婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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sweet pain 2 (マクスウェル)

共に祝われ、互いの両親の勧めもあって俺はアナスタシアと共に宛がわれた部屋へと下がった。
今日から暫くの間は寝起きは共にすると良いと本来の部屋とは違う部屋が用意された。
おそらく兄貴が亡くなった事で早く子供をと親父殿が変則的な事を企んだんだろう。

「済まない。だが、数日もすれば俺の新しい部屋の続きの間か近い部屋かちゃんとした部屋を用意出来る筈だ」

アナスタシアは少しだけ困ったような笑顔でフルフルと首を横に振る。
細く華奢な体。部屋の灯りを受けてキラキラと輝く髪の毛は銀色の光を放っている。
兄上の妻となる筈だった女性……年下だがいつか義姉上と呼ぶんだと笑った日々。何もかもが遠い日のようで胸が苦しくなる。
兄上、どうして亡くなってしまったのか?そう自問自答した日々は過ぎ去った。

「マクスウェル……良いのよ。私、貴方の妻になれたんだもの」

朗らかに笑っていたアナスタシア。
いつだって彼女の横には兄上がいた。

「……だが……いや、済まない。つまらない事をいう訳にはいかないな。アナスタシア、先に湯浴みを済ますと良い」

俺の言葉を聞いた従者や侍女達が動き出す。
今日は初夜だ。
アナスタシアの……彼女のあの華奢な体を抱くのかと思うと手が不様に震える。
俺は彼女を優しく抱けるだろうか?
父上はうんと優しく丁寧にしてやれば大丈夫だと言ったが、初めて女を抱いた時えらく泣かれた事が重くのし掛かる。
娼婦で慣れているだろうからと、態々隣領まで行って抱いた挙げ句の出来事で随分と内心落ち込んだ。
カイルはかなり慣らしてから俺の側近となったが、か弱い女の体ではカイルような無茶はさせれない。

「マクスウェル様、こちらへ」

部屋の隅にいたカイルがソファへ座るようにと手で指し示す。
大きく息を吐きドカリとソファに座ると従者が無言でワインを開け、グラスにトプトプと注ぐ。
満たされていく赤い液体を見つめ今宵の事を考えないように努めて落ち着く為にワインをガブガブと飲む。
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