殺人鬼転生

藤岡 フジオ

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キリマル暴走

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「依頼主と早急に連絡を取りたいのですか? それは多分可能ですが、またどうしてですか?」

 ルロロは長い金色の髪が邪魔だったのか、後ろに束ねて不思議そうな顔をする。

「実はかくかくしかじかッ!」

「かくかくしかじかじゃわかりませんよ・・・」

「とにかくッ! 憑依された主様を廃屋に置いてきているのですッ! 急いで依頼主と連絡をッ! 伝えたい事がありまんすッ!」

「お札の効果はなかったのですね。という事は怨念の強いゴーストが現れたと・・・。わかりました、使い魔を依頼主に飛ばしましょう」

 ルロロはすぐに、窓から白いハトを飛ばした。

「回りくどいことせずに、俺らが直接依頼主の家まで行けばいいだろうがよ」

「基本的に冒険者は依頼主と接触はしないものと思ってください。色々なトラブルを回避するためです」

 俺はちらりとギルドの冒険者を見る。まぁそういう決まり事があるの、もむべなるかな。ならず者一歩手前みたいな輩ばかりだもんな。

 簡単に接触できるようにすると、依頼主を脅して金をもっと取ろうとする奴が現れるんだろうよ。

「依頼主はどんくらいで来るんだ?」

「一時間は待たされるかと・・・」

 ルロロがそう言いかけたところで、中年の赤いフードを被った女性がギルドに慌てて入ってきた。

「ラリムの件で来ましたっ!」

 息を切らしながらフードを下して、リモネは使い魔の白いハトをルロロに返す。

「早いな、おい」

「たまたま近くで買い物をしていたもので」

「緊急性があったのでそれはよかったッ! さて、リモネさんにお伝えしたいことがありますッ。貴方の息子さんはッ! いたずらをしようとして薬品を混ぜたのではなくッ! 作業場に侵入してきたレッドキャップからッ! 女の子を守るために自分の身を犠牲にしてッ! 敢えて薬品を混ぜて爆発を起こしたのです!」

 ずんぐりむっくりとした赤毛の中年女は、ローブの胸の辺りをぎゅっと握ると「ああ、なんてこと!」と言ってよろめいた。

「そんな悪鬼が入り込んでいたなんて・・・! あの作業場の近くには墓場があるので、それに引き寄せられたのかもしれません・・・。可哀想な私のラリム・・・」

「しかしッ! 幸運な事にラリム君及び他の子供たちの遺体がッ! 地下室にありましたっ!」

「まぁ! そこまで調べていませんでした。瓦礫がハッチの上に積み重なっていたもので・・・。私は爆発で何もかもが吹き飛んだと思い込んでいたのです。息子の亡骸を探そうとはしませんでした・・・。けれども、遺体が見つかったのは良かったと思います」

「これはッ! 他言無用なのですが! 我々は息子さんを生き返らせる術を持っていますッ! しかしながらッ! 生き返ったところでッ! レッドキャップが植え付けた恐怖はッ! 常に貴方のラリム君を苦しめるでしょうッ! そのトラウマは想像を絶するものだと思いますッ! それでもッ! 貴方は! 息子さんを蘇らせたいと願いますか? もしそうであれば相当な覚悟が必要になりますッ!」

 まぁ普通の親なら生き返らせたいと願うだろうな。

 しかし、そんな事はなかった。リモネは少し考えた後に首をゆっくりと横に振る。

「成仏させてやってください・・・」

「えッ!」

 ビャクヤが驚いて仰け反った。

 いやいや、この母親は賢明な判断をしたと俺は思うがね。生き返ってもラリムは、徐々に精神が壊れていく可能性もあるからよ。ヒヒヒ。

「しかし!」

「いいんです・・・。私はラリムの来世に希望を託します。自分を犠牲にして他人を救おうとしたあの子が、来世で不幸になるとは思えません。どうか成仏させてやってください」

「本当にいいんですか?」

「はい」

 帳簿をめくっていたルロロが、とある内容を見て声を掛けてきた。

「そういえば、子供の捜索依頼もありました。恐らく、今回の件と重複していると思います」

「となると、親御さんたちを集めて、また説明しないといけねぇな」

 めんどくせぇ。俺は三白眼をぐるりと回してため息をつく。

 こんな事してねぇで、早く誰かを殺してぇ。

「それなら、私が説明して回りましょう」

 リモネがそう提案してくれた。助かるわ。

「そうしてもらえると助かるんぬッ! ではルロロさんッ! 悪いのですが、強力な除霊の札をくれますか? 勿論お金は払いますッ!」

「わかりました。って、キャアッ!」

「ヒヒヒ!」

「何をしているッ! キリマルッ!」

 リモネの肩に刀を突き刺す俺を見て、ビャクヤが驚いている。まぁそうだろうな。ギルドの連中も俺を見て武器を抜いた。やるか?

「あ・・・ああ・・!」

 痛みで震えるリモネを見て、俺は一層顔を喜びに歪める。

「キリマルッ! 君は子供たちの死体を見てッ! 我慢ができなくなったようだねッ! こんなに早くにッ! 君の残虐性が暴走するとはッ! 思わなかったよッ!」

「キヒヒッ! なんとでも言え!」

 俺は刀を抜くと刃に沿って流れるリモネの血を、舐めて「ヒャハハ!」と笑った。
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