婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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僕のお転婆姫(トールの思い出)

「チョーにーたま!」

僕は妹が生まれた時、あんまり小っちゃくて触ったら壊れちゃうと思って触れなかった。
やっと最近になってからエリーゼが兄様の事を「ちゃーにーたま」と呼び、僕の事を「チョーにーたま」と呼んでくっついて来るようになった。
最も、キャスバル兄様がいない時に僕が居る時だけだけど。
でも良いんだ。エリーゼが兄様のお膝の上で幸せそうに笑ってるから。エリーゼが笑ってくれるなら、それが一番なんだ。だって僕はエリーゼの兄なんだから!

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

いつの間にかエリーゼは僕の事を「トール兄しゃま」と呼ぶようになった。相変わらずエリーゼはキャスバル兄様のお膝の上が一番のお気に入りだ。そんなエリーゼは僕とキャスバル兄様では態度が違う。

「トール兄しゃま……だけ?」

「そうだよ。」

エリーゼは最近、フワフワした薄い黄色のドレスがお気に入りだ。僕の前に来るとクルクルッと回ってドレスの裾を広げて見せる。その様子がとっても可愛くて僕はとっても嬉しくて幸せなな気持ちになる。

「今日のエリーゼ、とっても可愛い!まるで黄色い花のようだよ!」

「ホント?ホントに?お花のよう?」

クルクルと回る。可愛い僕の妹。キャスバル兄様の時とは違う顔……僕の前だけの妹。

「本当だよ!」

キャッ!と小さく叫んでピタッと止まる。トタタタと走ってはクルクル回ってキャッ!と言っては止まる。あっちこっちでやって見せる。本人は面白いと思ってるし、僕は可愛いと思って見てる。気が済むまで一人でクルクルすると、僕の所にやって来る。

「ウフフ!たのしかった!」

そう声高らかに言うと、トタタタと走り寄ってくる。

「トール兄しゃま-!」

「おいで-!」

叫ぶと僕の腕の中目掛けて飛び込んで来る。とんでもないお転婆姫だ。勢い良く飛び込んで来るから、僕はエリーゼを腕の中で受け止めてクルクル回る。
キャッ!キャッ!と喜ぶエリーゼと、そんなエリーゼを見て喜ぶ僕の笑い声。

良いんだ。キャスバル兄様の前では、お姫様なエリーゼ。僕の前ではお転婆姫。僕はエリーゼの事をお姫様にしてあげられない。でも、こうやって一緒に遊ぶお転婆姫なら一緒にいられる。だからね、エリーゼ。僕とだけ、こんな風に遊ぼうね!
僕の可愛いお転婆姫!
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