婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
662 / 756

刺繍の腕ばかりが上がるっ!(ラーラルーナ)

窓の外は雪景色……たまのお天気に反射する光が眩しい。

「大分、色々刺せたわ……」

ラーラルーナは側で刺繍に付き合ってくれていた侍女へと声を掛けた。
日差しが当たるように配されたテーブルセットは前世では憧れの高級家具のダイニングテーブルと椅子のセットと張る程の逸品で、さすが侯爵家お金があるなぁ……と心のどこかで溜息をついた。
いや、そんな事より刺繍よ!
愛しの婚約様(側近込みで!)を思い浮かべて刺していたが、限界があるわ。
侯爵令嬢って思ったよりも暇だわ。

*本当は暇ではないです。ただラーラルーナは勉学は早々に終わらせ、学院を卒業まで好きにして良くなっているので実家でのんびり過ごしている。
他の令嬢達は学生生活を帝都で送ってたりします。
勿論、優勝な令嬢達はサッサとカリキュラムを終わらせ好きに活動してます。

チラリと刺した刺繍を見た侍女は軽い溜息を吐いて手を止めた。

「ラーラルーナ様、紋章の刺繍に飽きたのでしたら何か花でも刺したら良いのでは?」

普段から素っ気ない侍女である。だが、いつでも冷静で困った時は頼りになる侍女でもあった。
確かに紋章ばかりで飽きてきた。それに花か……

「そうね、バラやスミレを刺しましょうか」

やはりバラ族だし菫の君だし!フフッ……バラとスミレで決まりよ!

「殿方にバラやスミレですか……」

ツッコミ来たわね。でも負けないわよ!

「然り気無く入れる程度です。さすがにバラとスミレだけでは失礼でしょう」

ドラゴンや剣とつるバラとかなら問題無い筈だわ。

「左様ですか」

「ええ、そうよ」

そう言いながら新しいハンカチ用の布に枠を嵌める。
青いハンカチに紺色一色でドラゴンとつるバラにしましょう。
格好良く!格好良くよ!

集中して刺繍をして出来上がった物は中々良い出来で、さすがの侍女も「まぁ……!」と驚いてました。
フフンッ!見たか!
まぁ、刺繍は貴族女性の嗜みだから出来ないと恥ずかしいのよね。

「まだ雪解けには早いわよね……」

「そうですね、後二ヶ月は無理ですね」

「長いわね……」

「あっという間です。お支度だって何日も掛かりますので」

「そうね」

そうだった。鞄一つって訳には行かなかった。
時間も掛かるから、その分荷物も増えるのよね。
ああ……待ち遠しい……私の楽園!
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。