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願いは叶って
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「俺を最強にしてくれ」
そう願った。
願ってすぐに片目から一粒だけ涙が零れた。
糞ったれめ。俺は自分の感情すらコントロールできねぇのか?
だがよ、涙は頬に纏わりつく前に滑り落ちたので泣いていないも同じだ。ビヨンドの主、ヤンスにも気づかれていないだろうよ。
「嘘でヤンスね」
「何がだ?」
「キリマルは自分の心に、嘘をついているでヤンスよ」
「なぜそう言い切れる? 【読心】の魔法でも使っているのか?」
「そんなもの使わなくてもわかるでヤンスよ。ヤンスは見逃さなかったでヤンス。君が誰かを思って涙を零したのを。鬼の目にも・・・、いや悪魔の目にも涙でヤンス。この世には、完全なる悪人も善人も存在しないでヤンス。闇に塗れた悪人の心の中に、ほんの僅かな光があったとしてもヤンスは驚かないでヤーンス。素直になるでヤンス。ここにはヤンスとキリマルしかいないのだから」
このふざけた見た目の神は・・・。なんというか、神だけあって人の心をほぐすのが上手い。心が静まり、素直に話してもいいような気分になってきた。
「・・・。ああ、お前の言うとおりだ。俺はほんの一時とはいえ家族を持てた。人を憎み、嘲り、遠ざけ、殺して生きてきた俺でも、家族の絆のようなものをあの二人から感じたんだ。だからよ・・・。頼む・・・。カナとミドリを生き返らせてくれ・・・」
悪の生き方に背くというのは、こうも精神を疲弊させるのか。俺は膝を突いて頭を垂れた。
ヤンスはそんな俺を見る事もなく、何もない空中に手をかざしてから難しい顔をする。
「敢えて言う事でもないでヤンスが、過去の時代というのは終わった世界。過ぎ去り完成された、時の思い出。キリマルが死者を蘇らせる事ができなかったのは、技術的な失敗ではないでヤンス」
まだ何かを読み解こうとしているヤンスの行動や言動は、さっぱり理解できねぇ。なにを視ているんだ?
「だが博士曰く、蘇生は受け手の生命力も関係があると言っていたが?」
「勿論、そういった要因もあるでヤンスが・・・。キリマルの蘇生術を受けた者自体は、生命力が低いという事もなかったでヤンス。キリマルの蘇生の業が通じなかった者は、どのみちあの場で死んでいた者なのでヤンス」
「待ってくれ! イレギュラーな存在である俺がカナを孕ませて、生まれたミドリだってイレギュラーな存在なはずだろう? だったら死の運命なんかに縛られてねぇはずだぞ!」
「厳密に言うと、君の子供はカナの複製のような存在。つまり運命はミドリをカナの一部だと認識したでヤンス」
「じゃあカナはあの戦いで、死ぬ運命だったのか?」
「そうでヤンスよ。博士を庇って死ぬ運命は変わらなかった」
「では俺の願いはどうなるんだ?」
なんだこの糞神は! 思わせぶりな事言って俺を騙しやがったな? 結局はカナもミドリも蘇生できねぇって事じゃねぇか! 殺してやる・・・。神を殺せるかは知らないが殺してやる!
「却下でヤンス・・・」
俺は立ち上がると腰のアマリを探したが、アマリはこの神域ビヨンドには、もう来れない事を思い出して舌打ちする。
「と、言いたいところでヤンスが。仮想アカシックレコードで何度もシミュレートした結果! じゃじゃーーん! カナもミドリも生き返ったところで、歴史に殆ど影響がないと結果がでたヤーンス!」
拍子抜けして俺が口を半開きにしていると、ヤンスは頭の上でくるりと指を回すとパンと手を叩いた。
「これで二人は、キリマルの蘇生術の効果が遅延していただけ、という理由で生き返ったでヤーンス」
過去を映し出す霞が急に現れて、その中で蘇ったカナとミドリの姿があった。それを見て驚くミルト・アルケディアの姿も。
「これは・・・。お前の幻術じゃないだろうな?」
「疑り深い奴でヤンスねー。アカシックレコードを神以外が見れるなんて事、普通はないでヤンスよ? これは正真正銘、八千年前のカナとミドリでヤンス! ありがたく見るでヤンス!」
「いいのかよ、神が悪魔にそんなもん見せて」
「どうせ起きたら、キリマルは何も覚えてないでヤンス」
「・・・」
俺は蘇った事に喜ぶ年齢150歳のロリババァと我が子を見て、自然と口角が上がる。
「クハハ! なんだあの喜びようは! ミルトの頬にもキスをして喜んでやがる!」
ミルトや他の仲間にキスをした後、カナは俺の姿を探していた。それを見ているとまた胸が締め付けられる・・・。
(カナ・・・。お前は俺がいなくても平気そうだったのによ。なんでそんな不安そうな顔をして俺を探すんだ・・・)
ミドリをミルトに預けて、必死になって俺の名を呼んで探し回っている。俺やアマリがいた部屋にはもう誰もいねぇ。そういや俺がビヨンドにいる間、アマリはどこいってんだ?
