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禁断の箱庭と融合する前の世界(44)
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「え!ウメボシ、亡くなったの?はは、でも生き返れるんでしょ?」
姉のイラっとくる軽い返しにもフランとコロネは反応せず沈んだだままだ。
「それがねぇ、【蘇り】の魔法はウメボシにしか使えないんだって。それにヒジリたちって魔法が効かないでしょ?普通の魔法じゃ蘇らせるのは無理だって言ってた・・・」
「ずっとカプリコン、カプリコンて言ってたな。カプリコンってヒジリ達の隠れ家じゃなかったっけ?」
コロネの言葉にフランは少しの間目を閉じ、瞼の裏に浮かぶヒジリを見た。蹲って何度も呪文のようにカプリコンと唱えていた彼がそこにおり、胸が痛くなる。
「辛かったわぁ、あんなヒジリを見るのは。私たちはいつもヒジリに助けてもらっているのに彼が本当に困っている時には何も出来ないなんて悲しいよ・・・」
「楽しいキャンプがとんでもない事になったね・・・」
タスネはそう言うと暫く部屋に沈黙が続く。
「ウメボシの料理、また食べたいなぁ・・・」
「大丈夫よ、コロネ。きっとヒジリが何とかするって!きっとまた食べられるよ!」
姉はそう励ますがどこか言葉が空回りしており、重い空気は払拭されそうにない。ここでようやっと影の薄いイグナがいない事に気がつく。
「イグナは何処に行ったの?」
「ナンベルさんと影人のいるところに行くって言ってたよ」
コロネは素っ気無く答える。
タスネはエエエ!と自分に何も言わずに突然旅に出たイグナに驚く。
「影人?彼らは自力で見つけないと受け入れてくれないって書物に書いてあったよ!まぁナンベルさんがいるなら大丈夫・・・かな?」
「きっと、ウメボシを生き返らせるアイテムでも見つけに行くんじゃないのぉ?あの子、いつも何も言わないで行動するから判らないけど・・・。でも学校に行っていないイグナだけが私達の中じゃ唯一自由に動けるのだし、何か手がかりを掴んできて欲しいわねぇ」
イグナは当たり前だが、魔法学校に通ってはいない。もう既に実戦経験も有り、魔法の実力も樹族国では最強の部類に入るからだ。何よりチャビン老師を倒している彼女に魔法を教えようと手を挙げる酔狂な教師はいない。
光と闇という相反する属性を持ち、闇魔法を得意とする魔女イグナ。
英雄子爵の影と恐れられ、無口で無愛想な彼女は吟遊詩人の歌でも良い印象はない。光側では闇魔法は悪い印象しかないからだ。
闇魔女は馬車の中で、狂気の道化師の膝に顔を伏せて泣いていた。
「ほら!いつまでも泣いてちゃ駄目ですよ、イグナちゃん。顔を伏せて何も見ていないと、ウメボシちゃんを生き返らせる術を見逃すかもしれませんよ!復活の術を探してきてヒー君を驚かすんでしょう?」
「わかってる。でも二人を思うと涙が出てくる」
「ヒー君もあの後、すぐに立ち直っていたじゃないですか」
「ヒジリには【読心】が効かないけど、彼は無理をしていた。そんな気がする」
「イグナちゃんは他人に心の機微に敏感過ぎますねぇ。ヒー君は一応神様ですよ?なんとかしますって、ウメボシちゃんの事も。我々は彼が上手く事を進められなかった時の安全網となれればそれでいいのです。彼が上手くいったらそれはそれで良し!もしその時、我々がウメボシちゃんを蘇生する術を見つけていても無駄にはなりません。今後の可能性や選択肢の幅を広げる事になるのですかラ」
「・・・」
「皆の同情を誘う様にオカァサーン!と女々しく泣いていたヒー君を取り囲む有象無象の中で、唯一ヒー君を助けることが出来るのは我々なんですよ!イグナちゃん!元気を出して前を向いて行きましょう!キュキュ!」
「ヒジリはオカァサーン!なんて言ってないし、女々しく泣いていない」
ナンベルの煽りに少し腹が立ち、イグナは元気が出てきた。
「その調子です、イグナちゃん。キュキュ!」
玉座の間でウェイロニーの魅了を解かれてノームは意識を取り戻した。ぼんやりと立ったままの彼の目に光が戻っていく。
「キュル!」
「何奴じゃ!と言っております陛下」
ウェイロニーが直ぐに翻訳する。よくこの早口が解るなとヒジリは不思議に思いながらノームを観察した。
