婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婿様のお仕度だ!

ここはルーク殿下に割り振られた客室です。お部屋にあの可愛らしい者達もなく、荷物も無い。使った形跡はあるものの、荷物が無いとは……噂に聞く、帝国の不思議な鞄をお持ちのようだ。小さな鞄だが、多くの荷物が入るとの噂だが旅装が丸々入るなんて羨ましい事です。

「特に荷物等は無いようだな。まだ、旦那様とご一緒のようならこちらからお迎えに行ってお部屋に案内しよう。」

執事のハインツさんがキビキビと動いて私達に声を掛けて来る。男らしい引き締まった体に精悍な顔付き、私達憧れの執事長です!私達は頷き、ハインツさんの後を付いて行く。ハインツさんは躊躇せずに旦那様のお部屋に向かいノックをすると中こらアレク様の声がした。そのままハインツさんは旦那様の部屋に入って行くと、ルーク殿下と可愛らしい者達と共に出て来た。

「では、ルーク様のお部屋へと参りましょう。」

そのまま通路を真っ直ぐ進む。進んだ先のある扉の前に立ち、部屋へと入って行くハインツさんとルーク殿下。今日の発表が済んで、正式にエリーゼ様の婚約者となられたら殿下ではなく様付けでお呼びする事となる。
広く美しい部屋は以前キャスバル様がお住まいになっていた部屋だ。

「ルーク様、婚姻式までの間はこちらのお部屋がルーク様のお部屋となります。早速ですが今から晩餐会のお仕度へと移らさせて頂きます。」

「おしたくってなんにゃ?」

「どうするピカ?」

「今から貴方達の主であるルーク様は今夜大事な用事があるんです。その間はこのお部屋でお留守番となります。ルーク様はその大事な用事の為に準備をしないといけないんですよ。」

優しく諭すように語らいかける。さすがハインツさんだ!

「では、湯あみを。」

俺……私達は頷き合い、ルーク殿下を浴室へと案内した。ご自分で脱ぎだし、まだ未成熟とは言え男らしい体へと成長しつつある体を磨き上げ奥の少し深い浴槽を見たルーク殿下は嬉しそうに笑うと躊躇せずに浸かり出しました。
湯から出て来たルーク殿下の体を揉みほぐし、ポンポンと水気を叩くように柔らかく織った布で拭きあげ着衣のお手伝いはと移った。

「ふんどし……か。」

「はい、ご家族様の男性は皆着衣しております。」

「そうか。」

そう言うとご家族様のようにふんどしを身につけ、帝国の皇子としての正装を鞄から出した。

「今日はこれを着ようと思う。」

私達は受け取り、ルーク殿下に着用させていく。王国よりも遙かに男らしい服装に私達は内心誇らしく又嬉しかった。

「最後に耳飾りをこれに付け替えてくれ。」

そう言って差し出された箱に入っていたのは青紫色の球の耳飾り……エリーゼ様の瞳と同じ色の耳飾りでした。
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