カナはとうとう泣き崩れてその場に座り込んだ。
(くそったれ・・・。俺は・・・カナに必要とされていた・・・)
俺は服の胸の部分をギュッと握った。握る事で胸の締め付けが軽くなるような気がしたが、そんな事でこの気持ちが収まるものか。アホが。
「もう俺は・・・、あいつらの時代には・・・」
心に押し寄せてくるのは、悲しみより悔しさだった。
今まで散々回しても何も引けなかったスロット機から退いた途端、後から来た奴に大当たりを引かれるような・・・。例え下手だな、俺は・・・。
どうやら俺は心の底で、家族を欲しているようだ。
親からの虐待を受けて育った俺が、家族を欲しがるなんて笑えるぜ。となると、この悔しさは家族を手に入れられなかった悔しさか。
じゃあ新しく作ればいいじゃねぇかと思うが、もうそんな気分にはならねぇ。俺の心のどこかでカナとミドリだけが家族だと認識してしまったようだ。
「そうでヤンスね・・・。君は二度とカナとミドリには会えないでヤンス。そして今、キリマルは誰かに召喚されている最中でヤンス。ヤンスが元の時代に戻す必要はなかったでヤンスね」
道理でアマリがあの部屋にいねぇわけだ。
「なぁ、ヤンスの神様。ミドリの一生がどんなだったかわかるか? まさか邪神との戦いで命を落としたりしてねぇよな?」
「おほ?! キリマルの顔が悪魔の顔ではなく、父親の顔になっているでヤンスよ! これは珍しいものを見たでヤンス! ハハハ! あいたーーー!」
俺はゴブリンの禿げ頭を殴った。漫画のようなコブを作ってヤンスはアカシックレコードに手をかざす。今回は霞を見ても何も見えなかった。が、ヤンスは何かが見えているようだ。
「カナもミドリもあの邪神戦争を生き延びているでヤンス。ミドリが樹族の成人式を終えたと同時に、カナは寿命が尽きたでヤンス」
「すげぇ根性だな。寿命なんていつ来るかわからねぇのに、ミドリが成人するまで死なないという決意を有言実行するなんてよ・・・。クハハ!」
カナの死に方を聞いて悲しむよりも、俺は彼女の執念に感心して笑った。
「ミドリは魔人族の男と結婚して子を作り、それ以降の子孫は魔人族とばかり結ばれているでヤンスね。なのでキリマルの子孫は、現代ではほぼ魔人族の姿をしているヤンスよ」
「へぇ? 驚きだな! 現代まで血筋が絶えなかったなんてよ! で、どんな一族になったんだ?」
「キリマルの子孫は大まかに二つに分かれたでヤンス。一つは殺人鬼ばかりを輩出する・・・、恐ろしい一族となって沢山の者を殺めたでヤンス。だが、恨みを買い過ぎたその一族は、色んな者から討伐されてしまい、今は血が絶えようとしているでヤンスね。にもかかわらず最後の一人である彼女は、今日も誰かを殺して快楽に身を震わせているでヤンスよ!」
いいねぇ。ってか俺の性質しか引き継いでねぇじゃねぇか。隔世遺伝ってやつか?