折れ曲がった赤いコーンキャップを深くかぶり直して両手を構え、取り囲むヒジリやヴャーンズ達に険しい顔を向けている。
ノームはドワーフほど髭は多くはないが、白くフサフサとした顎髭を撫でて少し腰を落とし警戒している。下手に近寄れば柔道や合気道のような技で投げ飛ばされるだろう。
「やぁ、ノームの旅人よ。私はツィガル帝国皇帝ヒジリだ。よろしく」
ヒジリは握手をしようと片手を差し出したが、稲妻マークが手の甲に描かれている黒い手袋を見てノームは興味深そうに触りだした。
「キュル!」
「素材は何か、と聞いております陛下」
「無重力状態で混ぜあわせた色んな化合物で出来ており説明は難しい。電撃グローブなら後で幾らでも見せてやるから、先にこれを見てくれないかね」
ヒジリは玉座近くのサイドテーブルの上に置いてある壊れたウメボシをノームに見せた。
ノームは最初、ウメボシをただの死んだイービルアイだと勘違いして興味を持たず奥に座る鉄傀儡を気にしていたが、イービルアイが機械で出来ている事に気がついて目を輝かせ始める。
「キュル!キュル!」
ノームは興奮したように喋るが、やはり判らない。
ウェイロニーにも理解し難い言葉をノームは使うので困惑しながら翻訳している。
「これは魔法を使用していない純粋な機械だ!そうだろう?マナ収集孔がどこにも見当たらない。どうやって作った!動力は何だ?いつの時代の物だ?だそうです」
「それよりも、中のコアの修復は出来そうかと聞いてくれ」
いい返事が貰えるかもしれないと期待するヒジリは尋ねる。
ウェイロニーがそう伝えるとノームは難しい顔をしながら白い顎髭を触った。
「私の知る限りでは無理だと思う。見たところ、この技術は我々の技術の千年先を進んでいる、だそうです」
そうか、とヒジリは言うとがっくりと肩を落として玉座に座った。
約束通り電撃グローブを脱いでノームに渡し好きなだけ観察させる。子供の時に直したはずの癖である親指の爪を噛み、寂しそうにウメボシを見る。
「カプリコン・・・」
カプリコンに呼びかけるがミト湖の件以来返事はない。やはりカプリコンは地球に帰還しており、サジタリウスは惑星ヒジリ軌道上に到着していないと考えるべきか。
せめて転移装置で地球と繋げておけば良かったと―――地球の法では文明レベルの低い知的生命体がいる惑星に転移装置を設置出来ない事を知りながらもそう思う。
突然ヒジリを孤独感が襲う。
(もしカプリコンもサジタリウスも来なければ私はこの星でこれから一人で生きていかなければならないかもしれない。この惑星に転移してきた時と同じ状況に戻っただけだが、一つ違うのは長年連れ添ったウメボシがいないことだ。これからは本当に一人だ。・・・くそ!この心細さや孤独は私の全てを引き裂きそうな勢いだな)
自室に篭ってウメボシを眺めて解決策を考えていた時は、まだ自分の身にふりかかっている現実に実感がなかった。しかし、今しがたノームにウメボシの修復は無理だと言われ現実に気がついたのだ。
普段、会社の重役のような喋り方をしていても自分は所詮二十歳の若造。経験が圧倒的に足りず、こういった場合の対処の仕方がよくわからない。
いつしかウメボシが言った言葉を思い出した。
―――マスターは、現世に生きていない―――
昔から凡その事において、ヒジリは良くも悪くも自身から魂を剥離させたような視点で物事を見る。それが自分の事であってもだ。ウメボシの死は常に彼の背後を漂う魂を引き戻し、色んな感情を心の底から呼び覚ましたと言える。
ヒジリはレタウと名乗ったノームに路銀の足しにと幾らかお金を渡し、ノーム国への親書を渡した。いつか訪ねてみたいといった内容が書かれてある。
確かにノーム国の最高指導者に渡すとレタウはヒジリに伝え、暫く鉄傀儡とウメボシを名残惜しそうに見てから扉から出て行った。
「今日はもう重要案件は無さそうだな。私はいつものようにゴデの街まで出掛けて来る」
ヒジリはそうヴャーンズに伝え玉座から立ち上がった。
「陛下~、ご褒美がまだですけどぉ!」
「こら、ウェイロニー!無礼であろう!」
「でも、もうお腹ペコペコなんですよ~。頂きま~ス!」
サキュバスはヒジリの股間を弄りだした。ヴャーンズは顔を真っ青にして自分の使い魔の愚行に驚いている。
「あれ?これどうやってピーーーを出すんですか?」
「や、やめんか!ウェイロニー!無礼にも程があるだろう!」
