未来人が未開惑星に行ったら無敵だった件

藤岡 フジオ

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禁断の箱庭と融合する前の世界(113)

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「お姉ちゃん、どこいったんだろ」

 時間は少し戻り、タスネ達がカロリーヌとの戦いを終えて城へ向かっていた頃。

 お城で何やらとんでもない事が起きている、といった感じで家を飛び出していった姉夫婦を見てコロネも馬車を出してアルケディアまで来たは良いが、姉は城にはいなかった。

 タスネの居場所を聞いても城の下っ端騎士たちは何も知らず肩を竦めるばかりで、結局コロネは姉探しを諦めて商店街でショッピングをして帰ることにした。

 冒険用の道具を揃えて馬車まで戻ろうと通った路地裏で、コロネはオークと地走り族のゴロツキが睨み合っているのを目撃する。

 地走り族のならず者がモヒカンを揺らして、子供のような声でオークに絡んでいた。

「おやおや~?オークのクソ野郎がアルカディアで何やってんですかねぇ?あー?」
 
「帝国と樹族国は自由に往来できるようになっただろうが。オークがいて何が悪いんだ?」

「あ~、確かにそうだけどよ~?お前みたいな豚野郎の入国を俺は認めねぇぜ?ヒジリ様の同族ならともかく、お前らオークやゴブリンはお呼びじゃねぇんだよ!」

 地走り族の袖の下から暗器が伸びて、自分よりも背の高いオークの頬をかすめる。

 魔法で伸縮する刺突武器はオークの目の前で脅すようにゆらゆら揺れていた。

「有り金全部だ、糞オーク」

「は?何?おまえ強盗か?」

 脅してくるゴロツキに動じることなく頭髪の薄いオークはヘラヘラと笑っている。

 笑いながらも目の前の刺突武器に動じること無く、腰のダガーを両手で素早く抜き、戦意を失わせる程度に地走り族の両肩を上から突き刺した。

「イギッ!」

 モヒカンを萎れさせて、ならず者は両手をだらりとさせて痛みで蹲る。

「次からは相手を見て追い剥ぎをやるこったな」

 チンと腰の鞘にダガーを戻すとオークのデイ・デイはその場を立ち去ろうとした。

「だ、誰か!誰か来てくれ!オークの強盗だぁぁぁ!!」

 ついさっきまで強盗だった地走り族は、突然被害者ぶって叫びだした。

 冒険者の中にはアウトローも多い。この地走り族もそうだ。冒険で危険な目に遭った割に稼ぎが少なかった日は決まって街中で路上強盗をしている。

 冒険者というのは実に厄介でどんな状況でも雑草のように逞しく生き延びる。機転が利かなければ荒野やダンジョンで屍を晒す事になるからだ。故に如何なる状況からでも自分が有利なるように常に思考を巡らせている。

「うぜぇ」

 そんな冒険者のしぶとさ、しつこさに辟易としたデイはこの場から立ち去ろうとする。

 が、ならず者は肩の傷の痛みに冷や汗をかきながらも立ち上がり、タダで転んでなるものかという気概で更に声を張り上げた。

「騎士さまぁぁ!ここに!ここにオークの強盗がいやすぜ!」

 アルカディアの中心地に近い路地裏なので直ぐにでも巡回の騎士達は鎧を鳴らしてやって来る。

「強盗はどこだ!」

「チッ!」

 駆けつけてくる騎士達を見たデイは逃げようとした。よそ者のオークが信用されるわけがないからだ。

 しかし、逃げようとするオークを見たコロネは道を塞いだ。

「あんた、何で逃げるんだ?何も悪い事してないじゃんか!おい!下級騎士達!強盗はこのオークじゃないよ!そこで被害者面してるモヒカンの地走り族だ!私は一部始終を見てたからね!知ってるよ!」