「もう一つの血筋も、殺人鬼の素質はあったでヤンスが、子煩悩でもあったでヤンス。彼は時代の英雄と共に行動をする事で道を外れなかったでヤンス。結局この二つの子孫は、互いを親戚だとは知らずに戦う事になって・・・。おっと! これから先はまだ起こっていない出来事だったでヤンス。ビヨンドでの情報は忘れてしまうとはいえ、これ以上は言えないでヤーンス」
「殺人鬼の一族か。俺のネガティブな遺伝は受け継がなかったんじゃないのか? 博士よぉ。ヒャハハ! あ~気分がいいぜ。色々教えてくれてありがとよ。もう一つ願いがあるがいいか?」
「願いは一つだけでヤンス」
「そう言わずにな? 俺がビヨンドから去る時には、ここの出来事を全て忘れてしまうらしいが、カナとミドリが死んでなかったって事だけは忘れさせないでくれよ」
「駄目でヤンスよ」
「頼む!」
俺はゴブリンの禿げ頭を優しく撫でた。
「あふぅ! こ、こら! 神に向かって馴れ馴れしい! 下がるでヤンスよ! 悪魔め! でも・・・。仕方がないでヤンスね。記憶を残すことは無理でヤンスが、二人の生きた軌跡がわかるようにはしておくでヤンス」
「ヒャッハー! 最高だな! 俺は神らしくねぇあんたの事が気に入ったぜ。なんかよぉ、またどこかで会いそうだな? そん時はよろしくな」
「う~ん、ヤンスはもう会いたくないでヤンスねぇ。特異点であるキリマルには多少興味はあるでヤンスが。やはり神と悪魔というのは相性がよくないようでヤンス。さっきから背中がムズムズしているでヤンスよ。さっさと元の時代に戻るでヤンス!」
「つれねぇ事言うなよ。今回ばかりは悪魔の俺も、神様に頭を下げるぜ。ありがとうな、ヤンスの神様」
俺はクラウンがやるようなお辞儀をして頭を下げた。
「ん~。なんか誠意を感じないお辞儀でヤンスが、まぁいいでしょう。さぁさぁ! 悪魔! この神域から消えるでヤンスよ! チンカラホイ!」
そう願った。
願ってすぐに片目から一粒だけ涙が零れた。
糞ったれめ。俺は自分の感情すらコントロールできねぇのか?
だがよ、涙は頬に纏わりつく前に滑り落ちたので泣いていないも同じだ。ビヨンドの主、ヤンスにも気づかれていないだろうよ。
「嘘でヤンスね」
「何がだ?」
「キリマルは自分の心に、嘘をついているでヤンスよ」
「なぜそう言い切れる? 【読心】の魔法でも使っているのか?」
「そんなもの使わなくてもわかるでヤンスよ。ヤンスは見逃さなかったでヤンス。君が誰かを思って涙を零したのを。鬼の目にも・・・、いや悪魔の目にも涙でヤンス。この世には、完全なる悪人も善人も存在しないでヤンス。闇に塗れた悪人の心の中に、ほんの僅かな光があったとしてもヤンスは驚かないでヤーンス。素直になるでヤンス。ここにはヤンスとキリマルしかいないのだから」
このふざけた見た目の神は・・・。なんというか、神だけあって人の心をほぐすのが上手い。心が静まり、素直に話してもいいような気分になってきた。
「・・・。ああ、お前の言うとおりだ。俺はほんの一時とはいえ家族を持てた。人を憎み、嘲り、遠ざけ、殺して生きてきた俺でも、家族の絆のようなものをあの二人から感じたんだ。だからよ・・・。頼む・・・。カナとミドリを生き返らせてくれ・・・」
悪の生き方に背くというのは、こうも精神を疲弊させるのか。俺は膝を突いて頭を垂れた。
ヤンスはそんな俺を見る事もなく、何もない空中に手をかざしてから難しい顔をする。
「敢えて言う事でもないでヤンスが、過去の時代というのは終わった世界。過ぎ去り完成された、時の思い出。キリマルが死者を蘇らせる事ができなかったのは、技術的な失敗ではないでヤンス」
まだ何かを読み解こうとしているヤンスの行動や言動は、さっぱり理解できねぇ。なにを視ているんだ?
