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フードをはずせ
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別に神の奇跡云々はどうでもいいんだが、こいつらが人の手柄を厚かましく横取りするのが気に入らねぇ。
「おい・・・」
リーダーらしきフルヘルムを被る戦士に文句を言おうと、前に出るとビャクヤが手を伸ばして俺を止めた。
「待ちたまえ、キリマル。これは彼らの手柄にした方が良いッ!」
「んでだよ?」
「君は人を簡単に蘇生し過ぎなのだッ! もしこの事が世間に知れ渡ればどうなるかッ! 蘇生や治療の利権を持つ司祭たちに目を付けられるのは間違いないし、毎日ひっきりなしに死者を生き返らせてくれと、頼む者が現れるだろうッ! 何せ君の蘇生はコスト0だからねッ!」
「だったら金を取ればいいじゃねぇか」
「そうすれば今度は主様に怒りが向くッ! 高価な触媒や高レベルの司祭の祈りを必要としない蘇生術が使える悪魔を召しかかえているのに金を取るのか! この業突く張り女め! とねッ!」
(知った事か。人々の怒りを買って勝手に死ね!)
「ノンノンノン! 主様が死ねばッ! 吾輩はッ! 元の世界に帰らないといけなくなるッ! そうなると君はッ! 吾輩との契約が切れてこの世から綺麗さっぱり消えてしまうのだよッ!」
「なんでそうなる? 俺も元居た世界に帰るだけだろ?」
「そうはならない。キリマルは人間だと言い張っているが、明らかに悪魔なのだよ。君と出会った時にこっそりと鑑定魔法で調べてあるからね。そしてこれは吾輩の想像でしかないがッ! 君は一度死んでこの世界に悪魔として転生している。つまり帰る場所がないのだ。君は魔界出身の悪魔でもないからねッ! この世界に突然悪魔として転生した元人間ッ! 種族は人修羅、またの名を悪魔人間ッ!」
「だったら俺を召喚したゴブリンを殺した時点で、俺は消えてたはずだろうが」
「力のある悪魔は暫く人間界に留まれると聞いた事があるッ! 君がそうだったのかもしれないッ! 消え去る前に吾輩と契約できたことはッ! キリマルにとって凄く僥倖だったと言えるッ!」
「嘘クセェ」
「んんんならばッ! 契約を繋がりを斬ればどうかね? 君の刀は吾輩との契約を切れるぞッ! サキュバスの時のようにッ!」
(そういえば、そうだったな。俺はやろうと思えばビャクヤとの契約を無効にできる。しかし、この変態仮面が言う事が本当だったらどうする? まだまだ殺したりねぇぞ)
「生きていれば斬り放題だよッ! キリマルッ!」
「チィー! 糞がッ! 仕方ねえ。他に方法を見つけるまでお前と契約しておいてやる」
「それが賢明だねッ! (どう足掻いても契約を切れば君は消えるッ。よしんば契約を無効にできッ、尚且つ都合よく実体をこの世界に置く事ができてもッ、アッシャー界で悪魔の体を維持するには、膨大なエネルギーが必要だ。ゆえに独立できたとしてもッ! 精々君は一日か二日しか存在できないだろうッ! どの道、君は僕に従い続けるしかないのだよッ!)」
俺が小さな声でビャクヤと話している間に、聖人君主を気取る白銀の鎧を着た戦士の視線は、ルロロを捉えていた。
「すまないが、そこの白ローブのメイジ殿。フードを取ってはもらえないだろうか?」
ルロロの体がビクリとする。
「おい、リンネ。あの男は何者だ? なぜルロロの正体を瞬時に見破った?」
「彼らとちょっと話をしたから解ったんだけど、あのパーティのリーダーは、聖騎士を目指しているリッド・セイク君だよ。他のパーティーメンバーも、神殿騎士やら白メイジや僧侶を目指している子ばかりだね」
「対アンデッドの専門家ばかりってわけか。道理で祝福されたメイスを持っているわけだ。でもルロロはアンデッドではないのにどうして奴は気付いた?」
「さぁ?勘じゃないかしら?」
「勘、ねぇ・・・」
どうもあのリッドって奴の、村人を容易に虜にするカリスマ性や爽やかさを嘘臭く感じるんだわ。
「・・・どうしてですか? どうして私の素顔を見たがるのでしょうか?」
ルロロも正体をばらしたくないので必死に抵抗する。
「何もやましいところがなければ、フードをおろせるはずだが?」
リッドがフルヘルムを取ると長い金髪がはらりと落ちて、整った顔に目立つ青い目が、ルロロを睨む。
「私は・・・、顔に火傷を負っていますので・・・」
「嘘だね・・・」
なんだ? どうしてルロロが嘘をついていると解る? こいつもビャクヤと同じく心を読む魔法を覚えているのか?