 騎士たちは顔見合わせて困惑する。現場を見ていない以上、どちらの証言を信じて行動すればいいのか判らないのだ。

「私はサヴェリフェ家の四女コロネ。嘘はつかないさ!」

 コロネは服の胸部分にあるサヴェリフェ家の紋章―――女神が人々を包み込んで守る様な絵柄の刺繍を騎士たちに見せる。

「う、嘘だ!その女もグルだ!」

「へぇ?ヒジリ聖下と関わりの深いサヴェリフェ家の者が嘘をつくと?あんた、私がこのオークとグルだって神様に誓って言えるのかい?」

「うぐ・・・・」

 言葉に詰まって黙る同族を見て、コロネは勝ち誇った顔で目を半眼にした。

 そして騎士達に対し、”どうぞ、この地走り族のならず者をしょっぴいて“と言わんばかりの態度で、腰を折って路上強盗を両手で指す。

 騎士たちはコロネの仕草が面白かったのか、少し笑いながらもならず者に立てと言って連行していった。

「悪ぃな、姉ちゃん」

「あんたもしっかりしなよ。悪い事してないのに逃げちゃダメだって。で、こんな所で何してたんだ?」

 コロネはこのオークをどこかで見たことが有るような気がした。

(このオーク、どこで見たっけ?ヒジリの活躍した映像のどこかに映り込んでいた気がするだよなぁ・・・。でもオークって見分けつきにくいからなぁ・・・)

 何かを思い出して首を捻る目の前の地走り族を、デイは値踏みするように見た。何も見逃さないぞとばかりによく動く青い目が自分をじっと見ている。時折頭を掻いているが、衣服の衣擦れの音すらさせない。それに妙に目立つ金色の角のような髪型。・・・髪型はどうでもいいかと自分で突っ込んでデイは口を開く。

「用事だよ。オークがアルケディアにいちゃあ悪いか?」

「別に」

「なぁ、あんたスカウトかレンジャーだよな?」

「ん、まぁそうだけど。よくわかったな」

「まぁな。歩き方や身のこなしで解る。貴族なのに冒険者やってんのか?珍しいな」

「私に頼み事でもあるのか?じゃあ家に来る?そこで話聞くからさ」

「いいのか?俺はさっきのモヒカンと同類かもしれねぇぜ?」

「同類かどうかは判らないけど、あんたが相当な手練なのは解るよ。でもな、私ん家には吸魔鬼が二人いるから、あんたがどんだけ強かろうが心配はないよ」

 そう言ってキッシッシとコロネは笑った。

 裏の無さそうな笑顔にデイも釣られてにやりと笑う。吸魔鬼がいるというのは何かしらの冗談だとこの時は思っていたのだ。





「おかえり!コロネ。今日はねぇ・・・大変だったんだから!・・・あら?同じパーティの人?オークの知り合いなんて珍しいわね!」

 夕飯時に帰ってきたコロネは冒険仲間と思しきオークを連れていた。

 デイはコロネの冗談だと思っていた事が事実だと知って驚いて固まる。タスネの吸魔鬼の赤い瞳がこちらを見つめているからだ。しかも白目の部分が黒い。

「きゅきゅきゅ、吸魔鬼!」

 逃げようとするデイのベルトを掴んでコロネは落ち着かせる。

「大丈夫だって!私のお姉ちゃんだから。人を襲ったりしないから!」

「ほんとか?俺を吸魔鬼の餌にする気じゃないだろうな?」

「あんたは大して魔力なんて無さそうだし餌にはならないよ。大丈夫だって」

 タスネは慣れっこなのか、初対面の誰もがするお馴染みの反応にクスクスと笑っている。

「客であるか?」

 一階にある書斎の扉が開くと別の吸魔鬼が顔を出したので、デイはいよいよ顔を青くして叫んだ。

「どうなってんだ!この家!」




 王族や有力貴族のような大きくて長いテーブルではなく、こじんまりとした長テーブルを囲んでの夕食が始まった。

 一応樹族の召使が一人、ドアの近くで控えているが殆ど仕事は無さそうに見える。大概のことはタスネ達が自分でやってしまうからだ。ワインも各自で注ぐし料理も好きなように取り分ける。

 デイが無言でステーキをナイフとフォークで切り分けていると、テーブルの上の食器が不意にガシャンと鳴った。ダンティラスが驚いて立ち上がったからだ。

「なんと!お主はヒジリ聖下と戦った事があるのか?」

 何から話そうかと考えていたデイの心をダンティラスが勝手に読んだのだ。

 それに気づいたタスネは夫に怒る。

「こら!ダン・・・貴方!また人の心を勝手に読んで・・・って、あなたヒジリと戦った事があるの?!」

 丸い目をするタスネの視線を受けて、デイは自嘲気味に笑って答えた。

「まぁ戦ったっていうか一方的にやられたんだが・・・」

「だろうね・・・」

 昔、ヒジリがナンベルの使い魔を騙す為に操られたふりをした事があるのをタスネは思い出す。

 世界最強のオーガが敵となったあの時の絶望感は今でも忘れられない。恐怖で脚は震えていたし、正直少し漏らしてもいた。

 もしヒジリが本当に操られていたのなら、自分はデイのように為す術もなくズタボロにされていただろう。

 デイはなるべくダンティラスの【読心】に抗えるよう心の中で構えながら喋る。

「吸魔鬼の前じゃ隠し事は出来ないな」

 遠回しに心を読むなとデイはダンティラスに言っているのだ。

「吸魔鬼が必ずしも【読心】を使えるわけじゃないけどね。アタシはまだ覚えていないよ」

「まだって事はどの道覚えるんじゃねぇか」

 デイのツッコミにコロネは頷く。

(お姉ちゃんが【読心】を覚えたらその内、私の心の中のボヤキにまであれこれ言い出すぞ・・・)

「で、デイは何でヒジリと敵対したんだ?」

 コロネが肉の添え物である茹で野菜の中から小さなニンジンを皿の端に選り分けながら聞く。

「なんつうか、十何年前の帝国は下克上が激しい時代だったからよ、俺も上を目指したわけよ。そしたらあの無敵のオーガ皇帝に阻まれたのさ。まぁこういう事は帝国ではよくあるからヒジリ自体には恨みはねぇ。で、出所後もう一旗上げようとマサヨシって名前の星のオーガと組んで・・・」

「マサヨシ!?サトウ・マサヨシの事?」

 タスネの顔が怒りで赤くなった。

 コロネが不味いという顔をした瞬間にダンティラスは義理の妹の思考を読み取り、全てを知る。

 コロネが慌ててマサヨシの事に関する思考を読まれまいとした時には既に筒抜けだった。

 ダンティラスに頭の中を読まれたな、とコロネは直ぐに気付いて下唇を噛む。

「ああ、サトウ・マサヨシって名前の星のオーガだが、それがどうした?」

「あいつ!またこの世界に来てたんだ!アイツのせいでエポ村の多くの若者を逮捕する羽目になったのよ!マサヨシにはすぐにでも罪を償ってもらわないと気が済まないわ!彼が星のオーガだなんて嘘っぱちだよ」

 タスネの頭にホッフの顔が浮かぶ。マサヨシが扇動しなくても彼からは恨みを買っていただろう。だがマサヨシが現れなければ、ホッフはああはなっていなかったかもしれない。

 セブレの街に突如現れて自分に致命傷を与え、吸魔鬼になる切っ掛けを作ったホッフは未だに雲隠れしたままだ。

 ダンティラスの咎めるような視線についに耐えきれなくなったコロネは姉の椅子の横で土下座をした。

「お姉ちゃん、今まで黙っててごめんなさい!私はマサヨシの居場所を知ってるし何度も会ってたんだ!本当にごめんなさい!」

「コ、コロネ・・・どうして・・・」

 タスネは妹の裏切りに涙を浮かべる。

「マサヨシは・・・マサヨは昔みたいに悪い奴じゃないから!最初はヒジリの築き上げた帝国を滅茶苦茶にするつもりで来たみたいだけど、いつの間にかヤイバ達と仲良くなってて・・・。それにほら!ヤイバを異世界から呼び戻したのもマサヨなんだよ!」

「マサヨってこないだ会ったあの女の子?」

「うん、マサムネさんとハルコさんのお別れパーティで誰かが紛れ込ませていた性転換の実を、フランお姉ちゃんに食べさせられたのがマサヨシだったんだ」

「じゃあアタシは今日も彼・・・彼女と会っていたのね・・・。気づかなかったなんて・・・。早速指名手配の手続きを帝国に申請しないと・・・」

「待って!お姉ちゃん!マサヨにチャンスを与えてあげてよ。なんつーか、あいつは心底悪いやつには思えないんだよ!異世界からのヤイバ達の召喚だって普通の召喚師じゃ連れ戻せなかったって話なんだ。異世界にはフランお姉ちゃんだっていたんだよ!マサヨは、私達が恩を返しても返しきれない大恩人のヒジリの子供とフランお姉ちゃんを救ってくれたんだ!そんな人を逮捕するなんて嫌だよ!」

