婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚約者 3 (ラーラルーナ)

谷間にある国境地帯の町は想像よりも賑やかそうに見える。
あちこちに張られた天幕におそらく迎えの人達なのだと見て取れる。
次期領主の婚約者の迎えが無いなんてあり得ないから。
窓から見える情報なんてたかが知れてる。
しかも一直線に迎えの人達がいる方向に進んでるのだから、目的の人達の顔も姿も殆ど見えなくて端にいる人達しか見えない。
ゆっくり近づいて、やがて停車した馬車の前方からそれなりの人数が近づいてくる気配がする。
姿勢を整え笑顔を浮かべる。

「お迎えに参りました、ラーラルーナ・ド・ディモス嬢」

涼やかな声……と言うより凄く聞き覚えのあるイケボ。この乙女ゲームにこのイケボは採用されてたなんて情報は流れて来なかった、いや悪役令嬢の兄は攻略対象では無かったから……まさか、Ⅱとかで現れる新キャラ?それなら納得出来る!クッ!なんて事!前世の死因の原因になった事故を激しく恨むわよ!

「ラーラルーナ嬢?」

ハッ?!しまった!

「出迎えありがとうございます」

「失礼致します」

カチャリと扉が馭者の手で開けられ、立ち上がって扉まで移動する。
ハァン♡凄いイケメン!声もイケボだし言う事無いわ!てか、婚約者様直々に出迎えとか何てご褒美なの!

「どうぞ」

差し出された手に手を伸ばし馬車を降りる。
しっかりホールドされた手は硬く体重を掛けてもビクリともしない。
頼りがいあるって素敵よね。
……馬車を降りて身長差に内心驚く。高身長で細マッチョに近いガッシリした体、え?私、本当にこの人のお嫁さんになるの?って、婚約者様の右は来てないの?
サッと視線を前方に向けたセンターにいました!それっぽい茶髪天パのイケメンが!
よし!確認もしたし、ちゃんと挨拶しないとね!
婚約者様に視線を合わせてから、手を離しカーテシーをしながら口上を述べる。

「ゴルゴダ帝国辺境ディモス侯爵家が娘、ラーラルーナでございます。以後よろしくお願い致します」

よし!ちゃんと言えたわよ!これで文句は出ないわよね。
私の後ろに控えてる気配は至って普通に良い。こう見えてもやる時はやるのよ。

「オーガスタ王国シュバルツバルト侯爵家嫡男キャスバル・フォン・シュバルツバルトです。これより一緒に我が領都まで護衛する為に来ました。まだ馬車での長旅となりますが出来る限りの事はします、何かありましたら言って下さい」

「大丈夫ですわ。よろしくお願いします」

優し~い♡スパダリよ!スパダリ♡
でもね、本当は人物紹介して欲しいのよね。ダーリン♡
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