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禁断の箱庭と融合する前の世界(79)
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「これを告げるのは酷だと思うが、残念ながら君のお爺さんはもうこの世にはいないね・・・」
モシューは水晶を見つめて残念そうな顔をして告げる。
イグナは涙ぐむエルの脚に触れて同情した。
「お祖父様の最期はどうだったか・・・解りますか?」
「樹族の高僧に囲まれているな。という事は立派な葬儀を上げてもらえたのでは無いかな?」
「我々は樹族たちの宗教観の中に生きてはいません。高僧に囲まれていたのは別の儀式か何かじゃないのですか?」
異世界からやって来たエルフは人間の姿をとる古龍の質問に黙って水晶を覗き込んだ。
「一番位の高そうな僧が何かを言っているな・・・。これで神を降臨させる事が出来ると・・」
「なんてこと!お祖父様の亡骸を神を呼ぶための触媒に使うつもりなんだわ!きっとその高僧にお祖父様は殺されたのよ!」
「落ち着きなさい。で、君はこれからどうするね?」
「勿論、お祖父様を取り返して古龍のやり方で埋葬します。ああ、お父様やお母様の言う通りこの世界を去っていればお祖父様はこんな辱めを受ける事は無かったのに!」
エルは怒りで今にも変身が解けそうになっており、頭から真っ直ぐに伸びた角が生えている。
「それで、その憎き僧侶たちはどこにいるのですか?」
「私個人としては教えたくはない。が、君の心中もわからんでもない。出来れば話し合いで解決して欲しい。君のお爺さんの亡骸はモティ神聖国の一番大きな教会の地下に今もある」
とにかく祖父を一分一秒でも早く取り返したいエルはイグナを急かすように見つめた
イグナも同じ気持ちなのか、頷いて転移の魔法を発動させる。
モシューはまだ伝えることがあったが、彼女たちは瞬く間に消えてしまったので、ため息を付いて再び目をやった。何故なら水晶には血塗れのベンキが無残な姿で横たわっていたからだ。
(占いは必ずしも当たるとは限らない。ベンキの運命が変わりますように・・・)
エストは国境手前で、解放軍と作戦の最終確認をしていた。三十人程の獣人達の中には緊張と興奮で雄叫びをあげる者もいる。
「囮役は出来るだけゴーレムの注意を引くのだ。危なくなったら国境を越えてリンクスに逃げろ。捕縛系の魔法を使える者はゴーレムに魔法をかけ続けて何とか体勢を崩すのだ。以上、作戦開始!」
囮役の犬人と猫人は素早く動く。この作戦で一番危険な任務なせいか、緊張して頻繁に舌で鼻を舐めている。
国境を越えると直ぐ様ゴーレムは反応して動き出した。首のない十メートルの岩の塊は思いの外動きが素早く、獣人達を叩き潰そうと丸い拳を振り下ろしてくる。
激しい振動の後、拳を中心に土が舞い上がった。
「土煙ではなく、衝撃で土が舞い上がっている・・・。何という破壊力だ。囮役の者達は逃げ切れただろうか?」
しかし聖騎士の心配は杞憂に終わった。身のこなしに優れたメンバーを選んで囮役にしたので、誰一人ゴーレムの餌食になるものはいなかったのだ。
エストは胸を撫で下ろし、次の命令を出す。
「ゴーレムの足に捕縛系魔法をかけろ!」
魔法が極端に苦手な獣人達の中から一番マシな者を選んだが、エストは正直あまり期待はしていなかった。ほんの僅かでも足止めになって、作戦の足しになればと考えていたのだ。
獣人のメイジ達は詠唱を開始し、ゴーレムの足に向けて魔法をかける。半分ほどはレジストされてしまったが、数を撃っただけの成果はあった。
次々と足に絡む棘のある蔦が、ゴーレムを前のめりにさせて四つん這いにした。
「今だ!」