部屋の隅にいたガードナイトがガシャリと動いた。皇帝に対してあまりに無礼が過ぎる者がいる場合、例えそれが皇帝の次の地位にある者の使い魔だろうが容赦なく鉄槌を下す。
ヒジリはガードナイト達に手の平を見せて制止する。
(く・・・そうだった。サキュバスの食事とはこれだった!オティムポなんて紛らわしい名前の牛のせいで誤解を招いてしまったな)
「今は駄目だ。ヴャーンズ、君が彼女に食事を与えてやってくれたまえ」
「ええーー!約束したのにーー!陛下のケチンポー!たまには若い人の濃いのが欲しいよー!」
「陛下の命令だ、諦めろウェイロニー。何なら街に出掛けて漁ってきたらどうだ?」
「ぶぅーー!知らない人のはヤダー!」
不満気なウェイロニーをヴャーンズは隠し部屋に連れて行った。
「サキュバスは何とも変な物を欲しがる悪魔だな?なぁウメボシ」
しかし、返事はない。いつもの癖でついウメボシに同意を求めたのだ。サイドテーブルの上にはひしゃげた頭部の彼女が光無い目で真正面を見つめていた。
「・・・えぇぃ!」
襲い来る孤独感を呑み込み、ヒジリは馬車の容易をしろと召使に言うと玉座の間から出た。
部屋を出るとガシャンガシャンと音がして玉座の間を囲む回廊の奥から、戦車のようなフルアーマーのリツが現れてヒジリに近づいてきた。
「陛下、私もお供します。ウメボシ殿の足元にも及びませんが、どうか私を御傍に」
兜の奥から気遣う目がヒジリを見つめる。
孤独に身を引き裂かれそうだったヒジリはこの申し出を受けた。
馬車の中で兜を脱いで一息つくリツにヒジリは聞いた。
「オーガは弱い男には興味を持たないのじゃないかね?私はミト湖で無様に泣き叫んでいたぞ?」
自身もオーガなのに何故ここまで他人事のように言うのだろうかとリツは不思議に思いつつも答える。
「陛下は・・・陛下は弱くはありません。沢山のメイジ達が苦戦したクラーケンを一撃で葬ったではありませんか。それに私は陛下に一度負けております。少なくとも私よりは強いです。それにオーガだって悲しければ泣きます」
「そうかもしれんが、私は我が半身であるウメボシがいなければもう無敵のオーガを名乗ることが出来ないのだ。以前より確実に防御が弱くなっている」
「でしたら私を頼って下さい。私が一生、陛下の盾となってお守りしましょう」
真剣な目で此方を見つめてプロポーズとも思えそうなその言葉にヒジリは思う。
(一生私を守るだと?そんな事は無理だ。ウメボシは絶対に私を裏切る事は無いが、君達の言葉には確実性がない)
そう思いつつも弱くなった心に彼女の言葉は深く響いた。
(これが絆と言うものなのか?ウメボシがこれを多くの人と結ぶよう私に求めたが、私は絆というものを地球でもこの星でも築こうとはしなかった・・・。今でも心の底では絆なんて理解できていない・・・)
それでも不安やら寂しさで心の中に嵐が吹き荒れるヒジリは、安らぎを求めてそっと彼女の手甲に手を重ねて見つめ返した。
リツは目を閉じてタコみたいな口をしている。キスをしろと言うのだろうか?
「キスはしないぞ。だが、その言葉が本当ならば嬉しい。私の盾として今後ともよろしく頼む」
「はい!」
リツはニコッと笑って元気に答えた。
馬車がオーガの酒場に着くと、中からメイド服姿のヘカティニスが出てきた。
「いつも出迎え悪いな」
「この酒場に馬車で来るのはヒジリだけだかだ、すぐ解る。あの・・その・・ウメボシの事、し・・・し・・・心中お察し申し上げます」
「無理しなくても良いぞ、ヘカ。ウメボシはいつか私が必ず復活させてみせる。ただそれには時間がかかりそうでね。まぁ復活させられる確証は何もないのだが・・・」
普段、弱音を殆ど吐かないヒジリが弱気になっていた。
「ヒジリになら出来るって!元気だせ!」
励まそうとヘカティニスが背中を叩こうとすると、一緒に降りてきたリツがその手をガシッ!と掴む。
「陛下を叩こうとは無礼にもほどがありますわよ?ヘカティニス」
「うるせぇど、淫乱オバケ!」
「まぁ!なんて下品な言葉!私は陛下以外の男を誘ったりはしませんことよ?その言葉、撤回してくださるかしら?」
「お前があの変な実を食ってヒジリを誘惑したかだ、結果的にウメダシが死んだんだぞ!反省しど!」
「ウメボシだ、ヘカ。それから二人共、いい加減にしろ。少しは仲良くしたらどうだ」
ヒジリの言葉に二人は黙り、お互い睨み合いながら酒場に入った。
ヒジリが酒場に入ると騒いでいた酒場が急に静かになった。皆ヒジリを心配して気を使っているのだ。
「皆、私に気を使わないでくれたまえ。ウメボシはいつか必ず復活させる。少しの間眠っているようなものだから気にしなくてもいい。今日は私も飲もう。ミカティニス、皆にどんどん酒を出してくれ。私からの奢りだ!」
それでも微妙な空気が漂う中、スカーが陽気な声を上げる。
「ウメボシだってこんな湿気た葬式は嫌だって言うだろうよ。皆ジャンジャン騒いでウメボシの復活を祈ろうぜ!ご馳走になるぜ!ヒジリ!」
ムードメーカーのスカーの言葉は再び酒場の空気を一瞬で明るくした。
皆、ヒジリにゴブレットを掲げると「ウメボシの復活を願って!」と言って酒をどんどんと飲みだした。
ヒジリはスカーに手を振って謝意を表した。スカーはウィンクで応える。
「ヘカ、一番強い酒をくれ。(酔わないが、こういう時、昔の地球人は強い酒を飲んで気分を紛らわしていたそうだからな)」
暫くすると何が原料なのか判らないが、透明な蒸留酒が小さなグラスに入って出てきた。ヒジリは一気にそれを流し込む。直ぐにアルコールをナノマシンが分解するとはいえ、アルコールの焼けるような感覚が喉を通り少し咽る。
「私も付き合いますよ!陛下!」
鎧を二階の物置に脱いできたリツは黒いアンダースーツ姿でヒジリの横に座って同じ蒸留酒を注文した。
ヘカティニスは一応ライバルに忠告はする。
「知らねぇど!85度もあるんだかだな、こで」
まだまだ効率よく蒸留できないのか、この手の酒は高い。奢りだと聞いてこの蒸留酒を少し飲んだ砦の戦士は真っ赤な顔をして咳込んだ。
それを見たリツは怖気づきながらも挑もうとしたが、ヒジリはジュースか水で割れと言って止めた。
素直にぶどうジュースで割って飲むも十分後にはベロンベロンに酔ったリツがそこにいいた。
「陛下好きです。すきすきすきすきすきっすき!」
思わず”あ~いして~る”と歌いたくなるのを堪えてヒジリはリツの病的な告白に耐えた。
「私がこんなに好きだと言っているのですからぁ、陛下もそれに応えるべきですよぉ。陛下は私の事、醜女じゃないって言ってくれたじゃないですかぁ。太い眉毛の女の子でも良いって。だから私はここまで陛下に忠誠を誓っているのです。ゆくゆくは私を伴侶にしてくれると思ってますから。もし裏切ったら陛下を殺して私も死にます」
おうふ・・・、とヒジリは呻き、一息で言葉を吐いたリツを見て少し引く。
(リツは酔うとヤンデレっぽくなるのだな・・・)
ヘカティニスは病的に告白をするリツを見て、おお怖いと呟いて肩を竦め、給仕の仕事を続けた。
酒場で皆と騒いでいる内に気分は紛れてきて、気がつくと夜中の十二時だ。
ヒジリはリツを担ぐと二階に上がり借りた部屋のベッドに横たわらせた。横たわらせて去ろうとするとリツがヒジリの腕を強引に引き寄せ、無理やり唇にキスをすると「クフフフ!」と笑って眠ってしまった。
(寝ぼけていたのか。驚いたぞ)
ヒジリはハンカチで自分の口を拭ってリツの部屋から出る。自室のベッドに寝転び暫くウメボシの死について考えたり、遺跡の調査をどうするかなどを考えた。そしてポケットからナンベルから貰った装置を取り出して見つめる。
(この装置を使うとどうなるか試していなかったな・・・。今から行ってみるか、ミト湖に。ミト湖で使うアイテムとは限らないのだが、この装置は霊山オゴソの麓の洞窟に住むドラゴンの宝の中に紛れていたのだ。少なくともこの地域で使うものだろう。ドラゴンは縄張りを作るとあまり広範囲に活動しなくなるからな。試してみる価値はある。何か見つけても明日一旦戻って準備してからにしよう。リツも心配するだろうからな)
そう言うとヒジリはポケットから小さな人形を出した。鼻に指を擦り付けると遺伝子情報を読み取ったナノマシンが人形の中から湧き出てきて、ヒジリそっくりになった。
「取り敢えず、これをベッドに寝かせておけば万が一、様子を見に来たリツが皇帝がいなくなったと騒ぐことも無いだろう」
人形なので動きはしないが、本人そっくりで機能も上手に模写している。殆ど同じと言っていい。ヒジリはこれでよく技のかかり具合を確かめていたのだ。
(そろそろ、ウメボシを失って私が弱体化したという噂は広まっているかもしれない。なるべく誰にも悟られずに行動したほうが良いな。暗殺等の厄介事に巻き込まれるのはごめんだ)
用心に越したことはないと呟くと、ブゥゥンという音共に、パワードスーツの遮蔽機能を起動させ、夜のミト湖へと向かった。
姉のイラっとくる軽い返しにもフランとコロネは反応せず沈んだだままだ。
「それがねぇ、【蘇り】の魔法はウメボシにしか使えないんだって。それにヒジリたちって魔法が効かないでしょ?普通の魔法じゃ蘇らせるのは無理だって言ってた・・・」
「ずっとカプリコン、カプリコンて言ってたな。カプリコンってヒジリ達の隠れ家じゃなかったっけ?」
コロネの言葉にフランは少しの間目を閉じ、瞼の裏に浮かぶヒジリを見た。蹲って何度も呪文のようにカプリコンと唱えていた彼がそこにおり、胸が痛くなる。
「辛かったわぁ、あんなヒジリを見るのは。私たちはいつもヒジリに助けてもらっているのに彼が本当に困っている時には何も出来ないなんて悲しいよ・・・」
「楽しいキャンプがとんでもない事になったね・・・」
タスネはそう言うと暫く部屋に沈黙が続く。
「ウメボシの料理、また食べたいなぁ・・・」
「大丈夫よ、コロネ。きっとヒジリが何とかするって!きっとまた食べられるよ!」
姉はそう励ますがどこか言葉が空回りしており、重い空気は払拭されそうにない。ここでようやっと影の薄いイグナがいない事に気がつく。
「イグナは何処に行ったの?」
「ナンベルさんと影人のいるところに行くって言ってたよ」
コロネは素っ気無く答える。
タスネはエエエ!と自分に何も言わずに突然旅に出たイグナに驚く。
「影人?彼らは自力で見つけないと受け入れてくれないって書物に書いてあったよ!まぁナンベルさんがいるなら大丈夫・・・かな?」
「きっと、ウメボシを生き返らせるアイテムでも見つけに行くんじゃないのぉ?あの子、いつも何も言わないで行動するから判らないけど・・・。でも学校に行っていないイグナだけが私達の中じゃ唯一自由に動けるのだし、何か手がかりを掴んできて欲しいわねぇ」
イグナは当たり前だが、魔法学校に通ってはいない。もう既に実戦経験も有り、魔法の実力も樹族国では最強の部類に入るからだ。何よりチャビン老師を倒している彼女に魔法を教えようと手を挙げる酔狂な教師はいない。
光と闇という相反する属性を持ち、闇魔法を得意とする魔女イグナ。
英雄子爵の影と恐れられ、無口で無愛想な彼女は吟遊詩人の歌でも良い印象はない。光側では闇魔法は悪い印象しかないからだ。
闇魔女は馬車の中で、狂気の道化師の膝に顔を伏せて泣いていた。
「ほら!いつまでも泣いてちゃ駄目ですよ、イグナちゃん。顔を伏せて何も見ていないと、ウメボシちゃんを生き返らせる術を見逃すかもしれませんよ!復活の術を探してきてヒー君を驚かすんでしょう?」
「わかってる。でも二人を思うと涙が出てくる」
「ヒー君もあの後、すぐに立ち直っていたじゃないですか」
「ヒジリには【読心】が効かないけど、彼は無理をしていた。そんな気がする」
「イグナちゃんは他人に心の機微に敏感過ぎますねぇ。ヒー君は一応神様ですよ?なんとかしますって、ウメボシちゃんの事も。我々は彼が上手く事を進められなかった時の安全網となれればそれでいいのです。彼が上手くいったらそれはそれで良し!もしその時、我々がウメボシちゃんを蘇生する術を見つけていても無駄にはなりません。今後の可能性や選択肢の幅を広げる事になるのですかラ」
「・・・」
「皆の同情を誘う様にオカァサーン!と女々しく泣いていたヒー君を取り囲む有象無象の中で、唯一ヒー君を助けることが出来るのは我々なんですよ!イグナちゃん!元気を出して前を向いて行きましょう!キュキュ!」
「ヒジリはオカァサーン!なんて言ってないし、女々しく泣いていない」
ナンベルの煽りに少し腹が立ち、イグナは元気が出てきた。
「その調子です、イグナちゃん。キュキュ!」
玉座の間でウェイロニーの魅了を解かれてノームは意識を取り戻した。ぼんやりと立ったままの彼の目に光が戻っていく。
「キュル!」
「何奴じゃ!と言っております陛下」
ウェイロニーが直ぐに翻訳する。よくこの早口が解るなとヒジリは不思議に思いながらノームを観察した。
折れ曲がった赤いコーンキャップを深くかぶり直して両手を構え、取り囲むヒジリやヴャーンズ達に険しい顔を向けている。
ノームはドワーフほど髭は多くはないが、白くフサフサとした顎髭を撫でて少し腰を落とし警戒している。下手に近寄れば柔道や合気道のような技で投げ飛ばされるだろう。
「やぁ、ノームの旅人よ。私はツィガル帝国皇帝ヒジリだ。よろしく」
ヒジリは握手をしようと片手を差し出したが、稲妻マークが手の甲に描かれている黒い手袋を見てノームは興味深そうに触りだした。
「キュル!」
「素材は何か、と聞いております陛下」
「無重力状態で混ぜあわせた色んな化合物で出来ており説明は難しい。電撃グローブなら後で幾らでも見せてやるから、先にこれを見てくれないかね」
ヒジリは玉座近くのサイドテーブルの上に置いてある壊れたウメボシをノームに見せた。
ノームは最初、ウメボシをただの死んだイービルアイだと勘違いして興味を持たず奥に座る鉄傀儡を気にしていたが、イービルアイが機械で出来ている事に気がついて目を輝かせ始める。
「キュル!キュル!」
ノームは興奮したように喋るが、やはり判らない。
ウェイロニーにも理解し難い言葉をノームは使うので困惑しながら翻訳している。
「これは魔法を使用していない純粋な機械だ!そうだろう?マナ収集孔がどこにも見当たらない。どうやって作った!動力は何だ?いつの時代の物だ?だそうです」
「それよりも、中のコアの修復は出来そうかと聞いてくれ」
いい返事が貰えるかもしれないと期待するヒジリは尋ねる。
ウェイロニーがそう伝えるとノームは難しい顔をしながら白い顎髭を触った。
「私の知る限りでは無理だと思う。見たところ、この技術は我々の技術の千年先を進んでいる、だそうです」
そうか、とヒジリは言うとがっくりと肩を落として玉座に座った。
約束通り電撃グローブを脱いでノームに渡し好きなだけ観察させる。子供の時に直したはずの癖である親指の爪を噛み、寂しそうにウメボシを見る。
「カプリコン・・・」
カプリコンに呼びかけるがミト湖の件以来返事はない。やはりカプリコンは地球に帰還しており、サジタリウスは惑星ヒジリ軌道上に到着していないと考えるべきか。
せめて転移装置で地球と繋げておけば良かったと―――地球の法では文明レベルの低い知的生命体がいる惑星に転移装置を設置出来ない事を知りながらもそう思う。
突然ヒジリを孤独感が襲う。
(もしカプリコンもサジタリウスも来なければ私はこの星でこれから一人で生きていかなければならないかもしれない。この惑星に転移してきた時と同じ状況に戻っただけだが、一つ違うのは長年連れ添ったウメボシがいないことだ。これからは本当に一人だ。・・・くそ!この心細さや孤独は私の全てを引き裂きそうな勢いだな)
自室に篭ってウメボシを眺めて解決策を考えていた時は、まだ自分の身にふりかかっている現実に実感がなかった。しかし、今しがたノームにウメボシの修復は無理だと言われ現実に気がついたのだ。
普段、会社の重役のような喋り方をしていても自分は所詮二十歳の若造。経験が圧倒的に足りず、こういった場合の対処の仕方がよくわからない。
いつしかウメボシが言った言葉を思い出した。
―――マスターは、現世に生きていない―――
昔から凡その事において、ヒジリは良くも悪くも自身から魂を剥離させたような視点で物事を見る。それが自分の事であってもだ。ウメボシの死は常に彼の背後を漂う魂を引き戻し、色んな感情を心の底から呼び覚ましたと言える。
ヒジリはレタウと名乗ったノームに路銀の足しにと幾らかお金を渡し、ノーム国への親書を渡した。いつか訪ねてみたいといった内容が書かれてある。
確かにノーム国の最高指導者に渡すとレタウはヒジリに伝え、暫く鉄傀儡とウメボシを名残惜しそうに見てから扉から出て行った。
「今日はもう重要案件は無さそうだな。私はいつものようにゴデの街まで出掛けて来る」
ヒジリはそうヴャーンズに伝え玉座から立ち上がった。
「陛下~、ご褒美がまだですけどぉ!」
「こら、ウェイロニー!無礼であろう!」
「でも、もうお腹ペコペコなんですよ~。頂きま~ス!」
サキュバスはヒジリの股間を弄りだした。ヴャーンズは顔を真っ青にして自分の使い魔の愚行に驚いている。
「あれ?これどうやってピーーーを出すんですか?」
「や、やめんか!ウェイロニー!無礼にも程があるだろう!」
部屋の隅にいたガードナイトがガシャリと動いた。皇帝に対してあまりに無礼が過ぎる者がいる場合、例えそれが皇帝の次の地位にある者の使い魔だろうが容赦なく鉄槌を下す。
ヒジリはガードナイト達に手の平を見せて制止する。
