婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚約者 5 (ラーラルーナ)

キャスバル様のエスコートで連れて行かれたのは、炊き出しに使いそうな小さな竃だった。
前世キャンプ場とかで見たのに見たのに似てる。
竃には大きな鍋が置かれ、クツクツと沸騰しかかっている。野菜や肉が入っているのは見て取れるけど味付けはやっぱり塩なのかしら?
そう思って見ていれば若い男性がボトボトと何か固形物を入れて……ん?なんか……え?何?

「今のは……?」

「今のは我が領お薦めの調味料ですよ」

そう優しく笑うキャスバル様にドキドキしながらも目はすぐに鍋へと行ってしまう。だって……だって鳥ダシスープの香りがするんですもの!
んっ?どこからかコショウの香り!どこからっ?!
香りの元を探してキョロキョロと辺りを見回せば少し離れた所で何やら魔法を使ってる男性が……え?魔法でコショウを粉状にしてるの?
どうなってるの?
そうこうしてる内に照り焼きソースみたいな香りもしてきて……

クゥ……

やだ!私ったらお腹鳴っちゃった!

「お腹空きましたか?私もです、この匂いは堪らないですよね。出来たら持ってきてくれ!」

「あの……申し訳ないです……お恥ずかしい」

もう!ホント恥ずかしい!
そのままエスコートされ、簡易テーブルとイスまで来て座る様促される。
サッと紅茶の入った木のマグカップが置かれ、コトリと木の容器が置かれ何かと思ったらお砂糖だった。
茶色いけど、お砂糖は高級品でこんな風に気前良く出されたりはしない。

「蜂蜜の方がお好きだったろうか?」

「あ……いえ。食事の時は甘くせずに頂くので……」

「なる程」

そう言ってマグカップを手に取り一口……あら?とっても飲みやすいわ。

「王国の紅茶は飲みやすくて良いですわね。私、とても好きになりそうですわ」

「それは嬉しいですね。今回持ってきたのは新しい物なので、気に入って頂けると生産者の励みにもなります」

「自領の物なのですね、素晴らしいですわ」

スッキリした飲み口に軽い後味。何にでも合いそうな紅茶は好きな部類に入る。

「お待たせ致しました」

そう言われ目の前に置かれた木の深皿と平皿。
深皿には先程のスープが、平皿には照り焼きソースが香ばしそうな何かの肉が載ってます。

ゴクッ……

思わず喉が鳴ってしまった。
カチャカチャと置かれたカトラリーを待ってました!とばかりに手に取り肉を小さく切って口の中に放り込む。
照り焼きソース!どこをどうやっても甘辛い照り焼きソースに手が止まらない。
美味しいっ!もう食べられないかと思った前世の味に無我夢中に貪る様に食べ、スープにも手を伸ばす。
掛けられている黒胡椒の荒い粉がアクセントになって美味しい!
鳥ダシスープに野菜の甘いダシと何かの肉のダシが合わさって、複雑な味わいになってる。
どうなってるの?どうして?美味しいけど、なんでこの味が?
疑問ばかりが受かんで来る。
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