エストは走る。羽のように軽い魔法のフルプレートは走行の邪魔にはならない。岩でボコボコとした体表のゴーレムを駆け上がり、背中に登るとゴーレムを動かす文字を探す。
「壊れろ!そして止まれーーー!」
事前に物理攻撃力の上がる魔法を付与したメイスを文字に叩きつけた。
しかし文字はそう簡単に削れない。そうしている間にもゴーレムにかかった捕縛系の魔法は効果を失いだす。焦るように何度も文字を叩くも削れる気配はない。
「くそっ!くそっ!削れてくれ!頼む!」
エストの冷たい顔に焦りを浮かび玉汗が滲む。それでも叩きつけるが、やはり文字は削れない。汗で体が冷え、手がかじかみだし、息が白い。冬の寒さが容赦なくエストのスタミナを吸い取る。
遂に立ち上がろうとしたゴーレムはエストを振り落とすと、どこに有るのか判らない目で聖騎士を睨みつけた。
「作戦失敗!撤退しろ!」
地面に何とか着地して振り向き、エストは撤退命令をだすと獣人の殆どは逃げていくが、数人はエストを助けようと近づいてくる。
「馬鹿者!いいから逃げろ!私に構うな!」
ゴーレムの注意は獣人達に向く。エストは舌打ちをして走り、獣人達の前に立ってスキルを発動した。
「守りの盾!」
自分と獣人達の上と前面に半透明の盾のような防御壁が現れる。
(ゴーレムの攻撃の前では焼け石に水だろう。星のオーガであるヒジリ様、私に力を!皆を守る力を!)
僅かな生存の可能性を賭けて発動した防御壁はゴーレムの振り下ろした一撃を防いだ。しかし、あまりに負荷が大きかったせいか防御壁は割れて消え去った。二撃目が振り下ろされれば直撃は免れない。
(ああ、神様!)
自分がひしゃげて地面に横たわる姿を想像し、死を覚悟したエストの頭上でゴーレムの攻撃は何故か止まった。
そのまま前のめりに倒れてくるゴーレムをギリギリで躱し、背中に目をやるとあれほど殴っても削れなかった文字がポロリと欠けていた。メイスでの攻撃が今になって効果を見せたのかもしれない。
「まただ!また神が奇跡をお見せになった!」
エストはそう言って跪いて神に祈り感謝した。
周りの獣人達は歓声を上げたり雄叫びをあげてエストを囲んだ。
「聖騎士様万歳!最高神スター・オーガ万歳!」
誰もがエストを褒め称え、皆して抱きつく。
「おい!抱き着くな!」
と言いつつもエストは勝利の高揚と、自分は神に守られているという特別感に満面の笑みであった。
イグナの体に軽く電撃が走ったような気がした。それから自分が召喚師したグレーターゴーレムが頭に浮かぶ。
「ゴーレムが倒された・・・」
宿屋でどうやれば上手くモティ神聖国にある古龍の亡骸を回収出来るかを考えていた時であった。
「え?なに?」
タスネは聞き間違いかと思い妹に聞き直す。
「ゴーレムが倒された」
「えーーー!一週間もしない内に?っていうかグレーターゴーレムってマナ燃費も良くて無茶苦茶強いはずでしょ?」
タスネは折角無事に任務が終わりそうだったのにと不満顔である。
ベンキは眼鏡を光らせて答える。
「確かゴーレムには決定的な弱点が有ると本で読んだ事がある」
「知っているのか?ベンキ!」
コロネが驚いて聞くとベンキは静かに頷く。そして暫く間を溜めてから口を開いた。
「弱点までは知らないがな」
皆軽くずっこける。
「十中八九、その弱点を突かれたのであろうな。召喚者であるイグナも知らないような弱点を。しかしそうなると、議長から何かしらの連絡が来るであろう。宿屋からは出られんな」
エルはそわそわしながら、この状況に苛立つ。
「という事は、貴方達は暫くここから動けないという事ですか?」
「そういう事になるわね。ごめんなさい。貴方を助けられなくて・・・」
タスネがそう答えると、エルは苛立った自分を恥じて態度を改めた。
