婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

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午前中、シュバルツバルト侯の執務室で (ルーク)

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有り体に言おう。今、俺は侯爵の執務室にいるのだがキャスバルもトールもいる。
つまり、この部屋に俺達四人とその側近四人がいる。
男ばかりで花が無い。しかし、なぜか良い匂いがする!
男性用コロンは開発されてないのに、良い匂いとは!と思ったがエリーゼが香料入り液体石鹸とか作ってるし、サシェを作らせてるから基本良い匂いがするんだよな。シュバルツバルト侯爵邸。

「で、どうだ。キャスバル、ラーラルーナ嬢とは上手くいけそうか?」

「勿論です。頭の回転も良いし、理解も早い。時折気になる視線を感じるが悪意や敵意では無いので問題無いでしょう」

キャスバルごめん!その視線は横島でふしだら極まりない想像に耽ってるからだと思う!

「見た目も問題無いですし、来年には無事彼女と婚姻式を行えると思います」

婚姻したら夢と腐でカオスな女が出来上がる事請け合いで申し訳ない!

「母上とも気が合いそうだし、良いんじゃないかな」

「そうか。所でルークはどう思う?」

「えっ!あ……いや、良いんじゃないかな……」

思わず視線を横に流して答える。だって無理だよ……エリーゼは腐についても理解あるし、絶対気が合う……それも悪い方に……

「ん?何か引っかかるが、まぁ全員問題無しなら大丈夫だろう。で、キャスバル……ラーラルーナ嬢の後追いになるだろう帝国のお方達はそろそろだろうか?」

「はい。野営地を交代したので、明日か明後日にはこちらに到着すると思います」

「そうか。何とかなれば良いが……最悪帝国兵士には庭で天幕を張って貰う事になるか……」

「そればかりは見た具合ですね……」

うーん……そんなに多くはないと思うが、精鋭部隊なのは間違いないかな?

「ですが、シルヴァニア公爵家の方達の方が心配と言えば心配なのですが」

「そこは心配しなくて良いだろう!……と思う。まぁ……何だ……その、会ってみれば分かる……筈だ……」

「珍しいですね。父上の歯切れが悪くなるなんて」

「中々の傑物ばかりだからな……女性だが……」

あー……シルヴァニア公爵家と言っても女性陣がメインか……それは歯切れ悪くなるよな。俺もそこは言及されたくない。

「そうなんですか?」

「ああ……何とも言えん。まあ、さすがフェリシアを育てた方達だな……としか」

なる程……それは言葉を濁してしまうな……

「あー……母上の……」

重い空気が室内を包む。
それ程侯爵夫人の威力が強い事わ皆理解していた。
こうして男ばかり、微妙に黙り込む室内に春の明るい日差しとフワリと優しい花の香りが絶妙にミスマッチで心の中、乾いた笑いをするしかなかった。
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