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晒し者
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リンネの故郷イノリスは、ニムゲイン王国の南東沿岸にあり、気候は初夏なのにもう真夏の様だった。
「あちぃ」
俺はコートを脱ぐとビャクヤにコートを渡す。ビャクヤはコートをどこかに消したが、いつでも言えば返してくれる。無限鞄とかいう便利なスキルだか、魔法だかのお陰で荷物の重さに苦労することはない。
イノリス村の人々は日焼けしており、誰もが陽気そうで開放的な雰囲気があった。昔のイギリスの貴族っぽい見た目のリンネからはイメージできない南国だ。
女の肌の露出も多く、ビャクヤが少し前かがみになっている。
直ぐに勃起するなんて、節操のないチンポだなぁ? えぇ? おい。
「勃ってなどいないッ!」
「なにが?」
俺の心の声を聞いて、そう答えたはいいが、リンネが反応した。
「独り言でやんすッ!」
「そう?」
なんで三下キャラ風に答えてんだよ。
「家には母ちゃんがいるのか? リンネ」
途端にビャクヤが肘鉄砲を食らわしてくる。
「思い出の石板を見ただろうッ! キリマル! なぜ最近のものではなく、過去の三人が映っているのかを考えなかったのかね!」
「あの微妙に絵が動く石板がなんだってんだ?」
「主様の母上はッ! 彼女が幼い時にお亡くなりになられているのだよッ!」
「それはご愁傷様。そういや父ちゃんが死んだとなると、お家取り潰しだな。リンネは貴族ではなくなるぞ。だがよ、復活させた場合はどうなるんだろうな?」
「君という奴は! 少しは主様の気持ちを考えたらどうかねッ!」
「いいのよ、ビャクヤ。お父さんが死んで動揺こそしたけども、私はそんなに悲しんでもいないし、読み物のヒロインみたいにメソメソもしないわ。寧ろキリマルのように何でもない事のように扱ってくれた方が気が楽よ。どのみちアマリが生き返らせてくれるだろうし」
やっぱりアマリの力を当てにしていたか。
「寧ろ、お父さんの名誉が汚された事に腹を立ててるの」
「名誉ねぇ・・・。で、リンネの父ちゃんはどんな人物なんだ?」
「名前はアトラス・ボーン。いつも手柄を他人に譲るお人好しだから、階級も下級騎士のまま。見た目通りの怪力漢で人望も厚いわ。あとちょっと変わってて魔物に凄く詳しいの」
「へえ。魔物に詳しいなら、仲間にも重宝されるだろうな」
「うん。その知識のせいで、お父さんは特別に、どこの隊にも配属されなかったわ。いつも色んな隊に引っ張りだこで人気者だったの」
「そんな父ちゃんが、敵前逃亡か・・・」
「だから敵前逃亡なんかするわけないでしょ! お父さんは魔物相手だと無敵なんだから。弱点とか知り尽くしているから一撃で倒すのよ、皆が手こずる魔物を!」
「でも最後に戦った相手が、魔物とは限らねぇぜ?」
魔物殺しの騎士か。知識は力とはよく言ったものだ。だが知識があるからって、その通りに動けるとは限らねぇ。性能の高いCPUを積んでいても、その他がショボくて力が発揮できないパソコンなんかもあるしな。リンネの父ちゃんは高い運動能力と知識があった。
・・・だが死んだ。そういや死因を聞いてねぇな。死んだ時の状況も。
詳細を聞こうとしたが、悔しそうに親指の爪を噛むリンネは、領主の屋敷の前に来ると、門衛に名を名乗って裏庭にある騎士の詰め所へとずかずか入って行った。
この平和で外敵のいない国では領主に招集されない限り、騎士たちは詰め所に来ることはない。詰め所にいたのは騎士団長と護衛が二人いるだけだった。
「お久しぶりです、鉄鎖騎士団団長クライネ・アストレイヤ様!」
リンネは怒った態度を隠しもせず、噛みつく勢いで団長のテーブルをバンと叩いた。