「いいえ、祖父の居場所が解っただけでも助かりました。ここからは何とか一人でやってみます。ありがとうございました」
そう言ってお辞儀をして足早に部屋を出ようとしたエルの手をベンキは握って捕まえた。
「まぁ、待て。神を降臨させるのにエルの祖父だけで賄えるわけが無い。他にも貴重な触媒や儀式の準備でかなり時間がかかるだろう。暫く俺達と一緒にいろ。何故ならタスネはこう見えても樹族国の有力な貴族の一人だ。彼女の近くにいれば、自分で探すより情報は集まって来るぞ?」
コロネは鼻の穴と目を大きくして大きな声で言った。
「ベンキ、ヒジリみたい!」
「ああ、少し真似してみた。フフ」
ベンキの勤勉な苦学生のような顔が綻ぶ。
「いいんですか?タスネさん?」
「勿論よ!その代わりアタシ達のゴタゴタも手伝ってね」
「はい!」
その日は宿屋で待機をしていたが、結局議長の使いが現れることは無かった。
翌朝、姉妹たちは街の騒がしい声で目を覚ます。
「起きろ!恐らくゴーレムを倒した奴等だ!」
ベンキはドアの外から姉妹に注意を促す。姉妹は直ぐに鎧などを着て戦闘準備を始めた。
「前衛はベンキ、ダンティラス、それから・・・エルさんもやれるかしら?」
「はい!」
「じゃあお願い。中衛はコロネとアタシ、後衛はフランとイグナ」
タスネはコロネに教えてもらって少しは上達したショートボウの弦を引っ張って異常がないかを確かめた後、よしと言って頷く。そして「行くよ!」と気合の入った声で一同を率いて外に出た。
外に出ると既に戦闘は始まっており獣人達がポルロンドの兵士や傭兵達と交戦していた。まだリンクスから来たゲリラに対抗する軍隊が到着している様子はない。
戦いの喧騒の中、どこからか「おかあさーん」と母親を呼ぶ声がする。
迷子になった地走り族の小さな子供が母親を探してフラフラと戦闘地域へ走って行くのをタスネは見た。
「あの子!危ない!」
タスネが隊列を離れて駆け寄ろうとしたが、ポルロンドの兵士を倒した犬人がその子を見つける。
「ダメだ!間に合わないよ!」
しかし獣人はその子を抱き上げると匂いを嗅ぎ、同じ匂いのする母親を見つけて手渡した。
「うそ!良い人じゃないの!」
タスネは驚いて動揺する。ダンティラスも苦虫を潰した顔をしていた。
「やり難い。実にやり難い。善人を相手に戦うのは心が痛むのである」
敵は一般人と戦闘員の区別をする良識を持っている。それがタスネやダンティラスを複雑な気分にさせた。
(いっそ、悪人の方が容赦なくやれて気が楽なんだけど)
子供を助けた獣人は装備に身を固めたタスネ達を見つけて牙を見せて襲いかかってくる。両手にはめた鉤爪が、隊列を離れていたタスネを引き裂こうとしたが、霧化したダンティラスが彼女の前に現れて触手で犬人を締め上げる。
「しばし大人しくしているのである」
ダンティラスの赤い目が光ると獣人は大人しくなった。魅了の瞳は見事獣人に効き、コロネが素早くロープで拘束する。
それを見た数人の獣人は遠吠えをして警戒を促す。
「吸魔鬼がいるぞ!聖騎士のエストさんに知らせろ!」
ダンティラスは厄介な敵がいることに顔を歪ませた。
「ううむ、敵に聖騎士がいるのか。天敵であるぞ」
「聖騎士かぁ・・・。うちの聖騎士見習いみたいに修行をサボる怠け者だと嬉しいんだけど。仕方ないわね。ダンティラスは後衛に回って。フラン、前に出てベンキとエルの防御をお願い。攻撃はしなくていいから防御に専念して!」
「了解!ドキドキするわぁ・・・」
フランは自分の背の高さ程の大盾を馬車の荷物入れから出すと直ぐに前に出てベンキ達と並んだ。
獣人の大群を引き連れた聖騎士が公園から現れて、タスネ達を睨む。
「我は最高神ヒジリを崇める騎士なり!神の啓示に従って獣人達に味方する!行く手を阻むものは神に逆らう愚か者と自覚しろ!」
