婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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エリーゼ達がいない間にこんな事がありました 2 (ハインリッヒ)

「お義母様も温かい内にどうぞ。疲れも取れましてよ。」

「まぁ……ありがとう。」

母上が甘味を食べて驚いた顔をした。

「甘いわ……」

「父上も驚きますよ。」

父上は何を思ったのか、甘味を手掴みでモシャモシャと食べ出した。あっという間の出来事だった。
俺も母上め驚いて見ていたのだが、フェリシアだけがクスクスと笑っていた。

「さすがですわ、お義父様。その食べ方が本来の食べ方なんですって。」

父上は熱い筈の紅茶を一気に飲み干すと、フッーと大きく息を吐いて俺とフェリシアを交互に見る。

「エリーゼ達は新年までには戻って来ると言って旅立ちましたの。」

「そうか。」

父上は落ち着いたのか、母上の肩を抱き寄せ優しく撫で擦っていた。

「旅の道中、連絡が入るようにしております。順調だと聞いております、何事も無く戻って来ますわ。」

「そうか……風の精霊だったか、随分と便利なモノだな。」

フン!と鼻息が荒い。

「まぁ、良い。どれ位で戻って来るんだ?ん?」

「まだまだですよ、父上。新年までにどれだけ日数があると思ってるんですか。」

まだまだ帰って来ないのに……困った父上だ……

「マクスウェル……暫くかかるなら、こちらの海の幸が食べれる所でのんびり待ちましょう。」

母上の言葉に父上もゆっくりと息を吐き、小さく「そうか……」と呟いた。

「ハインリッヒ。私達、港町の別荘に行ってて良いかしら?」

港町のか……大して傷んでもないが、ここよりうんと狭い。

「母上。小さな別荘ですよ、宜しいんですか?」

母上はゆったりと微笑むとぬるくなった紅茶を飲んだ。

「良いのよ。この人の事だから、きっと海に出てしまうもの。だったら少しくらい手狭でも構わないわ。」

「分かりました。メイド達使用人はこちらから行って貰います。」

「ええ、宜しくね。」

こうして父上と母上は港町の別荘へと行ってしまった。

エリーゼ達が帰って来たら驚くだろうな。

「相変わらずでしたわね、お義父様。」

少しだけ困った顔のフェリシアがクスリと小さく笑った。

「母上も変わらずだが……やはり、老けてこられたな。」

いつ会えるか分からない。そんな思いで来てたのか……

「とにかくエリーゼ達が無事に帰って来ると信じておこう」

「ええ、そうですわね。ハインリッヒ様。」

こうして俺は仕事に戻り、フェリシアは自分の部屋へと戻って行った。
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