婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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内緒の着付けタイム 2 (ルーク)

コンコンと扉をノックする音が聞こえた。
従者が取り次ぎに出迎え……って扉を開けた瞬間、そのまま入って来た。
……夫人の専属侍女二名。
シルヴァニアの里出身の手練れか。

「お早うございますルーク殿下。エリーゼ様よりお着物を預かって参りました、着付けするよう言われましたのであちらでお着替え致しましょう」

どうやら羽織袴じゃあなさそうだ。

「分かった」

「後、そちらの分も預かって参りましたからルーク殿下の着替えが終わりましたら着付けます」

そちら?ノエルとルチルを見たって事は向こうもタマ達も何か着るのか?

「そうか。ノエル、ルチル、ちょっと待っててくれ」

「ちかくでまつにゃ!」

「そうピカ!」

不安そうな顔で俺を見ているのを放っておける訳無い。

「済まないが向こうに連れて行って構わないか?」

「勿論です。邪魔にならなければ一緒で構いません」

シンシアだっけ、冷たい感じがするけど仕事は出来そうだな。
いや出来るに決まってるか。
夫人は冷徹と噂の切れ者宰相アーネストの娘だ、その娘が己の手足として置いているんだ有能で当たり前か。
寝室へ移動すると手早く服が脱がされる。

「あら?意外と鍛えてらっしゃるんですね。おや、ふんどしを着けてらっしゃいましたか」

気が付けばスッポンポンだ。
言わばフルチンだ。
別に慣れたもんだが、ここまで慣れるのには少し苦労した。

「では腕を……」

ああ、両腕を真横に伸ばして言われるままにする。
サラサラとした布は滑らかで気持ちが良い。
前世では何回か着付けて貰ったから抵抗は無い。
……黒い着物?いや、黒い刺繍が施されてって……よしなが大奥かよ?って裃じゃないから気にしすぎか……
一通り着付けて貰い後は足袋に履き物と……マフラーか?いや、まて足袋なら爪があるはずだ。
コレには爪が無いって事は……靴下?か……
サッと跪いたもう一人の侍女、ソニアだったか?靴下を履かせてくれる。

「こちらは草履ですが履けますか?」

「大丈夫だ。ノエルとルチルを頼む」

そう頼んで草履を履く。
草履って言うか雪駄だよな、コレ。
着物も羽織も上品だしセンス良いな。
残ってる一枚を手に取り広げてみる。
幅広な黒い薄手のマフラーはして手に持っただけで暖かい。

「や~~ん♡ノエルちゃん可愛い~~♡」

「ルチルちゃんも可愛い♡」

え?さっきまで淡々と俺の着付けしてた筈の侍女二人が相好を崩してノエルとルチルに集っていた。

「着付け終わっただろうか?」

「ただ今終わりました。では私達は下がります。ルーク殿下はこちらでエリーゼ様をお待ち致しますか?」

一瞬で笑顔を消して俺に挨拶をした。

「いや、エントランスに行く。エリーゼには伝えておいてくれ、エントランスで待ってると」

「畏まりました」

美しい一礼をして足音を立てずに退出する。

「さ、エントランスで皆を待つか」

すっかりお正月に相応しい格好になったノエルとルチルを連れてエントランスへと向かう。
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