婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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春が来た! 74

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午後のお茶を楽しんでいた所にキャスバルお兄様の帰って来た知らせに邸中が慌ただしくなる。
立ち上がって窓辺へと歩を進めて外を見れば、まだ隊列の先頭も見えない。
て……事は領都に入って来た辺りか……よーし!マップで確認しよ!
領都には入ってる。伝令が先触れとして来たのね、単騎で隊列を目指して移動してるマーカーがある。
マップで見ると邸の中で蠢くマーカーの数の多い事!分かる!分かるわ!だって次期領主となるキャスバルお兄様とその婚約者様(いずれ領主夫人となるのよ!)のお出迎えたもの、気合いだって入るわ!

「エリーゼ様!お着替え致しましょう!次期様の婚約者様に我が家の威光を!」

「何、威光とか言ってるの!派手に仰々しくしても意味ないでしょう。普段より少ーし良い物を身に付けたら良いのよ」

「え~折角エリーゼ様を飾り立てれる機会だったのにぃ」

残念そうな顔をするアニスにちょっとだけ笑ってしまう。どれだけ飾り立てるつもりだったのかしら?

「さ、さっさと選んで着替えてしまいましょう」

「はぁい」

チラリと横目で窓辺の日差しの当たる一画を見る。カワイコちゃん達が毛足の長いラグ(作らせました!)の上で仲良くお昼寝してます。
アニスと共に部屋を移動し衣装をちゃちゃっと選ぶ。やっぱり春だし、春らしいパステルカラーのドレスにしましょう!

「エリーゼ様、今日はこちらにしましょう!」

アニスが選んだのは上が淡いピンクで下が優しい緑色のグラデーションのドレス。上品なレースをふんだんに使ったドレスは派手派手しくはないですが、華やかで良い。

「素敵ね。新しいドレスね」

「そうですね。ではお飾りと靴も選んでしまいましょう!」

そう、ドレスが決まったら次はお飾り……アクセサリーを選んで靴も選ぶ。トータルコーディネートですよ……

「髪飾りとお揃いの物が良いけどあったかしら?」

「はいっ!勿論です!こちらはどうですこ?」

そう言って持ってきた髪飾りは薄い布を幾重にも重ねてバラを模したピンク色の髪飾り……だけど、中央にピンクの宝石がキラキラしてます。
あちこちに宝石がつけられたり、垂れ下がっていたりしてるわ……

「それとこちらを!」

置かれたケースをパカッと開かれ、出て来たのはピンクから赤の宝石を使ったバラを模したデザインの三連ネックレスにイヤリングにブレスレットでした。
うん、違和感無いけど高そうよ……
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