しかし、そうではなかった。リッドは首にかかるチェーンを引っ張ってメダリオンを見せる。
星が輝く絵の描かれたそれは僅かに赤く光っており、ルロロの近くで掲げるとより一層強く光ったので、それが魔物を見破るアイテムだと誰にでも理解できた。
「これは人ならざる者や、悪魔を察知する先祖代々から伝わる魔法のメダリオンだ。使い魔には反応しない。僕がざっと見渡したところ、村人の中で目深にフードを被っている怪しい者は君しかいなかった。そして君にメダリオンを近づけてみればこの通りだ。この意味が解るね?」
「・・・」
ルロロは黙っている。俺の隣で、リンネがルロロを庇うべきかどうか迷っているのか慌てふためき、時々俺を見上げている。
リンネの代わりに俺がしゃしゃり出て、ルロロを庇うか? そうすればリンネに対してのいい点数稼ぎにもなる。
一応ルロロを庇う大義はあるかどうか、確かめておいたほうがいいな。
「おい、リッチってまだ辛うじて人なんじゃねぇのかよ? ビャクヤ」
俺はビャクヤに訊くと、何も知らない赤子に物を教えるのは面倒だという反応が返ってきた。
「キリマルはもう少しこの世界の事を勉強した方がいい。学園に帰ったら図書館で本を読みたまえッ! リッチは悪魔に身を売った以上、闇側の者に属するッ! あのメダリオンは反応して当然だッ!」
「さぁ! フードを下したまえ! 白ローブのメイジ殿!」
リッドの爽やかな顔の眉間に皺が寄り、口調が強くなった。
ルロロの近くにいた村人たちもササっと離れていく。
仕方ねぇ。もう少し成り行きを見守るか・・・。
「おい・・・」
リーダーらしきフルヘルムを被る戦士に文句を言おうと、前に出るとビャクヤが手を伸ばして俺を止めた。
「待ちたまえ、キリマル。これは彼らの手柄にした方が良いッ!」
「んでだよ?」
「君は人を簡単に蘇生し過ぎなのだッ! もしこの事が世間に知れ渡ればどうなるかッ! 蘇生や治療の利権を持つ司祭たちに目を付けられるのは間違いないし、毎日ひっきりなしに死者を生き返らせてくれと、頼む者が現れるだろうッ! 何せ君の蘇生はコスト0だからねッ!」
「だったら金を取ればいいじゃねぇか」
「そうすれば今度は主様に怒りが向くッ! 高価な触媒や高レベルの司祭の祈りを必要としない蘇生術が使える悪魔を召しかかえているのに金を取るのか! この業突く張り女め! とねッ!」
(知った事か。人々の怒りを買って勝手に死ね!)
