婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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帝国の片隅で(´д`)

「嫌だわ……何かしら?ゾクゾクするわね、風邪じゃないわよね?」

シュバルツバルト領領主館で領主夫人たるフェリシアがツラツラと手解き云々を話してる頃、帝国ディモス領の領主館の一室で令嬢であるラーラルーナは暖かいのに嫌な事だと両腕を擦った。

「あら?ラーラ、どこか調子が悪いの?」

「お母様。何でもありませんわ。それよりも食後のお喋りは久し振りですもの、もっとゆっくり楽しみたいですわ」

広いサロンの中、母子でお茶を楽しみながら過ごすのも一年を切っている。
しかも春になれば直に顔も見た事の無い婚約者を訪ねて王国へと行くのだ。最短でも一月、普通に考えれば二月は会えなくなる。
夫人からすればシルヴァニア公爵令嬢フェリシア様の事を知らぬ者はいない。あの頃フェリシア様に憧れない令嬢はいなかったし、一目だけでもお顔が見たいと良くお茶会にも行った。
そんな憧れの君であったフェリシア様の義理の娘となるラーラルーナを羨ましいと思う気持ちもあるけど、それよりも娘を通じてお言葉を交わせるかと思うと嬉しさや喜びが勝る。

「そうね。秋に学院を卒業したらすぐに輿入れしてしまうものね。あちらで大々的にお式をするのよね……楽しみねラーラ」

いまだ寒気に襲われているが顔に出さずニッコリと微笑むラーラルーナは良く出来た淑女の仮面を被ったままで紅茶を一口飲む。

「ええ。でも、春……バラの季節にルーク皇子とエリーゼ様の婚姻式があるのでしょう?」

ラーラルーナの頭の中では婚姻式に掛かる費用の事を考えるとちょっとどうなのかしら?とパチパチと算盤を弾く。

「ええ、そうよ。シュバルツバルト領は昔から大型の良く出る地域で、討伐してはその素材で一財産を築いてるとか……その一財産がどれ位かは分からないけど、そこら辺の貴族の比では無いと聞いた事があるわ。だから大丈夫だと思うわ」

ラーラルーナは相変わらず母はおっとりしてる。皇族が来ても大丈夫な式をあげて、更に半年もすれば時期領主の婚姻式。
シルヴァニアの事は知らない訳じゃない。噂の範疇なら眉唾物から真偽の分からぬ事まで多岐に及ぶ。そんな女傑が義理の母となる。
嫁入りすれば嫁姑戦争なんて初めから白旗をあげるしかない相手に何をされるのか……想像しただけでチビリそうになる。

「気に入られると良いのだけど」

そう呟けば母はニコリと微笑む。

「大丈夫よラーラは良い娘だから」

「ありがとうございます、お母様」

ラーラルーナは笑顔で母にそう返すしかなかった。


ラーラルーナは知らない。
将来の義理母が手解きという名の扱きをするつもりだと……
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