婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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ある日の帝国皇室 3

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自分の妹であり、こんにちの帝国と王国を築き上げる礎にもなったフェリシアの娘エリーゼは以前から己の領地にある本邸で大婆様から惜しまれる程の娘であると聞いていた。その為、ロバートは王国第三王子を毛嫌いしていた。それが妹フェリシアの娘を婚約破棄した事に怒り、又嬉しくも感じていた。高位貴族の令嬢だ、しかも王子妃教育を受けていたとなれば皇室皇子の側妃か公爵家の側妃にとねじ込む事が出来る……と。それがどうだ!ジョルジオの息子を望んだと聞いて喜ばない訳が無い!ロバートは中々、ジョルジオ以外には笑顔を見せない事で有名だったが今や笑顔で上機嫌になっていた。

「なんと、喜ばしい!いや、本当に!」

これには父親であるアーネストも、皇太子ジョルジオも引く程であった。二人とも、こんなロバートを見た事が無かったからだ。

「直ぐさま婚姻の準備を為さいませんとな!いや、喜ばしい!」

もはや、ロバートの頭の中はバラ色と言っても良い程浮かれていた。度々上がって来る陳情文には王国の事が増えていたのだが、この王国において辺境侯シュバルツバルト家は帝国皇室が内心畏れる貴族でもあった。
オーガスタ王国となる前の小国時代、シュバルツバルト公国は武力でならしていた小国だったのだ。
曰く公主一族は最も強く、その剣技武技は侮れぬ。
曰く公主一族は皆全て美しく賢い、男なれば憧れてやまぬ。
曰く公国の男は頑強で病に強い。
曰く公国の女は優しく気立てが良く美しい。
等、里の本邸に残された手記に記されていたのだ。里長もその夫たる方も、身贔屓も無く良く物事を見る方達だと思っていたロバートはその里長達の手記を信じている。かつての小国がどのような経緯で王国と一緒になったのか疑問はあるが、それでもシュバルツバルト家の力は今だ衰える事無く一貴族にしては強大である事を良く知っているロバートはこの婚姻が帝国にとってただならぬ事だと思っていた。
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