婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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側近選びの裏で (オーギュスト) BL注意!

「これで以上になります。では、失礼致します」

「ああ、ご苦労だった。後の事は良い、今日はゆっくり休むと良いオーギュスト」

頭を下げ、キャスバル様の部屋から下がる。今回の側近選びはレイが取り仕切っている、だが婿様は帝国出身……帝国は実力主義で実力がある者はそれに相応しい地位なり何なりを与えるのだと聞いた。ならば選ばれなかった者達はおそらく私達と同じ立場を与えられるだろう。
領主館または領主一家の誰かの執事ともなればそこらの側近より遙かに待遇も立場も良い。
大きく広い領主館を無言で歩いて使用人棟へと急ぐ、さっさと夕食を取って部屋で寛ぎたい。
やっとの思いで使用人棟の食堂に行き夕食を取る。仕事も終わったからワインも飲む、執事は自己管理も出来てるという前提なので好きなだけ飲める。

「オーギュ、お疲れ。今日はタンシチューだから、ワインが進むな」

そう笑いながら声を掛けてきたのは同じ執事仲間のイザークだった。

「ああ、シチューってのは美味しくて好きだな」

「まぁな、オーギュは明日休みだろ。今夜どうだ?」

イザークは今日が休みだったな。

「ああ、良いよ」

タンシチューのタンを一口大に切り口の中へ放り込む。
噛む度にタンの旨味が溢れ出てくる、それを決して安くないワインで流し込む……美味い……

「食事してる姿ってちょっとクルよな」

「イザーク、何言ってる?」

全く、何言ってるんだ。
変な事を言うから口元にシチューが垂れた。勿体ないだろ、全く。
ベロリと舌先で舐め取る。
ゴクッと喉が鳴る音が聞こえて音のした方を見ればイザークだった。
何だ?やけにギラついた目で人の事を見て。

「イザークは食べたのか?」

「ああ、でもそうだな……ワインをもう少し飲むかな、チーズ貰ってさ。オーギュが食べ終わるまでのんびり飲むさ」

そう言って離れて行くイザークの後ろ姿を見ながら小さく千切ったパンにシチューを付けて口の中に放り込む。

「美味い……ちょっと前までの食事とは比べ物にならない……」

濃い茶色にテラテラと浮かぶ脂も堪らない。
堪能してるとグラスいっぱいのワインとチーズの乗った皿を持ってきたイザークが対面席に座った。

「イザーク、チーズ美味そうだな」

「食べるなら貰って来るぞ」

「頼む」

「待ってろ」

そう言ってイザークは再び取りに席を離れた。
水色の短く切ったくせっ毛がピコピコして可愛い。
あれで巨大なハンマーで戦う姿は勇ましくって……今でも時々手合わせすると押し負けるんだよな……
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