580 / 756
何だこれは!(アーネスト)
その日、ゴルゴダ帝国宰相の執務室に現れたのは王国貴族の元に輿入れした愛娘フェリシアのハーピーと見覚えのない大きなバスケットだった。
執務机の前に置いてあるソファセットのローテーブルの上に置かれた荷物を見てアーネストは溜息を溢した。
「今度は何だ?」
いつもは手紙なのに荷物だと?ご丁寧にバスケットの中に手紙が入ってる。
どれ、どんな無理難題を言ってきたか?それとも可愛い我が儘か?
……む?桃の蜜漬け?蜜漬けとは何だ?まあ、良い。皇帝陛下の分も入れたから……だと……里にも送ったから安心しろとか……良く分からんが、あの娘が送って寄越すんだからただ事では無いか?いや、桃自体は珍しく無いし蜜漬けというのが分からんな。
バスケットから中身を取り出す。
布で覆われ、打つからないようにきっちり入れられた瓶を一つ取り出す。
「桃?こんな白い桃なぞ初めて見るな……里にも送ったとあったが……」
「アーネスト様?」
長い事付き従って来た同郷の仲間の一人が心配そうに聞いてくる。
「フェリシアからだ、我らと皇帝陛下にと送って来た。どんな物か良く分からんから食べてみるか、桃と書いてあったが初めて見るし蜜漬けというのが良く分からん」
瓶一つを手渡し執務机へと戻る。
瓶を受け取った壮年の男はクスクスと笑いながら瓶和開け美しい皿に次々と桃と言われた物を乗せていく。
「香りは桃ですね」
そう言って皿をアーネストの前に置くと別の男が紅茶を淹れる。
壮年の男達がワラワラとアーネストの執務机に集まる。
銀色に光るデザートフォークが置かれる。
「確かに桃の香りだな、形も桃だな……」
「蜜漬けが良く分からなかったので瓶の中の液体は残してありますよ」
「そうか」
そう言ってデザートフォークで桃と言われた物を一口大に切り取り、内心の恐れをおくびにも出さずに口の中に入れた。
入れた瞬間アーネストは目を見開き、動きを止めた。
それは初めて口にする甘みと柔らかさだった。
口中に広がる桃の香り!
初めての衝撃に無言で食べかけの桃を一気に平らげた。
それを見た男達も我先にと食べ始め、同じように衝撃を受けた。
「何だこれは!これが桃だと言うなら今まで食べていた桃とは何だったのか!」
ガッ!とバスケットを見て瓶の数を数える。
皇帝陛下と山分けか……では、皇帝陛下に二瓶。自分達は一瓶食べたから一瓶残る。
「蜜漬けと言っていたが、蜜とは砂糖の事かも知れん。でなければこの甘さはでないだろう。それにしても何と言う物を……」
アーネストはその甘美な桃の瓶を二つ持ち皇帝陛下の元へと急いだ。
いまだ桃の余韻に浸ったまま。
執務机の前に置いてあるソファセットのローテーブルの上に置かれた荷物を見てアーネストは溜息を溢した。
「今度は何だ?」
いつもは手紙なのに荷物だと?ご丁寧にバスケットの中に手紙が入ってる。
どれ、どんな無理難題を言ってきたか?それとも可愛い我が儘か?
……む?桃の蜜漬け?蜜漬けとは何だ?まあ、良い。皇帝陛下の分も入れたから……だと……里にも送ったから安心しろとか……良く分からんが、あの娘が送って寄越すんだからただ事では無いか?いや、桃自体は珍しく無いし蜜漬けというのが分からんな。
バスケットから中身を取り出す。
布で覆われ、打つからないようにきっちり入れられた瓶を一つ取り出す。
「桃?こんな白い桃なぞ初めて見るな……里にも送ったとあったが……」
「アーネスト様?」
長い事付き従って来た同郷の仲間の一人が心配そうに聞いてくる。
「フェリシアからだ、我らと皇帝陛下にと送って来た。どんな物か良く分からんから食べてみるか、桃と書いてあったが初めて見るし蜜漬けというのが良く分からん」
瓶一つを手渡し執務机へと戻る。
瓶を受け取った壮年の男はクスクスと笑いながら瓶和開け美しい皿に次々と桃と言われた物を乗せていく。
「香りは桃ですね」
そう言って皿をアーネストの前に置くと別の男が紅茶を淹れる。
壮年の男達がワラワラとアーネストの執務机に集まる。
銀色に光るデザートフォークが置かれる。
「確かに桃の香りだな、形も桃だな……」
「蜜漬けが良く分からなかったので瓶の中の液体は残してありますよ」
「そうか」
そう言ってデザートフォークで桃と言われた物を一口大に切り取り、内心の恐れをおくびにも出さずに口の中に入れた。
入れた瞬間アーネストは目を見開き、動きを止めた。
それは初めて口にする甘みと柔らかさだった。
口中に広がる桃の香り!
初めての衝撃に無言で食べかけの桃を一気に平らげた。
それを見た男達も我先にと食べ始め、同じように衝撃を受けた。
「何だこれは!これが桃だと言うなら今まで食べていた桃とは何だったのか!」
ガッ!とバスケットを見て瓶の数を数える。
皇帝陛下と山分けか……では、皇帝陛下に二瓶。自分達は一瓶食べたから一瓶残る。
「蜜漬けと言っていたが、蜜とは砂糖の事かも知れん。でなければこの甘さはでないだろう。それにしても何と言う物を……」
アーネストはその甘美な桃の瓶を二つ持ち皇帝陛下の元へと急いだ。
いまだ桃の余韻に浸ったまま。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです
ほーみ
恋愛
「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」
その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。
──王都の学園で、私は彼と出会った。
彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。
貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について
みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編)
異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。
それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。
そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!?
R4.6.5
なろうでの投稿を始めました。