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殺人鬼の本能
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「邪魔なガキが俺の事を嗅ぎまわっているんですよ、館の主」
如何にも体育教師といった感じのライアンは、メイジであるにも関わらずクロークやローブの類は着ていない。一般人が着る様なシャツとズボンだけだ。
はち切れそうな腕の筋肉を見せつけるようにして、悔しそうに自分の拳を叩いた。
「ビャクヤって使い魔の小僧がいるんですがね、【読心】を使うんで参りますよ、全く・・・」
「その魔法は常に気構えがあれば防げる魔法ですよ、ライアン殿」
「そうなんですか?」
メイジなのにそんな事も知らないのかと呆れながら、館の主はキリマルを探す。
「おや? 彼を見ませんでしたか? 新しいメンバーなのですが。貴方を迎えに玄関まで出た時には、近くにいたのですがねぇ。まぁ彼はどちらかというと殺しの方が好きみたいですから、きっと・・・」
「なるほどなぁ。確かに間近で見ると凄い邪気だ。持ったものを殺人鬼にする呪いの刀。じゃあ元々殺人鬼の俺が持ったらどうなる?」
俺は館の主が他の会員と一室に籠っている間に、中庭までやって来た。日本刀によく似た刀の刃は、中天に留まる太陽の光をよく反射していた。
刀に手を伸ばしたその時、館の主と会員が俺を探して中庭までやって来た。
「やれやれ、君はその刀に興味津々でしたからね。触れようとするのでは、と思って中庭に来て正解でした。まさか予想通りだとは・・・。さぁそんな刀から離れて下さい。それよりも紹介したい人がいるのです。こちらは君よりも少し前に会員になったライアン・アダムス先生です」
「知るかボケ。そんな奴はどうでもいい。邪魔すんじゃねぇ。俺ぁ、この刀を抜くぞ」
「バカを言うんじゃない! それは狂人と化す呪いの武器。それにその刀がないと森が普通の森に戻ってしまいます! 呪われた森だからこそ、我々のような日陰者が潜んでいられるのです!」
知るかよ。お? 顎割れがワンドを持ったぞ。魔法か? わりぃが厄介な事になる前に、この刀でお前らを斬り殺す。
俺は館の主と教師の詠唱よりも早く刀を掴んで、刃に光を反射させて二人の目を閉じさせた。
「ぐわl! 小賢しい!」
魔法に頼り過ぎだな。隙が大きい。この距離を一気に詰められるわけがないと慢心しているのか?
俺は低い姿勢のまま距離を詰め、素早く二人の両手を斬り飛ばした。
「ぎゃぁぁぁ!!」
鮮血を上げてのたうち回る二人を見ていると、背中がゾクゾクしてくるぜぇ。ヒヒヒ。
「おっかしいな、俺は狂人になるはずなのになんともねぇ。しかも柄を握った途端、刀から負のオーラが消えたんだが? 俺の狂気が勝ったって事か? ヒャハハ! こりゃあ何てことねぇ、ただの刀だ!」
痛みにもがく教師の胸を踏みつけて動きを止める。
「ジタバタすんじゃねぇ! さぁてどうやってお前らを殺そうかなぁ?」
俺はライアンとかいう教師の鼻を斬り飛ばした。
「いぎぃぃぃ!」
「ひゃあああ! 気持ちいい! もっと叫べや、オラァ!」
「ゆるじでください! お願いです、殺さないで!」
無くなった鼻から出る血で溺れているのか、ゴボゴボ煩い。
「ハハハ、何言ってんだかわかんねぇや」
館の主の方はどうだ? まだ苦しんでるか?
チッ! ショック死しやがったか。
「つまんねぇな」
俺は館の主が勝手に逝った事で急に興ざめしてしまった。
足の下でもがく鼻なし教師が途端につまらなく見えてくる。心臓を一突きして静かにした。
もっと俺を楽しませてくれそうな奴を殺しに行くか?
・・・いや、ここに潜んで少し世界の事を知った方がいいかもしれねぇ。ビャクヤもこんな近くに潜伏してるとは思わねぇだろ。灯台下暗しってやつだ。ヒヒヒ。
俺は真っ先に貯蔵庫へ向かった。よし、食料はたっぷりあるな。どうやってんのかは知らねぇが、痛み易い葉物野菜が常温でも新鮮だ。萎びたりしてねぇ。魔法のなんかのお陰か? ほんとこの世界は都合よく出来てんな。俺も魔法を覚えりゃ人殺しがもっと楽しくなるかなぁ? えぇ? ヒャッハハ!
