婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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側近選び 9 (キース) BL注意!

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長い時間湯浴みしてこれでもかと言う程頭から足先まで液体石鹸で洗った。
洗う度に変わっていく髪や肌に驚いた。
一枚ずつ薄い服を脱いでくような感じがして不思議だった。
心ゆくまで湯浴みした後、程良い疲れにソファで果実水を飲みながら休憩する。
火照った肌に素っ裸でいても、室内は魔道具のおかげで暖かい。
誰に咎められる事無い実に贅沢な時間だ。

「あー……気持ち良かったな……」

そっと己の腕を摩る。
サラリとした肌は滑らかでまるで女のようだ。
女の肌は触った事なんか無いけど、きっとこんな風に滑らかなんだと思う。
腕から手の甲へと撫でる。
それだけでゾクゾクと感じる……液体石鹸で洗った体はきっと何処も彼処も敏感になってるに違いない。

「は……」

いけない……このまま触ったら止まらなくなりそうだ……
背や太股に当たるソファの生地も上等で、これも良くない。

「早く服を着てしまおう……」

果実水を飲み干して、立ち上がる。
足裏に感じる絨毯の柔らかな肌触り……普通の邸なら絨毯が敷かれてる場所は大抵決まっていて裸足で歩き回るなんて出来ないのに、与えられた部屋には石床が剥き出しになっている場所の方が少ない。
おかげで裸足で歩き回った所で足元から冷える事も無くて、ついそのまま裸足で歩き回ってしまう。
最初ふかふかとした絨毯の上を靴で踏んでいくのが躊躇われた……何処も彼処も贅沢で……だからこそ人目が無い事を理由に裸足で歩き回ってた。
服を着て靴を履いて身嗜みを整える。

「昼にはまだ早いけど、いつ呼ばれても良いようにしておかないとな……」

鏡に映る自分の姿に少しだけ驚く。
サラサラと揺れ動く髪も白く抜けるような肌も溜息しか出ない。

「今までの湯浴みって何だったんだ……」

全く変わってしまったかの様な感じ。
そう思って何度目か分からない溜息を漏らす。
そんな時だった、ノックの音がして慌てて扉へと向かう。
部屋から出れば執事が立っていて、後ろにはイワンがいた。
聞けば今から使用人用の食堂へと案内してくれるとの事だった。
全員が朝とは違うと感じた、きっと俺以外もそう感じたに違いない。
ジロジロと見合ったんだ、それに匂いが変わった……僅かに香っている。
そうして俺達は執事の後をついて歩いて行く。
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