白銀の全身鎧を着るエストの黒い瞳は、伝説の聖騎士の横顔のマークが付いている盾を持つフランに向いた。金髪碧眼の妖艶な彼女は何一つ聖騎士としての鍛錬をしてきたように見えない。
「そこの聖騎士見習いに聞く。貴様の崇める神は?」
「え~?ヒジリですけどぉ~?」
「崇める神を呼び捨てにするとは何事か!同じ神を崇める者として教えてやろう。お前に神の加護はない!神の奇跡は我にあり!行け!解放の戦士たち!」
気迫に溢れ勢いに乗る聖騎士の後ろから、百人ほどの獣人が走ってくる。宿屋を背中にして、タスネ達は戦闘を開始した。
いきなりイグナが【麻痺の雲】を唱えて十人程を戦闘不能にした。
タスネは牽制として弓矢を素早く打つ。当たりはしないが、獣人達に近づくのを躊躇わせる効果は十分にあった。その隙にコロネは眠り毒の吹き矢で獣人達を眠らせていく。
ベンキは獣人との戦争で彼らの弱点を知っている。高い攻撃力と並外れた素早さがあるが、引き換えに体力とスタミナが低い。長期戦闘が苦手なのだ。暫くフランの守りの盾に任せて防御に徹していると彼らは勝手にへばってくれた。
そこを捕まえて腕をねじり上げて折るを繰り返していると獣人達も警戒してベンキには近寄らなくなった。
次第に獣人達の目がフランとエルに向く。数人が戦闘経験の少なそうなフランに攻撃を仕掛けるも、大盾が邪魔をし、それを何とか掻い潜ったとしてもメイスで往なされてしまい中々攻撃が決まらない。
モタモタしている間に獣人達はベンキの攻撃を受けたり、ダンティラスの触手に捕まっていく。
(何気に防御が巧みだぞ、あの女!)
エストはフランの動きをじっと観察する。我流とは思えない彼女の盾捌きに戦闘中であるにも関わらず感心してしまった。
エストは堪らなくなり、フランにメイスで攻撃を仕掛ける。勿論大盾に阻まれて攻撃は通らない。大盾に体を押し付け、覗き穴に顔を近づける。
「その盾捌きはお前が編み出したのか?」
「これ?見よう見真似だけど?帝国のオーガの戦い方よ?」
そう大盾の向こうから声が聞こえたかと思うと、大盾がいきなり勢い良く前進しだしたのでエストは弾き飛ばされて尻もちをついた。
体勢を崩したエストにポルロンドの傭兵が棍棒で殴りかかったが、神の加護を持つ聖騎士への攻撃は尽く外れる。
エストは直ぐに傭兵の脛にメイスを打ち込むとメキョっという音がして傭兵の脛が折れた。
苦痛で悶絶するポルロンドの傭兵をフランは直ぐに【癒やし】の祈りで癒やす。
「フハハハ!見たか!これが神の加護の力だ!お前達の攻撃は当たらない!ヒジリ様は我に味方している!」
それを聞いたフランは返す。
「ヒジリが貴方なんかに味方するわけないでしょう!」
「神の名を馴れ馴れしく呼ぶな!」
エストのメイスが癒やしの魔法を使用しているフランの背中を狙った。
しかし、吸魔鬼の触手がメイスを持つ腕を捉える。エナジードレインは神の加護がある聖騎士には効かない。
「聖騎士が敵の背後から攻撃をするのは法度ではなかったか?」
「むう・・・」
宿敵のような存在である吸魔鬼に諭されて、エストは恥ずかしさを誤魔化すようにして眉間に皺を寄せダンティラスを睨み付けた。それから強引に触手を振りほどき、フランの前に立った。
「さぁ立て!神を気安く呼ぶ愚か者よ!聖騎士同士の一騎打ちを申し込む!決闘空間!」
一種の亜空間を作り出すその魔法は聖騎士だけが使える。どちらかが倒れるまでその亜空間は解除されない。
フランが癒していた傭兵は決闘空間から弾き出されるようにして外に出された。一騎打ちを申し込まれた者以外はここに留まる事はできないのだ。
「さぁ尋常に勝負だ!聖騎士見習い!」
モシューは水晶を見つめて残念そうな顔をして告げる。
