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僕のお転婆姫 2 (トールの思い出)
「トール兄さま!」
俺の姿しか無いのを確認して、全速力で走って来るエリーゼ。四つになったエリーゼは俺の前でだけ元気いっぱいに笑い、駆けていく。
母上と一緒に居るときは、立派な令嬢になるために礼儀やマナーを習い。兄上と居るときは、兄上のお姫様として過ごしている。俺の前でだけ、お転婆姫としてお日様みたいに笑うんだ。ただ、父上の前は母上とも兄上とも違う感じだ。何て言うか、女の子なんだ。令嬢とかお姫様とかお転婆姫じゃない。父上は忙しくて、余りエリーゼと一緒にいられないから仕方ないと思うけど母上は微笑むだけで何も言わないし俺も兄上も言わない。
「トール兄さま!お庭の向こうに行きたいの!」
エリーゼのここ最近のお気に入りは、俺と一緒に庭の森の中を探検する事だ。小高くて広い丘が我が家だけど、うんと広くて広くて広い。点在する森や林に入り込んで、薬草や花を採ったり何だか分からない葉っぱを摘んだりする。勿論、俺がだ!いくらお転婆姫でも、硬い土をあの小さくて白い指で掘らせるなんて恥知らずな真似は出来ない。だから俺は腰に小さなスコップと袋を付けてエリーゼと一緒にあちこちに行く。
エリーゼが指差した森に向かう。今の時間は兄上は座学の時間だから、俺と一緒の時間だ。
「うん、行こっか。はい。」
差し出した俺の指に絡まる小さくて白い指。柔らかい手がキュッと俺の指を掴む。お転婆なのは行動だけで、その指は女の子の優しい指だ。兄上が大事に大事にしてるお姫様。俺だってエリーゼは大事な大事な妹で目が離せないお転婆姫だ。
キラキラした瞳で色んな物を見つめる。
森の中、木漏れ日の中あちこちへと進む。
ああ……何か見つけた。ずっと何かを見つめてる。
「トール兄さま!あっちに気になるものがありますの!」
「うん、どこ?」
「あっちですの!」
俺の指をグイグイと引いて行く。一生懸命なエリーゼ。一本の木の前まで来ると、クルクルと木の周りを回る。何だか強い匂いがするけれど、良く分からない木だ。刺もあるし、危ないな。
「トール兄さま、私この木が気になりますの!お庭に植えたいのです!」
エリーゼがあんまり色々集めるから、庭師が専用の場所を作ってくれた。どうやら、この木もその場所に植えて欲しいらしい。
「エリーゼ、刺が刺さったら危ないよ。庭師に言って植えて貰おう。さ、今日はこれで戻ろう。」
そう言うとエリーゼはコクンと頷き、ゴソゴソと外遊び用のドレスのポケットから赤いリボンを取り出す。これは目印用のリボンだ。
「分かってるよ。目印付けておこうね。」
赤いリボンをエリーゼの手から受け取り刺に気をつけてリボンを縛る。
「さ、これで出来上がりだよ。戻ってお茶にしよう。」
「はいっ!」
俺とエリーゼの二人きりの楽しい冒険の時間。木漏れ日の中、俺のお転婆姫は俺の指を掴んで歩いてく。俺はいつでもエリーゼの冒険に付き合うからね、だから一人で冒険なんかするなよ。な、俺のお転婆姫。
俺の姿しか無いのを確認して、全速力で走って来るエリーゼ。四つになったエリーゼは俺の前でだけ元気いっぱいに笑い、駆けていく。
母上と一緒に居るときは、立派な令嬢になるために礼儀やマナーを習い。兄上と居るときは、兄上のお姫様として過ごしている。俺の前でだけ、お転婆姫としてお日様みたいに笑うんだ。ただ、父上の前は母上とも兄上とも違う感じだ。何て言うか、女の子なんだ。令嬢とかお姫様とかお転婆姫じゃない。父上は忙しくて、余りエリーゼと一緒にいられないから仕方ないと思うけど母上は微笑むだけで何も言わないし俺も兄上も言わない。
「トール兄さま!お庭の向こうに行きたいの!」
エリーゼのここ最近のお気に入りは、俺と一緒に庭の森の中を探検する事だ。小高くて広い丘が我が家だけど、うんと広くて広くて広い。点在する森や林に入り込んで、薬草や花を採ったり何だか分からない葉っぱを摘んだりする。勿論、俺がだ!いくらお転婆姫でも、硬い土をあの小さくて白い指で掘らせるなんて恥知らずな真似は出来ない。だから俺は腰に小さなスコップと袋を付けてエリーゼと一緒にあちこちに行く。
エリーゼが指差した森に向かう。今の時間は兄上は座学の時間だから、俺と一緒の時間だ。
「うん、行こっか。はい。」
差し出した俺の指に絡まる小さくて白い指。柔らかい手がキュッと俺の指を掴む。お転婆なのは行動だけで、その指は女の子の優しい指だ。兄上が大事に大事にしてるお姫様。俺だってエリーゼは大事な大事な妹で目が離せないお転婆姫だ。
キラキラした瞳で色んな物を見つめる。
森の中、木漏れ日の中あちこちへと進む。
ああ……何か見つけた。ずっと何かを見つめてる。
「トール兄さま!あっちに気になるものがありますの!」
「うん、どこ?」
「あっちですの!」
俺の指をグイグイと引いて行く。一生懸命なエリーゼ。一本の木の前まで来ると、クルクルと木の周りを回る。何だか強い匂いがするけれど、良く分からない木だ。刺もあるし、危ないな。
「トール兄さま、私この木が気になりますの!お庭に植えたいのです!」
エリーゼがあんまり色々集めるから、庭師が専用の場所を作ってくれた。どうやら、この木もその場所に植えて欲しいらしい。
「エリーゼ、刺が刺さったら危ないよ。庭師に言って植えて貰おう。さ、今日はこれで戻ろう。」
そう言うとエリーゼはコクンと頷き、ゴソゴソと外遊び用のドレスのポケットから赤いリボンを取り出す。これは目印用のリボンだ。
「分かってるよ。目印付けておこうね。」
赤いリボンをエリーゼの手から受け取り刺に気をつけてリボンを縛る。
「さ、これで出来上がりだよ。戻ってお茶にしよう。」
「はいっ!」
俺とエリーゼの二人きりの楽しい冒険の時間。木漏れ日の中、俺のお転婆姫は俺の指を掴んで歩いてく。俺はいつでもエリーゼの冒険に付き合うからね、だから一人で冒険なんかするなよ。な、俺のお転婆姫。
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