婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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雪原の戦い (王宮討伐隊)

厳しい冬でも討伐隊は魔物狩りに行かなければならない。
冬になると魔物は人里へと一気に近付いて来る。それは魔物にとって冬の人里は餌場になるからだった。
人里を餌場にしてはならない。
その為に討伐隊は出来る限り魔物を狩り、冬場の食料や寒さを凌ぐ毛皮として近隣住民へ安価で売り捌く。
王宮討伐隊に第三王子ジークフリートが入って始めての冬。ジークフリートは今までの甘えを捨て、今では片手剣を振り小型の魔物を狩る事が出来る様になっていた。

ビュウビュウと山から吹き下ろす吹雪の中、討伐隊は天幕を寄せ合う様に張り巡らしていた。
本来なら今は昼間で、外が吹雪いてなければ辺りの雪原をのんびり巡回しながら狩りをしている筈だった。
だが吹雪は一向に収まらず、外は薄暗く到底魔物を狩る様な状態ではなかった。

「不味いな……こんな風に吹雪いているのは良くない……」

重苦しい声でそう呟いたのは討伐隊隊長シュタインだった。
シュタインは吹雪いている雪原の注意をシュバルツバルト領主隊から教えられていた。


雪原で吹雪いている時は気を付けろ。雪狼の群れが来る。決して気を抜くな。奴等は吹雪の中、音も立てずに側近くまでやって来る。


「シュタイン隊長……?」

ジークフリートは知らなかった。だからこそシュタインにソッと伺った。

「こんな時は雪狼が群れて来る……そう教えられた。武装を整えろ!武器を手に取り、天幕の周りを巡回する!」

シュタインは声を張り上げ隊員達を鼓舞し、自らは槍を持ち立ち上がった。
暖かい天幕の中にいたい気持ちを振り切り、天幕から飛び出る。
シュタインの声を聞いた隊員達も手に手に武器を取り、天幕の外へと出て来る。勿論、その中にジークフリートもいた。

「良し!10人ずつで天幕の外側を巡回して、魔物を見つけ次第狩りあげろ!」

「「「「「はいっ!」」」」」

そして隊員達が天幕の外側を歩き始めてすぐに隊員の一人が気が付いた。

「雪原が盛り上がってる!いるぞ!」

その声が取っ掛かりになった。白い雪原の中、真っ白な雪狼が飛び出して来る。
隊員達も吹雪く中、各々の武器を振り回し雪狼を討伐していく。
それは隊長であるシュタインも王子であるジークフリートもだった。
白い雪原が赤く染まっていく。
それは雪狼の血であり、戦う者達の血でもあった。

そして暗くなる前に雪狼は引き上げ、隊員達は討伐した雪狼を引き摺り天幕へと戻る。

吹雪は既に止み、雪はシンシンと降り赤い雪原を白く染め直していく。
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