婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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初陣 11 (ルーク)

「キース!中に入って来てくれ」

外でルチルを抱っこしたまま、中を伺ってるが夜になったら馬車の中で一緒に寝るんだぞ。天幕が間に合わないからって急遽馬車を仕立て直して貰ったんだからな。

「はっ、はいっ!」

狭いように感じるかも知れないが全然狭くない。

「広い……ですね」

「ああ、夜は俺達は天幕じゃなくて馬車で寝起きするんだ。狭かったら困るだろ」

ノエルのどう見てもマフモフに見える武装を手早く装着させる。紫色の刺繍や縁取りが可愛い。

「天幕は間に合わないから馬車を先に渡すって言われた。だからだ。ノエル、ハンマーしかないがどれにする?」

三本あるハンマーはどれも強そうだ。一本ずつ持って確認するノエルの姿を見ながらチラリとキースを見る。
馬車の中をあちらこちら見て触って確認しているようだ。勿論ルチルを抱っこしたまま。

「これがイイにゃ!」

ノエルが選んだハンマーは大雷狼の素材で作られたハンマーだった。
いそいそとハンマーについてた帯を着けて背中に背負ったノエルは強そうに見える。
次はルチルだ。

「ルチルの番だ、おいでルチル」

「ピッカァ!」

ルチルの返事と共にプラーンと差し出されたルチルの姿に吹き出してしまった。

「ピカァ?」

「ああ、うん。笑って悪かった」

キースからルチルを受け取りケープを装着する。これ、武装なのか?ただの可愛い服なんじゃないのか?そう思って鑑定したら本当に武装だった。防御力アップ(大)雷属性攻撃力アップ(大)ありがたいね。

「ノエルもルチルも似合ってる」

「うれしいにゃ!」

「ほんとピカ?ヘンじゃないピカァ?」

笑ったせいかルチルが心配してるな、ルチルの頭を撫でて「似合ってるから」と言うと「なら、イイピカ!」だって。現金だよな。

「ルーク様、この馬車色々凄いですね」

「ん?ああ、そうだな」

はっきり言うと今日初めて中に入ったから、何がどう凄いのか良く分かって無いんだよな。
立ち上がってキースの隣に移動して見てみる。
キースは御者台の方向、言わば進行方向側を見ている。
立ち上がっても余裕のある天井、だが座席はゆったり座れ……

「何だこれ?クーハン?」

前世、いとこの出産祝いに要求されて贈った事がある。柔らかそうな藁みたいない草みたいな平べったい、どう見てもクーハンにしか見えない籠。
中はフワフワなベッドみたいになってる。
あえて言うならペット用のベッド。

「これってノエルとルチルのですかね?」

キースの問いにバッとノエルとルチルを見る。サイズ的にどっちか……のじゃなくて、二匹が入れるサイズだ。視界に入る窓枠じゃない、座席の前にするように取り付けられたカーテン……
エリーゼの指示ならあり得るのか。

「そうだな、二匹一緒に寝るための物だ。ついでに言うと、カーテンを閉めるようになってるな」

カーテンを見て頬を染めて視線を彷徨わせるキースに少しだけ可愛いと思った。
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