婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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約束の夜(GL注意!エリーゼ×アニス)

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夜会の途中、エリーゼ様に連れられて大広間から下がりエリーゼ様のお部屋へと戻って来た。二人でたっぷりと時間を掛けて湯あみした。互いに体を洗いあったり、深い口付けを交わすのは時折していたから恥じらいも無く行えた。
湯の中で手を握りあい、耳を食まれドキドキした。
裸のまま、一緒にベッドに行きエリーゼ様に「本当に良いの?己の純潔を捧げるような行いなのよ?」そう問われ「私はエリーゼ様に奪って欲しいのです。」そう答えた。
幼い頃から側で仕えていた。うんとキレイなお姫様。
お側にいられるならと苦しい修行も、大変な座学も耐えられた。母さまに褒められれば、エリーゼ様はうんとキレイな笑顔で褒めて下さった。
ある日、若い侍女が二名奥様に付いた。それから数日後、私は帝国のシルヴァニア領へと母さまに連れて行かれた。お邸から出る日の朝、エリーゼ様は泣きそうな顔で「頑張ってね。」と励ましてくれた。私はその言葉を支えにシルヴァニア領での日々を耐えた。正確にはシルヴァニア領の聖地、シルヴァニアの里と言われる高い山の山頂に築かれた集落で。
一月に満たない滞在だったけど、私は数々の修行をし試験に合格し不思議なハーピーと契約を結んだ。
その修行の中で覚えた閨房術……聞けばエリーゼ様は奥様から教えられている事を聞かされた。でも、その時母さまに言われたのだ「望めば自分の全てを捧げる事が出来る。」と。母さまは奥様に全てを捧げ、一生側に居ると誓ったのだと……私は決めたのだ。どうやってもエリーゼ様の夫や子供には勝てない。それは母さまを見ていれば明らかだった。でも、それでも構わないと思った。高位貴族であれば、夫との時間は限られてるし子供は大きくなれば離れて行く。エリーゼ様は王家に嫁ぐ……側妃も娶るだろう王子ならば、お慰めする事もあるだろう。私はずっとずっと側でエリーゼ様を見つめ、エリーゼ様の為に生きているのだから。
そう思っていた。あの日まで。
でも、婚約破棄されたエリーゼ様は領地に戻る事になった。こうなれば、きっと奥様はエリーゼ様の求める殿方を探す旅に出してしまうかもしれない……そんな心配もしたが、帝国の皇子を見初めてしまった。
女として覚醒してしまったエリーゼ様を止める術は無い。唯一無二の存在。唯一欲情する相手。その相手が帝国皇子。
でもエリーゼ様が帝国へ輿入れする訳では無い。皇子がシュバルツバルト家へ婿入りするのだ。たが、互いに立場が高い故に婚約期間を設けなければならなかった。その間、私は全てを捧げエリーゼ様の欲情の捌け口になるのだ。歪んでいる事は自覚してる。幼い頃に芽生えたあの気持ちに嘘はつけない。
ずっとずっと側にいたい……側に居ると決めた。
いつか持つだろう私の夫や子供よりもエリーゼ様が大事なのだ。
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