女騎士は普段は鋭いだろう目を丸くして驚き、リンネを見た。
「やぁ、リンネ。随分と大きくなったね。最後に会ったのは君が12歳の時か? 王立魔法学園へと旅立つ時にアトラスと共に見送った時以来だね」
ハスキーな声が昔を懐かしむ。
「そんな事よりも! お父さんが敵前逃亡をしたなんて嘘、誰がばら撒いているんですか!」
「誰も嘘なんてばら撒いてなんかいないさ。君の父上は、誰かに恨みを買うような人物ではなかったからね」
クライネは顔にかかった、カールする長い赤髪を振り払い、椅子から立ち上がって窓の外を見る。
革の胸当てを装備している以外、白いフリルの付いた長シャツと黒革のズボンというシンプルな恰好をした彼女は、風景が見たくて窓の外を見てるわけじゃねぇ。
リンネに冷静になる時間を与えているのだ。彼女の背中からは、親無し子となってしまったリンネに同情しているような空気を感じる。
「気持ちは解るよ。我ら鉄鎖騎士団だって、君の父上が敵前逃亡なんてしたとは信じたくはない。討伐した盗賊団の中にはメイジもいたから、幻惑魔法でもかかっていたのではないかと、何度も彼の遺体を調べたさ。君も知っての通り、私は能力持ちなのでね。真実を見通す目を持っている。しかし何度調べても魔法の痕跡もはなかったよ。つまり彼は突然恐怖で、隊を離れて後方に逃げだしてしまったのだ。そこを背中から盗賊のバックスタブでやられてしまった」
「なにかきっと事情があったのですよッ! 団長殿ッ!」
ビャクヤが勝手にしゃしゃり出る。
「誰かね、君は」
当然、発言権のない使い魔を見て、クライネが良い顔をするはずもなく。
「んももももも申し遅れまんしたッ! 吾輩、リンネ・ボーンに召喚されし魔人族の大魔法使いッ! ビャクヤ・ウィンでございますッ! 以後お見知りおきをッ!」
「なぜ仮面をしている? 顔を見せよ」
ドアの脇に立っていた年老いた護衛が、仮面をつけたままの怪しいビャクヤを咎める。
「取ったところで、同じことなのでんすが!」
そう言いながらビャクヤは仮面を外そうとした。やべぇ。見ねぇぞ。俺は見ねぇからな。見通しのスキルよ、発動するなよ?
俺は目をギュッと瞑ってからビャクヤを見る。ホッ! セーフ。奴の顔はモザイクの向こう側だ。
「ハウッ! うぎゅううう!」
振り返ってビャクヤの顔を見た団長は、体をピーンとさせて白目を剥いた後、崩れ落ちるように椅子に縋って息を荒らげた。
「なんだ・・・、この感覚は・・・。初めての感覚だ・・・。一体何が起こった? ハァハァ」
(ああ、こいつは常に、俺の見通しの目みたいなスキルが発動してんのか。じゃあ今こいつはビャクヤの顔を見ただけでイッたのか? 女版リッドか?)
「団長!」
老人の護衛二人が団長に駆け寄る。
「ええい、奇怪な技を使いおって! リンネ! お前はいつから如何わしい悪魔使いになった? 立派なウィザードになると言って村を出て行ったずじゃろうが! サモナーにでも鞍替えしたのか?」
髭もじゃの爺が鉄の鎧を鳴らしながら憤慨する。
「ビャクヤは悪魔じゃないし、私はサモナーでもないわ。私もビャクヤも何もしてないよ! モンジャスお爺!」
「しかし、お前の悪魔の顔を見た途端、団長の体調がおかしくなったゾイ!」
「ビャクヤは悪魔じゃなくて魔人族よ! ガキャージお爺!」
もう一人の護衛である―――、つるっとした赤い鉄兜を被る爺はちょび髭を掻きながら、険しい目でビャクヤを訝しんでいる。
まぁ外国の情報が少ないこの国の住人は、魔人族なんて知らないだろうから当然の反応だわな。
女騎士はまだ打ち寄せる快楽と戦っているのか、時折体を激しく震わせていた。
俺でさえビャクヤの顔を見るとおかしくなるんだ。男に耐性のなさそうな騎士団長様なら、見ただけで昇天してもおかしくはねぇ。
「ふぅ・・・。すまない、大丈夫だ。心配をかけたな、モンジャス、ガキャージ」
