料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ

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風呂屋へのいざない

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「な~んか、サーカがサーカっぽくない」

 妖精さんのジト目が俺を睨む。

「連戦に次ぐ連戦。私だって疲れれば、おかしくもなる」

「連戦って・・・。サーカは最初に死んだやんか」

 ぐひーっ! そうだった。人肉の駒と運命のボードを使ったダーレ戦で、サーカは油断して死んだんだった。

「体はなくとも霊となってこの世にとどまり、皆と共に戦っていたのだ」

「ふーん。そんな事より、お腹すいた。オビオ、ご飯作って」

 おうよ。確かに腹ペコだ。なにか食材はあったかな?

 俺は思わず、亜空間ポケットを探ろうと手を動かしたが、動きを止める。そもそもサーカの体では亜空間ポケットを出せない。

「私は、オビオではない」

 あぶねぇ!

 リュウグめ! 流石ヒドラ星人にチェスで勝っただけある。

「何で生きているんだ?」

 突然トウスさんが、自分の頭や体を探りながら起き上がった。あんた細切れになってたもんなぁ・・・。

「俺だよ、俺! 俺がキリマルと戦って、追っ払ったんだ! 俺だ! 俺俺!」

 ま~た、ピーターが騒ぎだしたぞ。

「それはねぇな」

 トウスさんが立ち上がり、歩くことができるか確かめながらそう言った。

 なぜピーターがキリマルに勝てないのかの、理由まで言う気はないようだ。それ以上は何も言わなかった。

「オビオは生きているのかい?」

 小便塗れのウィングが男に戻って、俺を心配してくれた。そういや確かめてなかったな。

 心配になったので、俺は自分の体に近寄り、胸に耳を当てる。

「大丈夫だ。ちゃんと心音もある」

 そう答えると、皆安心して胸を撫で下ろした。嬉しいねぇ。そんなに心配してくれるなんて!

「私のクマちゃん・・・・」

 うん? 俺の体が寝言を言った。

 私のくまちゃんだぁ? となると案の定、サーカは俺の体に入っているわけか。

「オビオも前衛として頑張ったのだろう? 暫く寝かせておこう。トウス、彼をベッドに運んでくれ」

「了解した。それにしても、今日のサーカはえらくオビオに優しいじゃねぇか」

 体重150キロ以上ある俺を、難なく抱き上げたトウスさんは、ニヤニヤしている。

「馬鹿者。今日は色々あったのだ。優しくもなるさ。私とて鬼ではない」

「そういう事にしとこうか。ハッハ!」

 一段落ついて、リュウグがハァとため息を付いた。

「もう色々あり過ぎて何がなんやらやわ。そうや、気分転換にお風呂屋さんに行こう!」

「さんせ~い」

 メリィもおっぱいをプルンとさせて賛同している。

「わ、私はいい」

 リュウグはともかく、メリィの裸なんて見たらドキドキするだろ。

「でもサーカ、汗臭いで」

 え? 樹族って汗臭くなるの? いつも涼しそうな顔しているから、汗なんてかかないと思ってたわ。

 クンクン。確かに草汁みたいな臭いがする。これが樹族の汗臭さなのか? だったら俺は平気だな。

「サーカも一緒に入ろうよぉ~」

 メリィが腕に絡みついてきた。既に鎧を脱いで普段着になっていた。いつの間に着替えた?

「しかし・・・」

「ねぇ?」

 ん、んまぁ? 二人がどうしてもっていうのなら、入りますが? 俺が望んだことじゃないので、後で文句言うなよ?

「では入りますか」

 俺は仕方がないといった感じで首を横に振り、鎧を脱ぎ始めた。脱ぎ始めてふと気がつく。

(なんだこの鎧。繋ぎ目が無いぞ。というか、浮いている。あぁ、魔法の鎧だったか。で、どうやって脱ぐんだ?)

「サーカ。ちょっと前に新調した鎧の脱ぎ方、忘れたんか?」

 相変わらずリュウグのジト目は可愛い。

「忘れてなどいない」

 俺は何となくパワードスーツを思い出した。あれは「パージ」と言えば、装甲がはがれて消える。勿論、普通に背中から、脱皮する蝉みたいに脱ぐこともできるが。

「鎧よ、はずれろ」

 適当な事を言ってみる。するとどうだろう? ビンゴ! 鎧はガシャンガシャンと音を立てて床に落ちた。

 鎖帷子姿になった俺は、ドヤ顔でリュウグを見た。

「なんでドヤ顔してるん? 準備が出来たならはよ行こ!」

 いや、鎖帷子を脱がなくては。

「それも魔法の鎖帷子やから、するっと脱げるで?」

 えぇい! 俺に恥をかかすんじゃアありませんよ、リュウグ。

「脱げろ、鎖帷子」

 シーン・・・。

「えっ? 脱げな・・・」

 狼狽えていると、リュウグがニヤニヤしている。

「嘘やで。サーカの鎖帷子はただの鎖帷子やで。あれ~? どうしたの~? サーカ」

「ハッ! 貴様の悪ノリに乗ってやっただけだ!」

「ふ~ん。まぁええわ。はよ、お風呂屋さんに行こ。私、汗でビチャビチャや」

 俺はシャツを脱ぐようにして鎖鎧を脱いでドシャッと床に置いた。

「あぁ、身が軽い」

 サーカはいつもこんな重い鎧や鎖帷子を着ていたのか。

 厚手のコットンの服だけになって、俺はリュウグとメリィと共に、お風呂屋まで歩くことにした。
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