「だが博士曰く、蘇生は受け手の生命力も関係があると言っていたが?」
「勿論、そういった要因もあるでヤンスが・・・。キリマルの蘇生術を受けた者自体は、生命力が低いという事もなかったでヤンス。キリマルの蘇生の業が通じなかった者は、どのみちあの場で死んでいた者なのでヤンス」
「待ってくれ! イレギュラーな存在である俺がカナを孕ませて、生まれたミドリだってイレギュラーな存在なはずだろう? だったら死の運命なんかに縛られてねぇはずだぞ!」
「厳密に言うと、君の子供はカナの複製のような存在。つまり運命はミドリをカナの一部だと認識したでヤンス」
「じゃあカナはあの戦いで、死ぬ運命だったのか?」
「そうでヤンスよ。博士を庇って死ぬ運命は変わらなかった」
「では俺の願いはどうなるんだ?」
なんだこの糞神は! 思わせぶりな事言って俺を騙しやがったな? 結局はカナもミドリも蘇生できねぇって事じゃねぇか! 殺してやる・・・。神を殺せるかは知らないが殺してやる!
「却下でヤンス・・・」
俺は立ち上がると腰のアマリを探したが、アマリはこの神域ビヨンドには、もう来れない事を思い出して舌打ちする。
「と、言いたいところでヤンスが。仮想アカシックレコードで何度もシミュレートした結果! じゃじゃーーん! カナもミドリも生き返ったところで、歴史に殆ど影響がないと結果がでたヤーンス!」
拍子抜けして俺が口を半開きにしていると、ヤンスは頭の上でくるりと指を回すとパンと手を叩いた。
「これで二人は、キリマルの蘇生術の効果が遅延していただけ、という理由で生き返ったでヤーンス」
過去を映し出す霞が急に現れて、その中で蘇ったカナとミドリの姿があった。それを見て驚くミルト・アルケディアの姿も。
「これは・・・。お前の幻術じゃないだろうな?」
「疑り深い奴でヤンスねー。アカシックレコードを神以外が見れるなんて事、普通はないでヤンスよ? これは正真正銘、八千年前のカナとミドリでヤンス! ありがたく見るでヤンス!」
「いいのかよ、神が悪魔にそんなもん見せて」
「どうせ起きたら、キリマルは何も覚えてないでヤンス」
「・・・」
俺は蘇った事に喜ぶ年齢150歳のロリババァと我が子を見て、自然と口角が上がる。
「クハハ! なんだあの喜びようは! ミルトの頬にもキスをして喜んでやがる!」
ミルトや他の仲間にキスをした後、カナは俺の姿を探していた。それを見ているとまた胸が締め付けられる・・・。
(カナ・・・。お前は俺がいなくても平気そうだったのによ。なんでそんな不安そうな顔をして俺を探すんだ・・・)
ミドリをミルトに預けて、必死になって俺の名を呼んで探し回っている。俺やアマリがいた部屋にはもう誰もいねぇ。そういや俺がビヨンドにいる間、アマリはどこいってんだ?
