婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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春が来た! 123

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平屋だけど屋根は高く、天井も高い。そんな長の家に近づけば奥様が出て来て超笑顔で待ち構えてます。
なんで……?

「お待ちしてましたよ、次期様の婚約者様なのですって?」

「ええ!そうなのよ、我が家に来るのだし普段からうちのドレスを着慣れておいて貰いたくて来たのよ~」

「沢山あるから楽しみにしてね~」

ヒィ……お母様と奥様の笑顔が怖い……
入り口で井戸端会議みたいに始めたけど会話が怖いです……

「え……?」

後ろから聞こえる戸惑いの声はラーラルーナ様です。

「エリーゼ様、今日はラーラルーナ様だから安心ですね!」

うん、アニス。何言っちゃってるの?笑顔でアニスを見るテイでラーラルーナ様を見たら、何かこう……戸惑いだけじゃないお顔になってました。
これは一言言っておこう……

「あー……ラーラルーナ様、隠岐を確かに持ってのぞんで下さい。その……かなりの量になると思いますので」

「かなりの……量……」

あ……顔色がちょっと青くなった……

「だっ……大丈夫よきっと!時間に限りがあるもの!午前のお茶会の時にはサロンに行くのだし、一日中なんて事無いわよ!」

多分……

「あら、エリーゼ。場合によっては度々休憩を挟んでこちらに来れば良いのよ」

「そうですよエリーゼ様、たっぷりありますものエリーゼ様も選んで宜しいのですよ」

「今回はラーラルーナ様のだと思っておりますので!」

すまない!ラーラルーナ様、生贄になってぇ!私、今日はゆっくりしたいの!
大丈夫!着回し何とかより良い筈!知らないけど!

「あら、残念。でもエリーゼ様は沢山ありますものね」

「ええ!まだまだ増える予定ですわ」

チーン……お母様にトドメを刺されました……
まだ増えるんですね……

「何と言っても婚姻する夫の趣味や好みで作るドレスがまだ発注されて無いのでしょう?」

「ええ、まだですわ。でも婚姻式が済めば大手を振って作れますものね。私共も楽しみにしてますのよ」

婚姻式て九日後ですやん……その後ルークが死ぬほどオーダー出してからの新婚旅行って事?ルーク……イキロ!

「うわぁ……」

「ラーラルーナ様、共に強く生きましょうね!」

「えっ!ええ……」

クスクスとアニスとマリエルが笑ってますが、侍女からすれば選ぶドレスが多いのは色々自慢の種なので喜んでるんです。

「さ!サッサと入りましょう」

お母様が良い笑顔で入る様仰いました。
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