654 / 756
帰還 (ルーク)
しおりを挟む
最後の野営地での朝、空の荷車まで連れて行かれた。
「ルーク隊長、討伐した大型をこの荷車に乗せて下さい。折角なんで両方乗せて領民を驚かせましょう!」
バートンがニヤリと笑い、ルシウスはクスクスと笑う。
実物があると内部とじゃあ盛り上がり方が違うだろうし、アピールは必要だろう。
「分かった。まずは赤竜を出して、上に鳥を出す。それで良いか?」
「勿論です。積んでいただいたら、すぐに魔法で凍らせておきましょう。冬場とは言え、凍らせておいた方が後々良いですからね」
「大型を二頭討伐とは幸先良いと、姫様の婚約者殿は胆力があると領民が大喜びしますよ」
「そうか……」
バートンもルシウスも内心喜んでるのが丸わかりだ。
荷車に近寄り赤竜を出す。わらわらと隊員達が近寄りロープで見栄え良くなるように形を整えて括り付ける。その上にペッ〇が乗るように出す。やはり隊員達がササッと形を整え、今度はロープで動かない様に荷車にきっちり括り付ける。
その大きさはかなりの物で、見応えは十分だろうと思う。
それにしてもよくぞこれだけの大物を討伐したと我ながら思う。
「では、凍らせます!」
まだ若い後方支援の魔法師数人が呪文を唱え、杖を差し向ける。
爪の先や嘴、隅々から冷気が漂って来る。
「良し!休憩の時と領都に入る前と後二回確認して、氷結魔法を掛ける。ルーク隊長、出発の準備が出来たら出発します。のんびりしてたら待っている総大将が拗ねますからな!」
大きな声で笑うバートンに釣られて小さく笑う。
「さ、朝食を食べに行きましょう」
「ああ」
数人の隊員達を残して足早に用意されてる朝食を食べに行く。
そこには鍋をかき混ぜるノエルと、ノエルの近くで何やら応援してるっぽいルチルがいた。
「この光景も今日で暫く見納めですね」
ルシウスが少しだけ寂しそうに言う。
「ああ、全くだな。随分と助けられましたよノエルちゃんとルチルちゃんには」
……ちゃん付けが普通になってきてるな。
「ご主人~♡スープできてるにゃ♡きょうもおいしくできたにゃ♡」
「おなかすいたピカ、はやくたべたいピカ!」
ノエルは相変わらずだし、ルチルの腹ぺこ振りもいつも通りだ。
「そうか、ありがとなノエル。ルチルも一緒に食べような。ノエルもおいで、後は任せよう」
「わかったにゃ!」
二匹が駆け寄ってくるのを受け止め、笑いながら食事を受け取りにいく。
静かにキースが横に来る。
やっと領都に……エリーゼの元に帰れる。
「ルーク隊長、討伐した大型をこの荷車に乗せて下さい。折角なんで両方乗せて領民を驚かせましょう!」
バートンがニヤリと笑い、ルシウスはクスクスと笑う。
実物があると内部とじゃあ盛り上がり方が違うだろうし、アピールは必要だろう。
「分かった。まずは赤竜を出して、上に鳥を出す。それで良いか?」
「勿論です。積んでいただいたら、すぐに魔法で凍らせておきましょう。冬場とは言え、凍らせておいた方が後々良いですからね」
「大型を二頭討伐とは幸先良いと、姫様の婚約者殿は胆力があると領民が大喜びしますよ」
「そうか……」
バートンもルシウスも内心喜んでるのが丸わかりだ。
荷車に近寄り赤竜を出す。わらわらと隊員達が近寄りロープで見栄え良くなるように形を整えて括り付ける。その上にペッ〇が乗るように出す。やはり隊員達がササッと形を整え、今度はロープで動かない様に荷車にきっちり括り付ける。
その大きさはかなりの物で、見応えは十分だろうと思う。
それにしてもよくぞこれだけの大物を討伐したと我ながら思う。
「では、凍らせます!」
まだ若い後方支援の魔法師数人が呪文を唱え、杖を差し向ける。
爪の先や嘴、隅々から冷気が漂って来る。
「良し!休憩の時と領都に入る前と後二回確認して、氷結魔法を掛ける。ルーク隊長、出発の準備が出来たら出発します。のんびりしてたら待っている総大将が拗ねますからな!」
大きな声で笑うバートンに釣られて小さく笑う。
「さ、朝食を食べに行きましょう」
「ああ」
数人の隊員達を残して足早に用意されてる朝食を食べに行く。
そこには鍋をかき混ぜるノエルと、ノエルの近くで何やら応援してるっぽいルチルがいた。
「この光景も今日で暫く見納めですね」
ルシウスが少しだけ寂しそうに言う。
「ああ、全くだな。随分と助けられましたよノエルちゃんとルチルちゃんには」
……ちゃん付けが普通になってきてるな。
「ご主人~♡スープできてるにゃ♡きょうもおいしくできたにゃ♡」
「おなかすいたピカ、はやくたべたいピカ!」
ノエルは相変わらずだし、ルチルの腹ぺこ振りもいつも通りだ。
「そうか、ありがとなノエル。ルチルも一緒に食べような。ノエルもおいで、後は任せよう」
「わかったにゃ!」
二匹が駆け寄ってくるのを受け止め、笑いながら食事を受け取りにいく。
静かにキースが横に来る。
やっと領都に……エリーゼの元に帰れる。
158
あなたにおすすめの小説
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる