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朝食と当面の目的
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目が覚めるとサーカがいそいそと服を着ていた。その後ろ姿はまるで朝チュンを終えたヒロインが如し。
早起きしてごはんの準備をしてくれているようにも見える。そう見えるってだけだけど。実際、朝ごはんを作るのは俺だし。
「おい、さっさと起きて朝食の準備をしろ、なさいよ・・・」
ん? サーカ様の口調がちょっと柔らかい? あれ? 耳が赤いですよ? 昨夜の事思い出しました? てっきり俺は「貴族である私の額にキスするとは何事か!」って罵倒されると思ってたんですが・・・。まぁいいや、嫌な思いしないで済む。
「へいへい」
俺は起きてマントを羽織る。マントがなけりゃただの裸の変態だからな。裸で様になるほどマッチョじゃないし。
ピーターが欠伸をしながらタープテントから出てきた。
「ふああ! 昨日は誰かさんと誰かさんが、エッチしてたから眠れなかったよ」
「してねぇ!」
「していない!」
「どうだか」
くっそー。弱みを握られると面倒な事になるのはサーカだけじゃないな。ピーターもだ。
「お前、なんか生臭いな・・・」
寝っ転がっていたトウスさんが、突然半身を起こしてそう言った。ピーターを匂ってから、ネコ科がよくやるフレーメン反応の顔をしているのだ。
「嘘だ! 僕は何もしちゃあいない!」
「誰もお前さんがナニかをしたなんて言ってないだろ。でもズボンの股間とこの染み、みっともないから、後で洗っとけよ」
トウスさん的には小声で言ったつもりだったのだろうけど、彼の渋い声は割と通りがいい。丸聞こえだ。
「ヒィィィ!」
ピーターは自分の股間を見て悲鳴を上げる。しっかりと怪しい染みがついていたからだ。
サーカがそんなピーターを白眼視していた。でもそれだけだ。それ以上は何も言ったりしなかった。はぁ、頬が赤いし、口が∞なのがクソ可愛いなぁ、サーカは!
それにしても・・・、プスーーーっ! プスス! ナイスだ、トウスさん! まぁ、ピーター君も? 思春期真っ盛りですからぁ? 夜にゴソゴソしてしまうのは? 仕方ないですが。
・・・俺も昨日は色々と、爆発しそうでヤバかったんですけどね。
亜空間ポケットから、昨夜に捏ねて整形しておいた低温発酵のパン生地を取り出して、携帯オーブンで15分ほど焼く。
おかずは、市場で買ったハムを焼いたものと、その辺から毟った野草のサラダ。後は、タンポポの根を乾燥させてローストして作った珈琲。砂糖とミルクをたっぷり入れると、サーカが美味しい顔をしてくれるので、そうする。
朝食が出来上がる頃に、ヤンスさんもハンモックを片付け終えて、焚火の近くにやって来た。
「このパーティはいいでやんすなぁ。毎食、こんな豪華な料理が食べられるなんて」
「だろ? オビオの料理に比べたらアルケディアの料理は、素材の味しかしねぇから、不味く感じるわ。見た目は華やかなんだけどよ」
いつもお褒め頂きありがとうございます、トウスさん。
ふむ。となると最初の頃に出会ったスープ屋さんは、割とマシなほうだったんだな。ちゃんと昆布と椎茸で出汁を取ってたしな。
「確かにオビオの料理は、旨味の使い方が上手い。素材の味を残しつつ、旨味も引き出す料理が多いので、中毒みたいになる」
お、あの口の悪いサーカが俺を褒めている! 普通に嬉しい。
「褒めてくれるのは嬉しいけど、今日の朝食は、割と手抜きだぜ?」
「これが手抜き? オビオは、いいとこのお坊ちゃまなんでやんすねぇ」
そういや、この星の住人が普段どんなものを食べているのか、ちゃんと見た事ないな・・・。
「皆、朝はいつも何を食べてんだ?」
「樹族国に来てオビオに出会う前までは、白湯だけだったぜ」
「黒パンと具の少ない野菜スープ」
「果物と紅茶だ」
トウスさんは食うに困ってたもんな。きっと自分は白湯だけ飲んで、子供たちには食事をさせていたんだ。泣けてくる。
ピーターは黒パンと野菜スープか。・・・駄目だ、奴の股間の染みが気になって、感想が思いつかねぇ。
貴族様は果物と紅茶か。朝はがっつり食べないんだな。
「ヤンスさんは?」
「あっしでやんすか? あっしは毎朝、自分が生きている事に感謝する人々の想いが、朝ごはんでやーんす」
「何言ってんだおめぇ? ゴブリン如きが良い子ぶるんじゃねぇぞ。っていうか何様だぁ? それ、何様目線だ?」
ピーターが邪悪な顔で、ヤンスさんを人差し指で小突いている。
「おい、やめ・・・」
ピーターがヤンスさんを小突くのを止めさせようとした俺は、その手をスッと引っ込めてしまった。
駄目だ。ピーターの股間の染みが気になって仕方ねぇ。まだ手を洗ってないかもしれんぞ。早くズボン洗えよ、ばっちい・・・。
「なはは! 冗談でやんすよ! あっしは何だって食べやすから。昨日も言ったように、旅しながら野草生齧りしたりとか、味の付いていない魚を焼いて食べてたでやんす。だからパーティに、料理人がいるなんて驚きでやんすよ!」
ヤンスさんは明るく笑って石に座ると、トレーの上の料理を食べ始めた。
当たり前だけど、日本人みたいに「いただきます」的な、食に対する感謝の掛け声はないんだな。
街で食事する人達をちらりと見たが、食事前の神へのお祈りは、信仰心が高そうな人だけがやってた。このパーティでは、誰も食事前に祈ったりはしない。サーカは信仰心が15もあるのにだ・・・。
「ハムうめぇ。胡椒がたっぷり振ってあるし贅沢だなぁ~。子供たちにも食わせてやりてぇ・・・」
トウス父ちゃんのセリフに、俺は思わず目頭を押さえた。涙が出るわ・・・。良い父ちゃんだなぁ。
そういやピーター曰く、シスター・マンドルさんの孤児院では、質素な食事しか出ないらしい。嘘かもしれないけど。マンドルさんの孤児院に預けられたトウスさんの子供たちは、しっかりと食べさせてもらっているのだろうか?
シスターも食うには困らないとは言っていたけど文字通り、食うに困らないが贅沢はできないレベルなんじゃないかな。
でもあの教会は、大神聖のお陰で(癪に触るが)寄付金が定期的に手に入るようになったと言ってたし、これからはまともな食事が出るに違いない。
「で、これからどうするんだ? オビオ」
サーカは甘いミルクコーヒーに出来た茶色い膜をモグモグと食べている。それ、俺は苦手なんだよなぁ。湯葉も苦手。まぁ料理として出されたら食うけども。
「魔剣を、ブラッド辺境伯に返しに行くのが当面の目的かな。まぁ急ぐ旅じゃないので、寄り道したりするかもだけど」
「闘技場跡地には行かないのか? 着れそうな防具を探すのだろう? いつまでも裸だと、私はお前を完全に変態だと認識するぞ」
うるせぇ! お前の火魔法の暴発事故で、俺は裸なんだろうが!
でも防具を見つけないとな・・・。いつまでも裸は心許ないし。
「じゃあ今日はアルケディアの闘技場に行きますか。お城の北にあるんだよな?」
「ああ。門番にオビオの胸の紋章を見せれば、問題なく入れてくれるだろう。オーガの防具も一式程度ならただでくれると思うぞ」
「よし! じゃあ朝食を食べたらすぐに出発だ!」
やった! これで夜の街灯下で女子学生を待ち伏せるような恰好ともおさらばだ!
なるべくカッコイイ装備が見つかるといいな。
オーガって裸に腰蓑だけってイメージがあるから、闘技場で見つけた装備が”丈夫な腰蓑“とかだったら嫌だな。
早起きしてごはんの準備をしてくれているようにも見える。そう見えるってだけだけど。実際、朝ごはんを作るのは俺だし。
「おい、さっさと起きて朝食の準備をしろ、なさいよ・・・」
ん? サーカ様の口調がちょっと柔らかい? あれ? 耳が赤いですよ? 昨夜の事思い出しました? てっきり俺は「貴族である私の額にキスするとは何事か!」って罵倒されると思ってたんですが・・・。まぁいいや、嫌な思いしないで済む。
「へいへい」
俺は起きてマントを羽織る。マントがなけりゃただの裸の変態だからな。裸で様になるほどマッチョじゃないし。
ピーターが欠伸をしながらタープテントから出てきた。
「ふああ! 昨日は誰かさんと誰かさんが、エッチしてたから眠れなかったよ」
「してねぇ!」
「していない!」
「どうだか」
くっそー。弱みを握られると面倒な事になるのはサーカだけじゃないな。ピーターもだ。
「お前、なんか生臭いな・・・」
寝っ転がっていたトウスさんが、突然半身を起こしてそう言った。ピーターを匂ってから、ネコ科がよくやるフレーメン反応の顔をしているのだ。
「嘘だ! 僕は何もしちゃあいない!」
「誰もお前さんがナニかをしたなんて言ってないだろ。でもズボンの股間とこの染み、みっともないから、後で洗っとけよ」
トウスさん的には小声で言ったつもりだったのだろうけど、彼の渋い声は割と通りがいい。丸聞こえだ。
「ヒィィィ!」
ピーターは自分の股間を見て悲鳴を上げる。しっかりと怪しい染みがついていたからだ。
サーカがそんなピーターを白眼視していた。でもそれだけだ。それ以上は何も言ったりしなかった。はぁ、頬が赤いし、口が∞なのがクソ可愛いなぁ、サーカは!
それにしても・・・、プスーーーっ! プスス! ナイスだ、トウスさん! まぁ、ピーター君も? 思春期真っ盛りですからぁ? 夜にゴソゴソしてしまうのは? 仕方ないですが。
・・・俺も昨日は色々と、爆発しそうでヤバかったんですけどね。
亜空間ポケットから、昨夜に捏ねて整形しておいた低温発酵のパン生地を取り出して、携帯オーブンで15分ほど焼く。
おかずは、市場で買ったハムを焼いたものと、その辺から毟った野草のサラダ。後は、タンポポの根を乾燥させてローストして作った珈琲。砂糖とミルクをたっぷり入れると、サーカが美味しい顔をしてくれるので、そうする。
朝食が出来上がる頃に、ヤンスさんもハンモックを片付け終えて、焚火の近くにやって来た。
「このパーティはいいでやんすなぁ。毎食、こんな豪華な料理が食べられるなんて」
「だろ? オビオの料理に比べたらアルケディアの料理は、素材の味しかしねぇから、不味く感じるわ。見た目は華やかなんだけどよ」
いつもお褒め頂きありがとうございます、トウスさん。
ふむ。となると最初の頃に出会ったスープ屋さんは、割とマシなほうだったんだな。ちゃんと昆布と椎茸で出汁を取ってたしな。
「確かにオビオの料理は、旨味の使い方が上手い。素材の味を残しつつ、旨味も引き出す料理が多いので、中毒みたいになる」
お、あの口の悪いサーカが俺を褒めている! 普通に嬉しい。
「褒めてくれるのは嬉しいけど、今日の朝食は、割と手抜きだぜ?」
「これが手抜き? オビオは、いいとこのお坊ちゃまなんでやんすねぇ」
そういや、この星の住人が普段どんなものを食べているのか、ちゃんと見た事ないな・・・。
「皆、朝はいつも何を食べてんだ?」
「樹族国に来てオビオに出会う前までは、白湯だけだったぜ」
「黒パンと具の少ない野菜スープ」
「果物と紅茶だ」
トウスさんは食うに困ってたもんな。きっと自分は白湯だけ飲んで、子供たちには食事をさせていたんだ。泣けてくる。
ピーターは黒パンと野菜スープか。・・・駄目だ、奴の股間の染みが気になって、感想が思いつかねぇ。
貴族様は果物と紅茶か。朝はがっつり食べないんだな。
「ヤンスさんは?」
「あっしでやんすか? あっしは毎朝、自分が生きている事に感謝する人々の想いが、朝ごはんでやーんす」
「何言ってんだおめぇ? ゴブリン如きが良い子ぶるんじゃねぇぞ。っていうか何様だぁ? それ、何様目線だ?」
ピーターが邪悪な顔で、ヤンスさんを人差し指で小突いている。
「おい、やめ・・・」
ピーターがヤンスさんを小突くのを止めさせようとした俺は、その手をスッと引っ込めてしまった。
駄目だ。ピーターの股間の染みが気になって仕方ねぇ。まだ手を洗ってないかもしれんぞ。早くズボン洗えよ、ばっちい・・・。
「なはは! 冗談でやんすよ! あっしは何だって食べやすから。昨日も言ったように、旅しながら野草生齧りしたりとか、味の付いていない魚を焼いて食べてたでやんす。だからパーティに、料理人がいるなんて驚きでやんすよ!」
ヤンスさんは明るく笑って石に座ると、トレーの上の料理を食べ始めた。
当たり前だけど、日本人みたいに「いただきます」的な、食に対する感謝の掛け声はないんだな。
街で食事する人達をちらりと見たが、食事前の神へのお祈りは、信仰心が高そうな人だけがやってた。このパーティでは、誰も食事前に祈ったりはしない。サーカは信仰心が15もあるのにだ・・・。
「ハムうめぇ。胡椒がたっぷり振ってあるし贅沢だなぁ~。子供たちにも食わせてやりてぇ・・・」
トウス父ちゃんのセリフに、俺は思わず目頭を押さえた。涙が出るわ・・・。良い父ちゃんだなぁ。
そういやピーター曰く、シスター・マンドルさんの孤児院では、質素な食事しか出ないらしい。嘘かもしれないけど。マンドルさんの孤児院に預けられたトウスさんの子供たちは、しっかりと食べさせてもらっているのだろうか?
シスターも食うには困らないとは言っていたけど文字通り、食うに困らないが贅沢はできないレベルなんじゃないかな。
でもあの教会は、大神聖のお陰で(癪に触るが)寄付金が定期的に手に入るようになったと言ってたし、これからはまともな食事が出るに違いない。
「で、これからどうするんだ? オビオ」
サーカは甘いミルクコーヒーに出来た茶色い膜をモグモグと食べている。それ、俺は苦手なんだよなぁ。湯葉も苦手。まぁ料理として出されたら食うけども。
「魔剣を、ブラッド辺境伯に返しに行くのが当面の目的かな。まぁ急ぐ旅じゃないので、寄り道したりするかもだけど」
「闘技場跡地には行かないのか? 着れそうな防具を探すのだろう? いつまでも裸だと、私はお前を完全に変態だと認識するぞ」
うるせぇ! お前の火魔法の暴発事故で、俺は裸なんだろうが!
でも防具を見つけないとな・・・。いつまでも裸は心許ないし。
「じゃあ今日はアルケディアの闘技場に行きますか。お城の北にあるんだよな?」
「ああ。門番にオビオの胸の紋章を見せれば、問題なく入れてくれるだろう。オーガの防具も一式程度ならただでくれると思うぞ」
「よし! じゃあ朝食を食べたらすぐに出発だ!」
やった! これで夜の街灯下で女子学生を待ち伏せるような恰好ともおさらばだ!
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