カナはとうとう泣き崩れてその場に座り込んだ。
(くそったれ・・・。俺は・・・カナに必要とされていた・・・)
俺は服の胸の部分をギュッと握った。握る事で胸の締め付けが軽くなるような気がしたが、そんな事でこの気持ちが収まるものか。アホが。
「もう俺は・・・、あいつらの時代には・・・」
心に押し寄せてくるのは、悲しみより悔しさだった。
今まで散々回しても何も引けなかったスロット機から退いた途端、後から来た奴に大当たりを引かれるような・・・。例え下手だな、俺は・・・。
どうやら俺は心の底で、家族を欲しているようだ。
親からの虐待を受けて育った俺が、家族を欲しがるなんて笑えるぜ。となると、この悔しさは家族を手に入れられなかった悔しさか。
じゃあ新しく作ればいいじゃねぇかと思うが、もうそんな気分にはならねぇ。俺の心のどこかでカナとミドリだけが家族だと認識してしまったようだ。
「そうでヤンスね・・・。君は二度とカナとミドリには会えないでヤンス。そして今、キリマルは誰かに召喚されている最中でヤンス。ヤンスが元の時代に戻す必要はなかったでヤンスね」
道理でアマリがあの部屋にいねぇわけだ。
「なぁ、ヤンスの神様。ミドリの一生がどんなだったかわかるか? まさか邪神との戦いで命を落としたりしてねぇよな?」
「おほ?! キリマルの顔が悪魔の顔ではなく、父親の顔になっているでヤンスよ! これは珍しいものを見たでヤンス! ハハハ! あいたーーー!」
俺はゴブリンの禿げ頭を殴った。漫画のようなコブを作ってヤンスはアカシックレコードに手をかざす。今回は霞を見ても何も見えなかった。が、ヤンスは何かが見えているようだ。
「カナもミドリもあの邪神戦争を生き延びているでヤンス。ミドリが樹族の成人式を終えたと同時に、カナは寿命が尽きたでヤンス」
「すげぇ根性だな。寿命なんていつ来るかわからねぇのに、ミドリが成人するまで死なないという決意を有言実行するなんてよ・・・。クハハ!」
カナの死に方を聞いて悲しむよりも、俺は彼女の執念に感心して笑った。
「ミドリは魔人族の男と結婚して子を作り、それ以降の子孫は魔人族とばかり結ばれているでヤンスね。なのでキリマルの子孫は、現代ではほぼ魔人族の姿をしているヤンスよ」
「へぇ? 驚きだな! 現代まで血筋が絶えなかったなんてよ! で、どんな一族になったんだ?」
「キリマルの子孫は大まかに二つに分かれたでヤンス。一つは殺人鬼ばかりを輩出する・・・、恐ろしい一族となって沢山の者を殺めたでヤンス。だが、恨みを買い過ぎたその一族は、色んな者から討伐されてしまい、今は血が絶えようとしているでヤンスね。にもかかわらず最後の一人である彼女は、今日も誰かを殺して快楽に身を震わせているでヤンスよ!」
いいねぇ。ってか俺の性質しか引き継いでねぇじゃねぇか。隔世遺伝ってやつか?
「もう一つの血筋も、殺人鬼の素質はあったでヤンスが、子煩悩でもあったでヤンス。彼は時代の英雄と共に行動をする事で道を外れなかったでヤンス。結局この二つの子孫は、互いを親戚だとは知らずに戦う事になって・・・。おっと! これから先はまだ起こっていない出来事だったでヤンス。ビヨンドでの情報は忘れてしまうとはいえ、これ以上は言えないでヤーンス」
「殺人鬼の一族か。俺のネガティブな遺伝は受け継がなかったんじゃないのか? 博士よぉ。ヒャハハ! あ~気分がいいぜ。色々教えてくれてありがとよ。もう一つ願いがあるがいいか?」
「願いは一つだけでヤンス」
「そう言わずにな? 俺がビヨンドから去る時には、ここの出来事を全て忘れてしまうらしいが、カナとミドリが死んでなかったって事だけは忘れさせないでくれよ」
「駄目でヤンスよ」
「頼む!」
俺はゴブリンの禿げ頭を優しく撫でた。
「あふぅ! こ、こら! 神に向かって馴れ馴れしい! 下がるでヤンスよ! 悪魔め! でも・・・。仕方がないでヤンスね。記憶を残すことは無理でヤンスが、二人の生きた軌跡がわかるようにはしておくでヤンス」
「ヒャッハー! 最高だな! 俺は神らしくねぇあんたの事が気に入ったぜ。なんかよぉ、またどこかで会いそうだな? そん時はよろしくな」
「う~ん、ヤンスはもう会いたくないでヤンスねぇ。特異点であるキリマルには多少興味はあるでヤンスが。やはり神と悪魔というのは相性がよくないようでヤンス。さっきから背中がムズムズしているでヤンスよ。さっさと元の時代に戻るでヤンス!」
「つれねぇ事言うなよ。今回ばかりは悪魔の俺も、神様に頭を下げるぜ。ありがとうな、ヤンスの神様」
俺はクラウンがやるようなお辞儀をして頭を下げた。
「ん~。なんか誠意を感じないお辞儀でヤンスが、まぁいいでしょう。さぁさぁ! 悪魔! この神域から消えるでヤンスよ! チンカラホイ!」
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