婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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ドナドナが聞こえる(ルーク)

参った……義理の父親になる侯爵が矢鱈と絡んで来る。しかも言葉が小難しいからかノエルもルチルも気が付かない。後ろに控えているアレクさんもニコニコして見ている(実際にはパクパク食べながらだけど)だけで、特に俺を助けるとかそんな雰囲気が無い。ちょっとしたピンチだ。気が付けばエリーゼも夫人も居ない……ヤバい……

「あっ!父上!先に来てたんですね!さすがエリーゼは料理上手ですよね!ちょっと食べ過ぎちゃいそうで困りますよね!」

トールが現れた!フレイが現れた!フレイは大食いかな?と言う位山盛りパエリアに直火焼きチキンを五枚も乗せて食べてる……うん、かな?じゃなくてガチ勢だな。ペースが全く変わらない状態で食べ進めている。

「ん?ルーク。俺のフレイをマジマジと見るんじゃない。」

トールからのツッコミ来ました。

「いや、悪い。食べる量に驚いてつい凝視してしまった。」

ん?と言う顔をしてフレイの持つお皿を見た。自分の持ってる皿よりも大きい皿にこんもり盛られたパエリアにエビやら何やらが縁を飾り、パエリアの上には直火焼きチキンが五枚乗ってるもんな……

「フレイ……量が増えてないか?」

パクパクとペースが変わらないフレイがピタリと手を止めた。

「動きすぎて全然足りない。トールにも原因あるから、アレコレ言われたくない。」

くっ!動きすぎって、昨日の夜かよ!

「それは悪かった。久々で飛ばし過ぎた。足りないならおかわり貰って来て良いぞ。」

「助かる。」

短く返事をするとパクパク食べる。ギャル曽根を彷彿とさせる食べっぷりだな。

「ふむ、ルークは食事は済んだのか?」

「え?ええ、済んでます。どうかしましたか?」

ニヤリと笑う侯爵はちょっと、チョイ悪オヤジみたいで格好いい。

「じゃあ、俺の食事が終わったら付いて来い。」

意味が良く分からないけど、拒否するのも変……だよな。

「はい……」



あの後、食事を終えた侯爵に付いて来て失敗した。未だかつてない量の羊皮紙の束……

「ノエルさんもルチルさんもこっちに座っていて下さい。」

アレクさんがノエルとルチルをソファに座らせてしまった!クッ!考えたくは無いものだな!俺は自分の鈍臭さを恨みたい!

「悪いな!手伝ってくれ!」

いい年したオッサンのキメ顔で言われても嬉しくない!侯爵の執務室から溢れそうな羊皮紙の束……俺の頭の中でドナドナがエンドレスで掛かってる。最悪だ!だが、断れない。惚れた女の父親の要望を断るなんて出来ない。

「勿論です。さぁ、片付けていきましょう。」

のんびりしてる暇は無い!時間は有限だ!俺は片っ端から見ていく。ドナドナはエンドレスだ!畜生!
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