(く・・・そうだった。サキュバスの食事とはこれだった!オティムポなんて紛らわしい名前の牛のせいで誤解を招いてしまったな)
「今は駄目だ。ヴャーンズ、君が彼女に食事を与えてやってくれたまえ」
「ええーー!約束したのにーー!陛下のケチンポー!たまには若い人の濃いのが欲しいよー!」
「陛下の命令だ、諦めろウェイロニー。何なら街に出掛けて漁ってきたらどうだ?」
「ぶぅーー!知らない人のはヤダー!」
不満気なウェイロニーをヴャーンズは隠し部屋に連れて行った。
「サキュバスは何とも変な物を欲しがる悪魔だな?なぁウメボシ」
しかし、返事はない。いつもの癖でついウメボシに同意を求めたのだ。サイドテーブルの上にはひしゃげた頭部の彼女が光無い目で真正面を見つめていた。
「・・・えぇぃ!」
襲い来る孤独感を呑み込み、ヒジリは馬車の容易をしろと召使に言うと玉座の間から出た。
部屋を出るとガシャンガシャンと音がして玉座の間を囲む回廊の奥から、戦車のようなフルアーマーのリツが現れてヒジリに近づいてきた。
「陛下、私もお供します。ウメボシ殿の足元にも及びませんが、どうか私を御傍に」
兜の奥から気遣う目がヒジリを見つめる。
孤独に身を引き裂かれそうだったヒジリはこの申し出を受けた。
馬車の中で兜を脱いで一息つくリツにヒジリは聞いた。
「オーガは弱い男には興味を持たないのじゃないかね?私はミト湖で無様に泣き叫んでいたぞ?」
自身もオーガなのに何故ここまで他人事のように言うのだろうかとリツは不思議に思いつつも答える。
「陛下は・・・陛下は弱くはありません。沢山のメイジ達が苦戦したクラーケンを一撃で葬ったではありませんか。それに私は陛下に一度負けております。少なくとも私よりは強いです。それにオーガだって悲しければ泣きます」
「そうかもしれんが、私は我が半身であるウメボシがいなければもう無敵のオーガを名乗ることが出来ないのだ。以前より確実に防御が弱くなっている」
「でしたら私を頼って下さい。私が一生、陛下の盾となってお守りしましょう」
真剣な目で此方を見つめてプロポーズとも思えそうなその言葉にヒジリは思う。
(一生私を守るだと?そんな事は無理だ。ウメボシは絶対に私を裏切る事は無いが、君達の言葉には確実性がない)
そう思いつつも弱くなった心に彼女の言葉は深く響いた。
(これが絆と言うものなのか?ウメボシがこれを多くの人と結ぶよう私に求めたが、私は絆というものを地球でもこの星でも築こうとはしなかった・・・。今でも心の底では絆なんて理解できていない・・・)
それでも不安やら寂しさで心の中に嵐が吹き荒れるヒジリは、安らぎを求めてそっと彼女の手甲に手を重ねて見つめ返した。
リツは目を閉じてタコみたいな口をしている。キスをしろと言うのだろうか?
「キスはしないぞ。だが、その言葉が本当ならば嬉しい。私の盾として今後ともよろしく頼む」
「はい!」
リツはニコッと笑って元気に答えた。
馬車がオーガの酒場に着くと、中からメイド服姿のヘカティニスが出てきた。
「いつも出迎え悪いな」
「この酒場に馬車で来るのはヒジリだけだかだ、すぐ解る。あの・・その・・ウメボシの事、し・・・し・・・心中お察し申し上げます」
「無理しなくても良いぞ、ヘカ。ウメボシはいつか私が必ず復活させてみせる。ただそれには時間がかかりそうでね。まぁ復活させられる確証は何もないのだが・・・」
普段、弱音を殆ど吐かないヒジリが弱気になっていた。
「ヒジリになら出来るって!元気だせ!」
励まそうとヘカティニスが背中を叩こうとすると、一緒に降りてきたリツがその手をガシッ!と掴む。
「陛下を叩こうとは無礼にもほどがありますわよ?ヘカティニス」
「うるせぇど、淫乱オバケ!」
「まぁ!なんて下品な言葉!私は陛下以外の男を誘ったりはしませんことよ?その言葉、撤回してくださるかしら?」
「お前があの変な実を食ってヒジリを誘惑したかだ、結果的にウメダシが死んだんだぞ!反省しど!」
「ウメボシだ、ヘカ。それから二人共、いい加減にしろ。少しは仲良くしたらどうだ」
ヒジリの言葉に二人は黙り、お互い睨み合いながら酒場に入った。
ヒジリが酒場に入ると騒いでいた酒場が急に静かになった。皆ヒジリを心配して気を使っているのだ。
「皆、私に気を使わないでくれたまえ。ウメボシはいつか必ず復活させる。少しの間眠っているようなものだから気にしなくてもいい。今日は私も飲もう。ミカティニス、皆にどんどん酒を出してくれ。私からの奢りだ!」