如何にも体育教師といった感じのライアンは、メイジであるにも関わらずクロークやローブの類は着ていない。一般人が着る様なシャツとズボンだけだ。
はち切れそうな腕の筋肉を見せつけるようにして、悔しそうに自分の拳を叩いた。
「ビャクヤって使い魔の小僧がいるんですがね、【読心】を使うんで参りますよ、全く・・・」
「その魔法は常に気構えがあれば防げる魔法ですよ、ライアン殿」
「そうなんですか?」
メイジなのにそんな事も知らないのかと呆れながら、館の主はキリマルを探す。
「おや? 彼を見ませんでしたか? 新しいメンバーなのですが。貴方を迎えに玄関まで出た時には、近くにいたのですがねぇ。まぁ彼はどちらかというと殺しの方が好きみたいですから、きっと・・・」
「なるほどなぁ。確かに間近で見ると凄い邪気だ。持ったものを殺人鬼にする呪いの刀。じゃあ元々殺人鬼の俺が持ったらどうなる?」
俺は館の主が他の会員と一室に籠っている間に、中庭までやって来た。日本刀によく似た刀の刃は、中天に留まる太陽の光をよく反射していた。
刀に手を伸ばしたその時、館の主と会員が俺を探して中庭までやって来た。
「やれやれ、君はその刀に興味津々でしたからね。触れようとするのでは、と思って中庭に来て正解でした。まさか予想通りだとは・・・。さぁそんな刀から離れて下さい。それよりも紹介したい人がいるのです。こちらは君よりも少し前に会員になったライアン・アダムス先生です」
「知るかボケ。そんな奴はどうでもいい。邪魔すんじゃねぇ。俺ぁ、この刀を抜くぞ」
「バカを言うんじゃない! それは狂人と化す呪いの武器。それにその刀がないと森が普通の森に戻ってしまいます! 呪われた森だからこそ、我々のような日陰者が潜んでいられるのです!」
知るかよ。お? 顎割れがワンドを持ったぞ。魔法か? わりぃが厄介な事になる前に、この刀でお前らを斬り殺す。
俺は館の主と教師の詠唱よりも早く刀を掴んで、刃に光を反射させて二人の目を閉じさせた。
「ぐわl! 小賢しい!」
魔法に頼り過ぎだな。隙が大きい。この距離を一気に詰められるわけがないと慢心しているのか?
俺は低い姿勢のまま距離を詰め、素早く二人の両手を斬り飛ばした。
「ぎゃぁぁぁ!!」
鮮血を上げてのたうち回る二人を見ていると、背中がゾクゾクしてくるぜぇ。ヒヒヒ。
「おっかしいな、俺は狂人になるはずなのになんともねぇ。しかも柄を握った途端、刀から負のオーラが消えたんだが? 俺の狂気が勝ったって事か? ヒャハハ! こりゃあ何てことねぇ、ただの刀だ!」
痛みにもがく教師の胸を踏みつけて動きを止める。
「ジタバタすんじゃねぇ! さぁてどうやってお前らを殺そうかなぁ?」
俺はライアンとかいう教師の鼻を斬り飛ばした。
「いぎぃぃぃ!」
「ひゃあああ! 気持ちいい! もっと叫べや、オラァ!」
「ゆるじでください! お願いです、殺さないで!」
無くなった鼻から出る血で溺れているのか、ゴボゴボ煩い。
「ハハハ、何言ってんだかわかんねぇや」
館の主の方はどうだ? まだ苦しんでるか?
チッ! ショック死しやがったか。
「つまんねぇな」
俺は館の主が勝手に逝った事で急に興ざめしてしまった。
足の下でもがく鼻なし教師が途端につまらなく見えてくる。心臓を一突きして静かにした。
もっと俺を楽しませてくれそうな奴を殺しに行くか?
・・・いや、ここに潜んで少し世界の事を知った方がいいかもしれねぇ。ビャクヤもこんな近くに潜伏してるとは思わねぇだろ。灯台下暗しってやつだ。ヒヒヒ。
俺は真っ先に貯蔵庫へ向かった。よし、食料はたっぷりあるな。どうやってんのかは知らねぇが、痛み易い葉物野菜が常温でも新鮮だ。萎びたりしてねぇ。魔法のなんかのお陰か? ほんとこの世界は都合よく出来てんな。俺も魔法を覚えりゃ人殺しがもっと楽しくなるかなぁ? えぇ? ヒャッハハ!
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