なんとか平常に戻った団長は、髪を整えて赤い顔でモジモジしながらビャクヤを見た後、美少年の魅了に抗うようにして頭を振ってから椅子に座り直した。
座りはしたものの一瞬腰を上げて嫌そうな顔をし、ゆっくりと腰を下している。下着がビチョビチョなんだろうな。
俺と同じ年くらいの女を魅了した当の本人であるビャクヤは、何が起きたのか解らないという表情を仮面に浮かべている。ちったぁ自分の魅了能力を自覚しろや。糞が。
「あの、それで・・・。お父さんの遺体はどこにあるんですか? 私の使い魔ビャクヤは多彩な魔法の使い手です。もしかしたら死因を特定できるかもしれません。私はお父さんが逃げたなんて絶対に信じませんから!」
「君の父上は・・・、不本意ながら騎士の典範に則って、遺体を禁固刑に処している。敵前逃亡した騎士は生死を問わず、牢屋に入れられる決まりなのでな」
「そんな!」
この暑さだ。随分と腐敗が進んでいるだろうぜ。正直、どの状態までなら蘇生ができるのか知りたい気もする。ゾンビでもOKだったんだから、腐敗程度じゃ問題なく生き返るか。
「まぁ、取り敢えず情報を集めてぇんだわ。リンネは親父の遺体を見るのは辛いだろうから、俺とビャクヤで遺体を検分する。リンネは戦場を調べてみてくれ」
「残念だが、それはできない。アトラスの遺体は敵前逃亡をした騎士という見せしめとして、誰も近くまで近寄る事はできないのだ。できるのはただ遠くから彼の亡骸を見るだけだ」
クライネは腰をモジモジさせながらも、手を前に組んでそう言う。
「それも騎士の典範に書いてあるのか?」
「そうだ」
チッ!
「お父さんの死体を晒して、名誉を傷つけるなんて酷いよ!」
「許してくれ・・・、リンネ。我々だってこんな事はしたくはないのだ。しかし決まりは決まりだ」
「グダグダ言ってても仕方ねぇな。皆でリンネの親父が死んだ場所まで行くぞ。現場検証だ」
リンネの親父を生き返らせりゃあ事情が聞けて全てが解決するのに、騎士の典範とやらはメンドクセェなぁ・・・。現場で何か証拠でも見つかるといいがよ。
「あちぃ」
俺はコートを脱ぐとビャクヤにコートを渡す。ビャクヤはコートをどこかに消したが、いつでも言えば返してくれる。無限鞄とかいう便利なスキルだか、魔法だかのお陰で荷物の重さに苦労することはない。
イノリス村の人々は日焼けしており、誰もが陽気そうで開放的な雰囲気があった。昔のイギリスの貴族っぽい見た目のリンネからはイメージできない南国だ。
女の肌の露出も多く、ビャクヤが少し前かがみになっている。
直ぐに勃起するなんて、節操のないチンポだなぁ? えぇ? おい。
「勃ってなどいないッ!」
「なにが?」
俺の心の声を聞いて、そう答えたはいいが、リンネが反応した。
「独り言でやんすッ!」
「そう?」
なんで三下キャラ風に答えてんだよ。
「家には母ちゃんがいるのか? リンネ」
途端にビャクヤが肘鉄砲を食らわしてくる。
「思い出の石板を見ただろうッ! キリマル! なぜ最近のものではなく、過去の三人が映っているのかを考えなかったのかね!」
「あの微妙に絵が動く石板がなんだってんだ?」
「主様の母上はッ! 彼女が幼い時にお亡くなりになられているのだよッ!」
「それはご愁傷様。そういや父ちゃんが死んだとなると、お家取り潰しだな。リンネは貴族ではなくなるぞ。だがよ、復活させた場合はどうなるんだろうな?」
「君という奴は! 少しは主様の気持ちを考えたらどうかねッ!」
「いいのよ、ビャクヤ。お父さんが死んで動揺こそしたけども、私はそんなに悲しんでもいないし、読み物のヒロインみたいにメソメソもしないわ。寧ろキリマルのように何でもない事のように扱ってくれた方が気が楽よ。どのみちアマリが生き返らせてくれるだろうし」
やっぱりアマリの力を当てにしていたか。
