婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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なんて事だ!(ハインリッヒお父様。)

いつもと変わらないと思っていた。傍らにアレクがついて、書類をどんどん机に積んでいく。片付ける側から積んでくる。息子になるルークは山積みになってる書類を仕分けてアレクに渡してる。ルークとアレクの捌きようは尋常ではない。俺が一息入れるまで、何等速度が落ちないように仕事を回してくる。
チラッと見える、ノエルとルチルはやっと慣れたのかノエルは俺の膝の上まで来るようになった。ルチルは来ないがな。
チラッとアレクを見て、一息入れたいと目で訴える。

「ハインリッヒ様、そろそろ一息入れましょう。紅茶を淹れますね。」

「ああ。ノエル、お膝の上にお出で。」

「にゃう?ご主人、いってくるにゃ!」

トテトテッとやって来て両前足をパッ!と上げる。ヒョイと持ち上げ膝に乗せる。

「こう、ノエルが膝の上に来るとエリーゼの小さい頃を思い出すよ……」

カチャリと紅茶が目の前に置かれ、その香りに少しホッとする。

-コンコンコン!-
「失礼致します。」

ぬ?どこの誰が来るというのだ!
……入ってきたのはエルフの者達だった。先日採寸していたから、何か作るのだろうと思っていたが……もう、出来たのか……

「どうぞ。」

ソファに武装が置かれた。武装……だと。しかも、あれは寒さに対応したやつ……

「フカフカピカ!スゴいあったかいピカ!」

ルチルが食い付いて嬉しそうに尻尾を振りまくってる。

「この武装は……」

「はい、先日エリーゼ様から寒さを感じないような武装を……と頼まれました。大至急と言われたので、皆で作り上げました。なんでも、騎乗して行かれるとか。」

「ああ、なる程。ありがとうございました。」

……サテュロスをテイムに……サテュロスは確かルキ山の麓って言ってなかったか?国境にそれとなく近いだろうが!まさかルークと二人っきりか?そんな事は許さんぞ!だいたいテイムすると言っていたが、どれ位テイムするつもりなんだ?キャスバル……は次期領主だし、仕事もまだまだまだまだ山積みなんだ!誰が行かすか!トールを行かそう。うん。それが良い。
……今夜、エリーゼに言われるのか……ルークが行くとなるとノエルとルチルは行ってしまうのか……寂しくなるな……ノエルだけでも……って無理だな。クソ……ルークめ!エリーゼだけじゃなく可愛いノエルとルチルまで!
だが、まぁ……遠くにやる訳じゃないからな……あ~!でも、言われるのか!聞きたくない!このまま時間が止まれば良いのに!

「どうしたにゃ?ヘンなかおにゃ♡」

「ん?ヘンな顔なんてしてないぞぅ。全くノエルは可愛いなぁ!」

はぁ……毎日側に居てくれれば良いのにな……
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