イグナは涙ぐむエルの脚に触れて同情した。
「お祖父様の最期はどうだったか・・・解りますか?」
「樹族の高僧に囲まれているな。という事は立派な葬儀を上げてもらえたのでは無いかな?」
「我々は樹族たちの宗教観の中に生きてはいません。高僧に囲まれていたのは別の儀式か何かじゃないのですか?」
異世界からやって来たエルフは人間の姿をとる古龍の質問に黙って水晶を覗き込んだ。
「一番位の高そうな僧が何かを言っているな・・・。これで神を降臨させる事が出来ると・・」
「なんてこと!お祖父様の亡骸を神を呼ぶための触媒に使うつもりなんだわ!きっとその高僧にお祖父様は殺されたのよ!」
「落ち着きなさい。で、君はこれからどうするね?」
「勿論、お祖父様を取り返して古龍のやり方で埋葬します。ああ、お父様やお母様の言う通りこの世界を去っていればお祖父様はこんな辱めを受ける事は無かったのに!」
エルは怒りで今にも変身が解けそうになっており、頭から真っ直ぐに伸びた角が生えている。
「それで、その憎き僧侶たちはどこにいるのですか?」
「私個人としては教えたくはない。が、君の心中もわからんでもない。出来れば話し合いで解決して欲しい。君のお爺さんの亡骸はモティ神聖国の一番大きな教会の地下に今もある」
とにかく祖父を一分一秒でも早く取り返したいエルはイグナを急かすように見つめた
イグナも同じ気持ちなのか、頷いて転移の魔法を発動させる。
モシューはまだ伝えることがあったが、彼女たちは瞬く間に消えてしまったので、ため息を付いて再び目をやった。何故なら水晶には血塗れのベンキが無残な姿で横たわっていたからだ。
(占いは必ずしも当たるとは限らない。ベンキの運命が変わりますように・・・)
エストは国境手前で、解放軍と作戦の最終確認をしていた。三十人程の獣人達の中には緊張と興奮で雄叫びをあげる者もいる。
「囮役は出来るだけゴーレムの注意を引くのだ。危なくなったら国境を越えてリンクスに逃げろ。捕縛系の魔法を使える者はゴーレムに魔法をかけ続けて何とか体勢を崩すのだ。以上、作戦開始!」
囮役の犬人と猫人は素早く動く。この作戦で一番危険な任務なせいか、緊張して頻繁に舌で鼻を舐めている。
国境を越えると直ぐ様ゴーレムは反応して動き出した。首のない十メートルの岩の塊は思いの外動きが素早く、獣人達を叩き潰そうと丸い拳を振り下ろしてくる。
激しい振動の後、拳を中心に土が舞い上がった。
「土煙ではなく、衝撃で土が舞い上がっている・・・。何という破壊力だ。囮役の者達は逃げ切れただろうか?」
しかし聖騎士の心配は杞憂に終わった。身のこなしに優れたメンバーを選んで囮役にしたので、誰一人ゴーレムの餌食になるものはいなかったのだ。
エストは胸を撫で下ろし、次の命令を出す。
「ゴーレムの足に捕縛系魔法をかけろ!」
魔法が極端に苦手な獣人達の中から一番マシな者を選んだが、エストは正直あまり期待はしていなかった。ほんの僅かでも足止めになって、作戦の足しになればと考えていたのだ。
獣人のメイジ達は詠唱を開始し、ゴーレムの足に向けて魔法をかける。半分ほどはレジストされてしまったが、数を撃っただけの成果はあった。
次々と足に絡む棘のある蔦が、ゴーレムを前のめりにさせて四つん這いにした。
「今だ!」
エストは走る。羽のように軽い魔法のフルプレートは走行の邪魔にはならない。岩でボコボコとした体表のゴーレムを駆け上がり、背中に登るとゴーレムを動かす文字を探す。
「壊れろ!そして止まれーーー!」
事前に物理攻撃力の上がる魔法を付与したメイスを文字に叩きつけた。
しかし文字はそう簡単に削れない。そうしている間にもゴーレムにかかった捕縛系の魔法は効果を失いだす。焦るように何度も文字を叩くも削れる気配はない。
「くそっ!くそっ!削れてくれ!頼む!」
エストの冷たい顔に焦りを浮かび玉汗が滲む。それでも叩きつけるが、やはり文字は削れない。汗で体が冷え、手がかじかみだし、息が白い。冬の寒さが容赦なくエストのスタミナを吸い取る。
遂に立ち上がろうとしたゴーレムはエストを振り落とすと、どこに有るのか判らない目で聖騎士を睨みつけた。
「作戦失敗!撤退しろ!」
地面に何とか着地して振り向き、エストは撤退命令をだすと獣人の殆どは逃げていくが、数人はエストを助けようと近づいてくる。
「馬鹿者!いいから逃げろ!私に構うな!」
ゴーレムの注意は獣人達に向く。エストは舌打ちをして走り、獣人達の前に立ってスキルを発動した。
「守りの盾!」
自分と獣人達の上と前面に半透明の盾のような防御壁が現れる。
(ゴーレムの攻撃の前では焼け石に水だろう。星のオーガであるヒジリ様、私に力を!皆を守る力を!)
僅かな生存の可能性を賭けて発動した防御壁はゴーレムの振り下ろした一撃を防いだ。しかし、あまりに負荷が大きかったせいか防御壁は割れて消え去った。二撃目が振り下ろされれば直撃は免れない。
(ああ、神様!)
自分がひしゃげて地面に横たわる姿を想像し、死を覚悟したエストの頭上でゴーレムの攻撃は何故か止まった。
そのまま前のめりに倒れてくるゴーレムをギリギリで躱し、背中に目をやるとあれほど殴っても削れなかった文字がポロリと欠けていた。メイスでの攻撃が今になって効果を見せたのかもしれない。
「まただ!また神が奇跡をお見せになった!」
エストはそう言って跪いて神に祈り感謝した。
周りの獣人達は歓声を上げたり雄叫びをあげてエストを囲んだ。
「聖騎士様万歳!最高神スター・オーガ万歳!」
誰もがエストを褒め称え、皆して抱きつく。
「おい!抱き着くな!」
と言いつつもエストは勝利の高揚と、自分は神に守られているという特別感に満面の笑みであった。
イグナの体に軽く電撃が走ったような気がした。それから自分が召喚師したグレーターゴーレムが頭に浮かぶ。
「ゴーレムが倒された・・・」
宿屋でどうやれば上手くモティ神聖国にある古龍の亡骸を回収出来るかを考えていた時であった。
「え?なに?」
タスネは聞き間違いかと思い妹に聞き直す。
「ゴーレムが倒された」
「えーーー!一週間もしない内に?っていうかグレーターゴーレムってマナ燃費も良くて無茶苦茶強いはずでしょ?」
タスネは折角無事に任務が終わりそうだったのにと不満顔である。
ベンキは眼鏡を光らせて答える。
「確かゴーレムには決定的な弱点が有ると本で読んだ事がある」
「知っているのか?ベンキ!」
コロネが驚いて聞くとベンキは静かに頷く。そして暫く間を溜めてから口を開いた。
「弱点までは知らないがな」
皆軽くずっこける。
「十中八九、その弱点を突かれたのであろうな。召喚者であるイグナも知らないような弱点を。しかしそうなると、議長から何かしらの連絡が来るであろう。宿屋からは出られんな」
エルはそわそわしながら、この状況に苛立つ。
「という事は、貴方達は暫くここから動けないという事ですか?」
「そういう事になるわね。ごめんなさい。貴方を助けられなくて・・・」
タスネがそう答えると、エルは苛立った自分を恥じて態度を改めた。
「いいえ、祖父の居場所が解っただけでも助かりました。ここからは何とか一人でやってみます。ありがとうございました」
そう言ってお辞儀をして足早に部屋を出ようとしたエルの手をベンキは握って捕まえた。
「まぁ、待て。神を降臨させるのにエルの祖父だけで賄えるわけが無い。他にも貴重な触媒や儀式の準備でかなり時間がかかるだろう。暫く俺達と一緒にいろ。何故ならタスネはこう見えても樹族国の有力な貴族の一人だ。彼女の近くにいれば、自分で探すより情報は集まって来るぞ?」