「ノンノンノン! 主様が死ねばッ! 吾輩はッ! 元の世界に帰らないといけなくなるッ! そうなると君はッ! 吾輩との契約が切れてこの世から綺麗さっぱり消えてしまうのだよッ!」
「なんでそうなる? 俺も元居た世界に帰るだけだろ?」
「そうはならない。キリマルは人間だと言い張っているが、明らかに悪魔なのだよ。君と出会った時にこっそりと鑑定魔法で調べてあるからね。そしてこれは吾輩の想像でしかないがッ! 君は一度死んでこの世界に悪魔として転生している。つまり帰る場所がないのだ。君は魔界出身の悪魔でもないからねッ! この世界に突然悪魔として転生した元人間ッ! 種族は人修羅、またの名を悪魔人間ッ!」
「だったら俺を召喚したゴブリンを殺した時点で、俺は消えてたはずだろうが」
「力のある悪魔は暫く人間界に留まれると聞いた事があるッ! 君がそうだったのかもしれないッ! 消え去る前に吾輩と契約できたことはッ! キリマルにとって凄く僥倖だったと言えるッ!」
「嘘クセェ」
「んんんならばッ! 契約を繋がりを斬ればどうかね? 君の刀は吾輩との契約を切れるぞッ! サキュバスの時のようにッ!」
(そういえば、そうだったな。俺はやろうと思えばビャクヤとの契約を無効にできる。しかし、この変態仮面が言う事が本当だったらどうする? まだまだ殺したりねぇぞ)
「生きていれば斬り放題だよッ! キリマルッ!」
「チィー! 糞がッ! 仕方ねえ。他に方法を見つけるまでお前と契約しておいてやる」
「それが賢明だねッ! (どう足掻いても契約を切れば君は消えるッ。よしんば契約を無効にできッ、尚且つ都合よく実体をこの世界に置く事ができてもッ、アッシャー界で悪魔の体を維持するには、膨大なエネルギーが必要だ。ゆえに独立できたとしてもッ! 精々君は一日か二日しか存在できないだろうッ! どの道、君は僕に従い続けるしかないのだよッ!)」
俺が小さな声でビャクヤと話している間に、聖人君主を気取る白銀の鎧を着た戦士の視線は、ルロロを捉えていた。
「すまないが、そこの白ローブのメイジ殿。フードを取ってはもらえないだろうか?」
ルロロの体がビクリとする。
「おい、リンネ。あの男は何者だ? なぜルロロの正体を瞬時に見破った?」
「彼らとちょっと話をしたから解ったんだけど、あのパーティのリーダーは、聖騎士を目指しているリッド・セイク君だよ。他のパーティーメンバーも、神殿騎士やら白メイジや僧侶を目指している子ばかりだね」
「対アンデッドの専門家ばかりってわけか。道理で祝福されたメイスを持っているわけだ。でもルロロはアンデッドではないのにどうして奴は気付いた?」
「さぁ?勘じゃないかしら?」
「勘、ねぇ・・・」
どうもあのリッドって奴の、村人を容易に虜にするカリスマ性や爽やかさを嘘臭く感じるんだわ。
「・・・どうしてですか? どうして私の素顔を見たがるのでしょうか?」
ルロロも正体をばらしたくないので必死に抵抗する。
「何もやましいところがなければ、フードをおろせるはずだが?」
リッドがフルヘルムを取ると長い金髪がはらりと落ちて、整った顔に目立つ青い目が、ルロロを睨む。
「私は・・・、顔に火傷を負っていますので・・・」
「嘘だね・・・」
なんだ? どうしてルロロが嘘をついていると解る? こいつもビャクヤと同じく心を読む魔法を覚えているのか?
しかし、そうではなかった。リッドは首にかかるチェーンを引っ張ってメダリオンを見せる。
星が輝く絵の描かれたそれは僅かに赤く光っており、ルロロの近くで掲げるとより一層強く光ったので、それが魔物を見破るアイテムだと誰にでも理解できた。
「これは人ならざる者や、悪魔を察知する先祖代々から伝わる魔法のメダリオンだ。使い魔には反応しない。僕がざっと見渡したところ、村人の中で目深にフードを被っている怪しい者は君しかいなかった。そして君にメダリオンを近づけてみればこの通りだ。この意味が解るね?」
「・・・」
ルロロは黙っている。俺の隣で、リンネがルロロを庇うべきかどうか迷っているのか慌てふためき、時々俺を見上げている。
リンネの代わりに俺がしゃしゃり出て、ルロロを庇うか? そうすればリンネに対してのいい点数稼ぎにもなる。
一応ルロロを庇う大義はあるかどうか、確かめておいたほうがいいな。
「おい、リッチってまだ辛うじて人なんじゃねぇのかよ? ビャクヤ」
俺はビャクヤに訊くと、何も知らない赤子に物を教えるのは面倒だという反応が返ってきた。
「キリマルはもう少しこの世界の事を勉強した方がいい。学園に帰ったら図書館で本を読みたまえッ! リッチは悪魔に身を売った以上、闇側の者に属するッ! あのメダリオンは反応して当然だッ!」
「さぁ! フードを下したまえ! 白ローブのメイジ殿!」
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