婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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婚約者 11 (ラーラルーナ)

案内された天幕はゲル?とかあんな感じでテントとは違う、しっかりした造りのものだった。見るからに温かそうな天幕は何処となく可愛い感じで、所々模様の入った垂れ布が垂れ下がり他の天幕と差別化されている。
隣の一際大きくて豪華な赤い天幕がキャスバル様の天幕って事ね!ウフフ、夜にはアハンでウフンな声が聞けるかしら?楽しみったらないわ!

「気に入って貰えた様で一安心です。これから夜はこちらの客用天幕をラーラルーナ嬢専用としますので、寝泊まりする時には必要な物は夜までに持って来て下さい。勿論、従者達にも複数人で泊まれる天幕ヲ用意しますから安心して下さい」

「ありがとうございます。でも領都までには街で泊まったりするのでしょう?」

まさか連日野営なんて事は無いわよね?

「早めに領都に着くようにするので、ほぼ野営となります。街で泊まるとなると時間がかなり掛かります、それでは婚姻式に間に合わなくなってしまいますので」

えー……それじゃあ仕方ないわね。

「分かりましたわ。では町でゆっくり出来るのは今日だけですのね」

「そうです。ですが、天幕の中は街で泊まるのとそれ程変わりません。従者の方もすぐに慣れると思いますよ」

そう言うけど……

「中に入って確かめたいですわ」

そう言って天幕の中へと入る。
あら?ベッドにサイドテーブル、小さなテーブルとイスのセットにドレスが掛けられ様に作られた棚。
確かに街の宿並みの誂えだわ。靴を脱ぐ為なのか腰掛けがあって、ベッドのあるスペースは一段高くなっている。
一画に衝立が置いてあるから靴を脱いで上がり込む、衝立の奥を覗いて見れば体を拭いたり出来る様なスペースと水入れを置く様な台が置いてある。
至れり尽くせりだと思った。宿には体を拭く為のスペースが無い所だってあった。
天幕の中は静かで外の音を殆ど感じない。
ベッドの寝心地が気になってソッと腰を下ろしてみる。
フワリと沈む感触にちょっとだけ驚いた。
これ……ちゃんとしたベッドだ……
シーツも掛け布団も枕もちゃんとしてる。きっと夜はグッスリ眠れそう。
このレベルのベッドは街中の宿にも無かったわ……帝都の一流の宿と同レベルだと感じる。
うん、これは野営でも文句言えないわ。
パフンと上半身を倒してみる。

「あー……気持ち良~寝ちゃいそう~」

挫けてはダメよ!夜中には是非とも隣の天幕のアレコレを聞かなくっちゃいけないんだから!
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