コロネは鼻の穴と目を大きくして大きな声で言った。
「ベンキ、ヒジリみたい!」
「ああ、少し真似してみた。フフ」
ベンキの勤勉な苦学生のような顔が綻ぶ。
「いいんですか?タスネさん?」
「勿論よ!その代わりアタシ達のゴタゴタも手伝ってね」
「はい!」
その日は宿屋で待機をしていたが、結局議長の使いが現れることは無かった。
翌朝、姉妹たちは街の騒がしい声で目を覚ます。
「起きろ!恐らくゴーレムを倒した奴等だ!」
ベンキはドアの外から姉妹に注意を促す。姉妹は直ぐに鎧などを着て戦闘準備を始めた。
「前衛はベンキ、ダンティラス、それから・・・エルさんもやれるかしら?」
「はい!」
「じゃあお願い。中衛はコロネとアタシ、後衛はフランとイグナ」
タスネはコロネに教えてもらって少しは上達したショートボウの弦を引っ張って異常がないかを確かめた後、よしと言って頷く。そして「行くよ!」と気合の入った声で一同を率いて外に出た。
外に出ると既に戦闘は始まっており獣人達がポルロンドの兵士や傭兵達と交戦していた。まだリンクスから来たゲリラに対抗する軍隊が到着している様子はない。
戦いの喧騒の中、どこからか「おかあさーん」と母親を呼ぶ声がする。
迷子になった地走り族の小さな子供が母親を探してフラフラと戦闘地域へ走って行くのをタスネは見た。
「あの子!危ない!」
タスネが隊列を離れて駆け寄ろうとしたが、ポルロンドの兵士を倒した犬人がその子を見つける。
「ダメだ!間に合わないよ!」
しかし獣人はその子を抱き上げると匂いを嗅ぎ、同じ匂いのする母親を見つけて手渡した。
「うそ!良い人じゃないの!」
タスネは驚いて動揺する。ダンティラスも苦虫を潰した顔をしていた。
「やり難い。実にやり難い。善人を相手に戦うのは心が痛むのである」
敵は一般人と戦闘員の区別をする良識を持っている。それがタスネやダンティラスを複雑な気分にさせた。
(いっそ、悪人の方が容赦なくやれて気が楽なんだけど)
子供を助けた獣人は装備に身を固めたタスネ達を見つけて牙を見せて襲いかかってくる。両手にはめた鉤爪が、隊列を離れていたタスネを引き裂こうとしたが、霧化したダンティラスが彼女の前に現れて触手で犬人を締め上げる。
「しばし大人しくしているのである」
ダンティラスの赤い目が光ると獣人は大人しくなった。魅了の瞳は見事獣人に効き、コロネが素早くロープで拘束する。
それを見た数人の獣人は遠吠えをして警戒を促す。
「吸魔鬼がいるぞ!聖騎士のエストさんに知らせろ!」
ダンティラスは厄介な敵がいることに顔を歪ませた。
「ううむ、敵に聖騎士がいるのか。天敵であるぞ」
「聖騎士かぁ・・・。うちの聖騎士見習いみたいに修行をサボる怠け者だと嬉しいんだけど。仕方ないわね。ダンティラスは後衛に回って。フラン、前に出てベンキとエルの防御をお願い。攻撃はしなくていいから防御に専念して!」
「了解!ドキドキするわぁ・・・」
フランは自分の背の高さ程の大盾を馬車の荷物入れから出すと直ぐに前に出てベンキ達と並んだ。
獣人の大群を引き連れた聖騎士が公園から現れて、タスネ達を睨む。
「我は最高神ヒジリを崇める騎士なり!神の啓示に従って獣人達に味方する!行く手を阻むものは神に逆らう愚か者と自覚しろ!」
白銀の全身鎧を着るエストの黒い瞳は、伝説の聖騎士の横顔のマークが付いている盾を持つフランに向いた。金髪碧眼の妖艶な彼女は何一つ聖騎士としての鍛錬をしてきたように見えない。
「そこの聖騎士見習いに聞く。貴様の崇める神は?」
「え~?ヒジリですけどぉ~?」
「崇める神を呼び捨てにするとは何事か!同じ神を崇める者として教えてやろう。お前に神の加護はない!神の奇跡は我にあり!行け!解放の戦士たち!」
