婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
594 / 756

初陣 5 (ルーク)

どこを見ても牧歌的な風景だが、時折隊員が馬で草原に突っ込んで行く。前隊長が何も言わない所を見れば、割りと良くある光景なんだろうな。
……そう言えば王都からシュバルツバルト領に来る時も見たな……確か、集落に売ったり野営の食事の足しにしたりしてたよな。逞しいと言うか、ちゃっかりしてるって言うか……でもだからこそなのか。

「見えて来ましたよ!」

キースの明るい声にちょっとだけ笑う。副隊長も副隊長補佐も笑った。

「あそこで昼休憩って事だな。ノエルとルチルを出すか……」

馬車の中で寂しい思いをしてるかもしれないしな、ずっと一緒だったしな。待てよ……そう言えばノエルとルチルにも武器と防具と武装が新調されてたな。馬車の中の椅子の下に色々入れてあるってアニスに教えて貰ったな。
エリーゼが忙しいからって前日の昼間に馬車に仕込んでおいたって……アイ○ー装備に似てるかな?スゲー楽しみだ!

「可愛いですよね、俺からしたら本当に戦えるのかな?って思うんですけど、評判は良いんですよね。凄いって他の隊員達も言ってるし」

キースは半信半疑だけど、まだ一緒に戦ってないから仕方ないよな。でも一緒に戦ったら驚くだろうな、特に罠で足止めとか尋常じゃないんだよな。
実際戦うと良く分かる。ゲームじゃないから、命掛かってる分真剣だ。
そんな時に短時間とはいえ、完全に動きを止めれるのは有利以外の何物でも無い。
思いもよらなかったのはぶんどりが出来る事だったけどな。大したものじゃなくても何かしら使える素材だから、思ったよりも良いスキルだよな。
それにスキルも入れ替えとかじゃなくて、一度覚えたスキルはずっと使えるのも良い。

「凄いですよ。ノエルちゃんの罠って言うやつは特に凄いですよ」

ノエルちゃん?副隊長、何でちゃんずけ何だ?

「そうそう、ルチルちゃんだってあのバチバチしたので痺れさせるとか凄いですよ!」

副隊長補佐、お前もか!

「そうなんですね。楽しみです、一緒に戦える時が」

小さな声で「負けられないなー」とか可愛い事言ってるな。言っておくけど、俺達の戦い方とは訳が違うぞー。
集落の入り口で立っているいかにも立場のありそうな老人が待ってる。

「領主隊四番隊です、通過及び滞在します」

副隊長が朗々と老人に告げると老人は腰を一度折り、ニコニコと笑みを浮かべる。

「宜しくお願いします。どうぞ中央広場にてゆっくりお過ごし下さい」

老人が入り口から退いて俺達はゆっくりと中央広場を目指す事となる。「このまま進めば中央広場です」副隊長の小声に頷いてホッと息を吐いた。 
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。