婚約破棄されまして・裏

竹本 芳生

文字の大きさ
743 / 756

皇宮ラ・ラ・ラ・ラプソディ

ここはゴルゴダ帝国皇宮謁見の間。
皇帝アレクシオンは宰相アーネストと共に目の前に並ぶ皇太子ジョルジオの息子達を目にう~む……と唸った。

「何故父上だけがルークの婚姻式に向かうのです!私達にとっても可愛い末の弟です、是非とも行かせて下さい!」

不思議と皇太子ジョルジオの子供達は皆、末の弟ルークを可愛がっていた。

「ならん」

気持ちは分かるが許す訳にはいかない。

「皇太子殿下の仕事を僅かずつだがやって貰います。……私だって孫娘の婚姻式を我慢してると言うのに……」

宰相アーネストは小声だがしっかり聞こえる様に必要事項に継ぎ足す様に呟いた。
そう、この場には弟ルークを祝いたい者達と孫娘エリーゼを祝いたい宰相アーネストがいる。
皇帝アレクシオンも可愛い孫の一人の婚姻式故行きたい気持ちがある。
全員行きたい気持ちがあるのに立場が行ってはいけないと押し留まっているだけである。

「折角の祝いに……」

キッ!と全員を皇帝アレクシオンの隣から見渡し大きなため息をついた宰相アーネスト。

「シュバルツバルト領での婚姻式が済んだら、皇太子殿下とシルヴァニア公爵家の方々と共にこちらに来ます。婚姻式で結ばれたお二人だけでなく、シュバルツバルト侯爵と夫人も共に参ります。滞在はシルヴァニア公爵領と皇宮となります、どれ程の期間かは分かりませんがその間ルーク殿下とは時間が取れる筈です。それまで我慢……仕事をして頂きます。宜しいですね」

「ルークとシュバルツバルト侯爵令嬢が……!それは楽しみだな!是非とも帝国の良さを存分に味わって貰おう!そうと決まれば今から準備だ!」

「ええ!兄上、精一杯持て成しましょう!」

朗々と笑顔で言い合う二人に皇帝アレクシオンと宰相アーネストは顔を見合わせた。

「ではお祖父様、俺達は準備があるので失礼致します!」

「失礼致します、お祖父様!」

こうして代表格の二人が挨拶をするとバタバタと言う音は聞こえないものの、優雅な早足で謁見の間か子供達は消えた。

「……準備とはそんなに掛かるものだったか?」

「いえ……いや、何か催し物でもする気なのだろうか?良く分かりませんが……」

ハァ……と二人揃って大きな溜め息をつく。

「執務室に戻るか」

「そうですね。今日はもう謁見は無い筈ですしな」

二人は疲れた顔で謁見の間から皇帝の執務室へと歩いて行った。
二人の頭の中は『若い者は良く分からん』だったのはここだけの秘密です。
感想 3,411

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編) 異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。 それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。 そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!? R4.6.5 なろうでの投稿を始めました。