それでも微妙な空気が漂う中、スカーが陽気な声を上げる。
「ウメボシだってこんな湿気た葬式は嫌だって言うだろうよ。皆ジャンジャン騒いでウメボシの復活を祈ろうぜ!ご馳走になるぜ!ヒジリ!」
ムードメーカーのスカーの言葉は再び酒場の空気を一瞬で明るくした。
皆、ヒジリにゴブレットを掲げると「ウメボシの復活を願って!」と言って酒をどんどんと飲みだした。
ヒジリはスカーに手を振って謝意を表した。スカーはウィンクで応える。
「ヘカ、一番強い酒をくれ。(酔わないが、こういう時、昔の地球人は強い酒を飲んで気分を紛らわしていたそうだからな)」
暫くすると何が原料なのか判らないが、透明な蒸留酒が小さなグラスに入って出てきた。ヒジリは一気にそれを流し込む。直ぐにアルコールをナノマシンが分解するとはいえ、アルコールの焼けるような感覚が喉を通り少し咽る。
「私も付き合いますよ!陛下!」
鎧を二階の物置に脱いできたリツは黒いアンダースーツ姿でヒジリの横に座って同じ蒸留酒を注文した。
ヘカティニスは一応ライバルに忠告はする。
「知らねぇど!85度もあるんだかだな、こで」
まだまだ効率よく蒸留できないのか、この手の酒は高い。奢りだと聞いてこの蒸留酒を少し飲んだ砦の戦士は真っ赤な顔をして咳込んだ。
それを見たリツは怖気づきながらも挑もうとしたが、ヒジリはジュースか水で割れと言って止めた。
素直にぶどうジュースで割って飲むも十分後にはベロンベロンに酔ったリツがそこにいいた。
「陛下好きです。すきすきすきすきすきっすき!」
思わず”あ~いして~る”と歌いたくなるのを堪えてヒジリはリツの病的な告白に耐えた。
「私がこんなに好きだと言っているのですからぁ、陛下もそれに応えるべきですよぉ。陛下は私の事、醜女じゃないって言ってくれたじゃないですかぁ。太い眉毛の女の子でも良いって。だから私はここまで陛下に忠誠を誓っているのです。ゆくゆくは私を伴侶にしてくれると思ってますから。もし裏切ったら陛下を殺して私も死にます」
おうふ・・・、とヒジリは呻き、一息で言葉を吐いたリツを見て少し引く。
(リツは酔うとヤンデレっぽくなるのだな・・・)
ヘカティニスは病的に告白をするリツを見て、おお怖いと呟いて肩を竦め、給仕の仕事を続けた。
酒場で皆と騒いでいる内に気分は紛れてきて、気がつくと夜中の十二時だ。
ヒジリはリツを担ぐと二階に上がり借りた部屋のベッドに横たわらせた。横たわらせて去ろうとするとリツがヒジリの腕を強引に引き寄せ、無理やり唇にキスをすると「クフフフ!」と笑って眠ってしまった。
(寝ぼけていたのか。驚いたぞ)
ヒジリはハンカチで自分の口を拭ってリツの部屋から出る。自室のベッドに寝転び暫くウメボシの死について考えたり、遺跡の調査をどうするかなどを考えた。そしてポケットからナンベルから貰った装置を取り出して見つめる。
(この装置を使うとどうなるか試していなかったな・・・。今から行ってみるか、ミト湖に。ミト湖で使うアイテムとは限らないのだが、この装置は霊山オゴソの麓の洞窟に住むドラゴンの宝の中に紛れていたのだ。少なくともこの地域で使うものだろう。ドラゴンは縄張りを作るとあまり広範囲に活動しなくなるからな。試してみる価値はある。何か見つけても明日一旦戻って準備してからにしよう。リツも心配するだろうからな)
そう言うとヒジリはポケットから小さな人形を出した。鼻に指を擦り付けると遺伝子情報を読み取ったナノマシンが人形の中から湧き出てきて、ヒジリそっくりになった。
「取り敢えず、これをベッドに寝かせておけば万が一、様子を見に来たリツが皇帝がいなくなったと騒ぐことも無いだろう」
人形なので動きはしないが、本人そっくりで機能も上手に模写している。殆ど同じと言っていい。ヒジリはこれでよく技のかかり具合を確かめていたのだ。
(そろそろ、ウメボシを失って私が弱体化したという噂は広まっているかもしれない。なるべく誰にも悟られずに行動したほうが良いな。暗殺等の厄介事に巻き込まれるのはごめんだ)
用心に越したことはないと呟くと、ブゥゥンという音共に、パワードスーツの遮蔽機能を起動させ、夜のミト湖へと向かった。
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