中で聞いている。
一回見開き分と決めている。見開き分を読み聞かせた後、必ずエリーゼは単語を指さし言葉を聞いてくる。こうやって文字や単語をどんどん覚えていくエリーゼは、うんと賢くなると思う。
今日もあれこれ指さして聞いてくる、俺は分かり易いように答える。今では見ただけで、その単語が何か一瞬で分かる程だ。
そんな時間を過ごしている間に淹れて貰ったお茶は飲みやすい温度へと冷め、エリーゼと共にお茶を飲んで休憩時間を終える。
エリーゼはニコニコと俺を見上げる。
「キャスアルお兄ちゃま、だいすちっ!」
そう言って抱きつき、俺の頬にキスをする。
俺は小さなエリーゼの体を優しく抱きしめてから、額にキスをする。
「私もエリーゼの事が大好きだよ。」
やっと最近、『私』と言えるようになった。嬉しそうに頬を染めるエリーゼを膝から下ろす。エリーゼの温もりと重さが消え、寂しい気持ちになるけれど仕方のない事だ。
エリーゼは覚えたカーテシーで礼をとると「キャスアルお兄ちゃま、またね。」と言って乳母を従え歩き出した。いつ来たのか扉には次の座学の先生が立っている。エリーゼはチョコンと頭を下げて、俺の部屋から消えた。
エリーゼ、俺の可愛いお姫様。エリーゼが一生苦労しないよう、精一杯頑張るからね。
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