「寧ろ、お父さんの名誉が汚された事に腹を立ててるの」
「名誉ねぇ・・・。で、リンネの父ちゃんはどんな人物なんだ?」
「名前はアトラス・ボーン。いつも手柄を他人に譲るお人好しだから、階級も下級騎士のまま。見た目通りの怪力漢で人望も厚いわ。あとちょっと変わってて魔物に凄く詳しいの」
「へえ。魔物に詳しいなら、仲間にも重宝されるだろうな」
「うん。その知識のせいで、お父さんは特別に、どこの隊にも配属されなかったわ。いつも色んな隊に引っ張りだこで人気者だったの」
「そんな父ちゃんが、敵前逃亡か・・・」
「だから敵前逃亡なんかするわけないでしょ! お父さんは魔物相手だと無敵なんだから。弱点とか知り尽くしているから一撃で倒すのよ、皆が手こずる魔物を!」
「でも最後に戦った相手が、魔物とは限らねぇぜ?」
魔物殺しの騎士か。知識は力とはよく言ったものだ。だが知識があるからって、その通りに動けるとは限らねぇ。性能の高いCPUを積んでいても、その他がショボくて力が発揮できないパソコンなんかもあるしな。リンネの父ちゃんは高い運動能力と知識があった。
・・・だが死んだ。そういや死因を聞いてねぇな。死んだ時の状況も。
詳細を聞こうとしたが、悔しそうに親指の爪を噛むリンネは、領主の屋敷の前に来ると、門衛に名を名乗って裏庭にある騎士の詰め所へとずかずか入って行った。
この平和で外敵のいない国では領主に招集されない限り、騎士たちは詰め所に来ることはない。詰め所にいたのは騎士団長と護衛が二人いるだけだった。
「お久しぶりです、鉄鎖騎士団団長クライネ・アストレイヤ様!」
リンネは怒った態度を隠しもせず、噛みつく勢いで団長のテーブルをバンと叩いた。
女騎士は普段は鋭いだろう目を丸くして驚き、リンネを見た。
「やぁ、リンネ。随分と大きくなったね。最後に会ったのは君が12歳の時か? 王立魔法学園へと旅立つ時にアトラスと共に見送った時以来だね」
ハスキーな声が昔を懐かしむ。
「そんな事よりも! お父さんが敵前逃亡をしたなんて嘘、誰がばら撒いているんですか!」
「誰も嘘なんてばら撒いてなんかいないさ。君の父上は、誰かに恨みを買うような人物ではなかったからね」
クライネは顔にかかった、カールする長い赤髪を振り払い、椅子から立ち上がって窓の外を見る。
革の胸当てを装備している以外、白いフリルの付いた長シャツと黒革のズボンというシンプルな恰好をした彼女は、風景が見たくて窓の外を見てるわけじゃねぇ。
リンネに冷静になる時間を与えているのだ。彼女の背中からは、親無し子となってしまったリンネに同情しているような空気を感じる。
「気持ちは解るよ。我ら鉄鎖騎士団だって、君の父上が敵前逃亡なんてしたとは信じたくはない。討伐した盗賊団の中にはメイジもいたから、幻惑魔法でもかかっていたのではないかと、何度も彼の遺体を調べたさ。君も知っての通り、私は能力持ちなのでね。真実を見通す目を持っている。しかし何度調べても魔法の痕跡もはなかったよ。つまり彼は突然恐怖で、隊を離れて後方に逃げだしてしまったのだ。そこを背中から盗賊のバックスタブでやられてしまった」
「なにかきっと事情があったのですよッ! 団長殿ッ!」
ビャクヤが勝手にしゃしゃり出る。
「誰かね、君は」
当然、発言権のない使い魔を見て、クライネが良い顔をするはずもなく。
「んももももも申し遅れまんしたッ! 吾輩、リンネ・ボーンに召喚されし魔人族の大魔法使いッ! ビャクヤ・ウィンでございますッ! 以後お見知りおきをッ!」
「なぜ仮面をしている? 顔を見せよ」
ドアの脇に立っていた年老いた護衛が、仮面をつけたままの怪しいビャクヤを咎める。
「取ったところで、同じことなのでんすが!」
そう言いながらビャクヤは仮面を外そうとした。やべぇ。見ねぇぞ。俺は見ねぇからな。見通しのスキルよ、発動するなよ?