気迫に溢れ勢いに乗る聖騎士の後ろから、百人ほどの獣人が走ってくる。宿屋を背中にして、タスネ達は戦闘を開始した。
いきなりイグナが【麻痺の雲】を唱えて十人程を戦闘不能にした。
タスネは牽制として弓矢を素早く打つ。当たりはしないが、獣人達に近づくのを躊躇わせる効果は十分にあった。その隙にコロネは眠り毒の吹き矢で獣人達を眠らせていく。
ベンキは獣人との戦争で彼らの弱点を知っている。高い攻撃力と並外れた素早さがあるが、引き換えに体力とスタミナが低い。長期戦闘が苦手なのだ。暫くフランの守りの盾に任せて防御に徹していると彼らは勝手にへばってくれた。
そこを捕まえて腕をねじり上げて折るを繰り返していると獣人達も警戒してベンキには近寄らなくなった。
次第に獣人達の目がフランとエルに向く。数人が戦闘経験の少なそうなフランに攻撃を仕掛けるも、大盾が邪魔をし、それを何とか掻い潜ったとしてもメイスで往なされてしまい中々攻撃が決まらない。
モタモタしている間に獣人達はベンキの攻撃を受けたり、ダンティラスの触手に捕まっていく。
(何気に防御が巧みだぞ、あの女!)
エストはフランの動きをじっと観察する。我流とは思えない彼女の盾捌きに戦闘中であるにも関わらず感心してしまった。
エストは堪らなくなり、フランにメイスで攻撃を仕掛ける。勿論大盾に阻まれて攻撃は通らない。大盾に体を押し付け、覗き穴に顔を近づける。
「その盾捌きはお前が編み出したのか?」
「これ?見よう見真似だけど?帝国のオーガの戦い方よ?」
そう大盾の向こうから声が聞こえたかと思うと、大盾がいきなり勢い良く前進しだしたのでエストは弾き飛ばされて尻もちをついた。
体勢を崩したエストにポルロンドの傭兵が棍棒で殴りかかったが、神の加護を持つ聖騎士への攻撃は尽く外れる。
エストは直ぐに傭兵の脛にメイスを打ち込むとメキョっという音がして傭兵の脛が折れた。
苦痛で悶絶するポルロンドの傭兵をフランは直ぐに【癒やし】の祈りで癒やす。
「フハハハ!見たか!これが神の加護の力だ!お前達の攻撃は当たらない!ヒジリ様は我に味方している!」
それを聞いたフランは返す。
「ヒジリが貴方なんかに味方するわけないでしょう!」
「神の名を馴れ馴れしく呼ぶな!」
エストのメイスが癒やしの魔法を使用しているフランの背中を狙った。
しかし、吸魔鬼の触手がメイスを持つ腕を捉える。エナジードレインは神の加護がある聖騎士には効かない。
「聖騎士が敵の背後から攻撃をするのは法度ではなかったか?」
「むう・・・」
宿敵のような存在である吸魔鬼に諭されて、エストは恥ずかしさを誤魔化すようにして眉間に皺を寄せダンティラスを睨み付けた。それから強引に触手を振りほどき、フランの前に立った。
「さぁ立て!神を気安く呼ぶ愚か者よ!聖騎士同士の一騎打ちを申し込む!決闘空間!」
一種の亜空間を作り出すその魔法は聖騎士だけが使える。どちらかが倒れるまでその亜空間は解除されない。
フランが癒していた傭兵は決闘空間から弾き出されるようにして外に出された。一騎打ちを申し込まれた者以外はここに留まる事はできないのだ。
「さぁ尋常に勝負だ!聖騎士見習い!」
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それはそれはものすごく‥‥‥
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戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
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