俺は目をギュッと瞑ってからビャクヤを見る。ホッ! セーフ。奴の顔はモザイクの向こう側だ。
「ハウッ! うぎゅううう!」
振り返ってビャクヤの顔を見た団長は、体をピーンとさせて白目を剥いた後、崩れ落ちるように椅子に縋って息を荒らげた。
「なんだ・・・、この感覚は・・・。初めての感覚だ・・・。一体何が起こった? ハァハァ」
(ああ、こいつは常に、俺の見通しの目みたいなスキルが発動してんのか。じゃあ今こいつはビャクヤの顔を見ただけでイッたのか? 女版リッドか?)
「団長!」
老人の護衛二人が団長に駆け寄る。
「ええい、奇怪な技を使いおって! リンネ! お前はいつから如何わしい悪魔使いになった? 立派なウィザードになると言って村を出て行ったずじゃろうが! サモナーにでも鞍替えしたのか?」
髭もじゃの爺が鉄の鎧を鳴らしながら憤慨する。
「ビャクヤは悪魔じゃないし、私はサモナーでもないわ。私もビャクヤも何もしてないよ! モンジャスお爺!」
「しかし、お前の悪魔の顔を見た途端、団長の体調がおかしくなったゾイ!」
「ビャクヤは悪魔じゃなくて魔人族よ! ガキャージお爺!」
もう一人の護衛である―――、つるっとした赤い鉄兜を被る爺はちょび髭を掻きながら、険しい目でビャクヤを訝しんでいる。
まぁ外国の情報が少ないこの国の住人は、魔人族なんて知らないだろうから当然の反応だわな。
女騎士はまだ打ち寄せる快楽と戦っているのか、時折体を激しく震わせていた。
俺でさえビャクヤの顔を見るとおかしくなるんだ。男に耐性のなさそうな騎士団長様なら、見ただけで昇天してもおかしくはねぇ。
「ふぅ・・・。すまない、大丈夫だ。心配をかけたな、モンジャス、ガキャージ」
なんとか平常に戻った団長は、髪を整えて赤い顔でモジモジしながらビャクヤを見た後、美少年の魅了に抗うようにして頭を振ってから椅子に座り直した。
座りはしたものの一瞬腰を上げて嫌そうな顔をし、ゆっくりと腰を下している。下着がビチョビチョなんだろうな。
俺と同じ年くらいの女を魅了した当の本人であるビャクヤは、何が起きたのか解らないという表情を仮面に浮かべている。ちったぁ自分の魅了能力を自覚しろや。糞が。
「あの、それで・・・。お父さんの遺体はどこにあるんですか? 私の使い魔ビャクヤは多彩な魔法の使い手です。もしかしたら死因を特定できるかもしれません。私はお父さんが逃げたなんて絶対に信じませんから!」
「君の父上は・・・、不本意ながら騎士の典範に則って、遺体を禁固刑に処している。敵前逃亡した騎士は生死を問わず、牢屋に入れられる決まりなのでな」
「そんな!」
この暑さだ。随分と腐敗が進んでいるだろうぜ。正直、どの状態までなら蘇生ができるのか知りたい気もする。ゾンビでもOKだったんだから、腐敗程度じゃ問題なく生き返るか。
「まぁ、取り敢えず情報を集めてぇんだわ。リンネは親父の遺体を見るのは辛いだろうから、俺とビャクヤで遺体を検分する。リンネは戦場を調べてみてくれ」
「残念だが、それはできない。アトラスの遺体は敵前逃亡をした騎士という見せしめとして、誰も近くまで近寄る事はできないのだ。できるのはただ遠くから彼の亡骸を見るだけだ」
クライネは腰をモジモジさせながらも、手を前に組んでそう言う。
「それも騎士の典範に書いてあるのか?」
「そうだ」
チッ!
「お父さんの死体を晒して、名誉を傷つけるなんて酷いよ!」
「許してくれ・・・、リンネ。我々だってこんな事はしたくはないのだ。しかし決まりは決まりだ」
「グダグダ言ってても仕方ねぇな。皆でリンネの親父が死んだ場所まで行くぞ。現場検証だ」
リンネの親父を生き返らせりゃあ事情が聞けて全てが解決するのに、騎士の典範とやらはメンドクセェなぁ・・・。現場で何か証拠でも見つかるといいがよ。
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