 コロネのどら声が必死に姉を説得するが、タスネの態度は冷ややかなものだった。

「駄目です。それとこれとは別です」

 タスネにとってあくまで法は法、恩は恩なのである。

 意外と遵法意識の高い姉の言葉にコロネはガックシと項垂れた。

 そんなコロネを見てダンティラスが静かに助け舟を出す。

「雇われ領主とはいえ、責任ある立場のタスネの気持ちも解る。だがここは様子見をしてみてはどうかね。我々は何者であるか?」

「吸魔鬼だけど・・・」

「そう、吸魔鬼である。国滅ぼしの化物と呼ばれるほどの力を持った吸魔鬼。もし彼がまた暴走したならば今度こそお主の手で罪を償わせてやればいい。だが、更生の兆しがあるのであれば様子を見守る度量の広さを持つことも人の上に立つ者には必要だ。エポ村の若者とてマサヨシの甘言に踊らされる選択肢を自分で選んだのだ。彼らは誰にも強要はされておらぬ。だから責任の全てがマサヨシにあるわけではない。彼に今一度機会を与えてやろうではないか。もしかすれば罪を償って余りある歴史的功績を残すやもしれんぞ。いや、もう既に功績を残してるか。神の子を失うのは世界にとって大きな損失であるからして」

 タスネの心にダンティラスの言葉が届いたのか、彼女は溜息を一度ついて何も言わずに食事を始めた。少し食べてから土下座する妹に言う。

「ダンティラスにお礼を言いなさい」

 コロネは頭を上げてパァァ!と明るい顔になる。

「いいの?マサヨを見逃してくれるの?やった!ありがとうお姉ちゃんとダンティラス!」

 土下座をしていたせいか、脚の痺れたコロネはヒョッコヒョッコと歩いて席についた。

「お客人の前で恥ずかしい所を見せてしまったな。ハッハッハ」

「いや、気にしてねぇよ。一応けじめがついたようで何より。まぁ俺の方はまだけじめが付いて無いんだがよ・・・」

 オークの言葉が気になってダンティラスはまた心を読んでそれに答える。

「それは危険ではあるな。マサヨシも無責任ではある」

「ちょっと。勝手に納得してないで、ちゃんと説明してよ」

 タスネがダンティラスを睨んで言うと、デイが代わりに口を開いた。

「マサヨシはよ、どこで手に入れたのかエルダーリッチの巻物を持ってたんだ」

「ええええええ、エルダーリッチ!」

 タスネとコロネが驚いて口から咀嚼物をブーっと吹き出す。召使いはやっと仕事が出来たと嬉しそうな顔でテーブルの上の汚物を拭く。

「きったねぇな。で、マサヨシは間抜けな事に帝国で何者かに巻物を盗まれたわけよ。盗まれておきながら、あいつは全責任を俺に押し付けてやがった。あまりに無責任過ぎて文句を言おうと思ったんだが、流石にそんな事してる暇はねぇと思って、俺はずっと巻物を盗んだ犯人の匂いを追いかけて来たんだが、気がついたらアルケディアに来てたんよ。で、追い剥ぎに絡まれてるところをコロナに助けてもらったんだ」

「コロネだよ!」

 よく名前を間違えられるコロネはすかさず訂正する。

 ダンティラスが赤い瞳でギロリとデイを睨んだ。

「もしお主が盗人から巻物を取り返した場合、エルダーリッチを召喚する事はないと信じていいかね?」

「ああ、実はもう帝国への復讐とかどうでも良くなってんだ、俺。出所して直ぐの頃は計画が上手く行かなければ帝国なんぞ滅びてしまえと思っていたけどな。でも今の帝国は昔とは違う」

 デイは一口ワインを飲むと、少し目を輝かせて話を続けた。

「俺はよ、合法的に返り咲く方法がある事を、巻物を探してウロウロしている時に知ったんだ。その方法とは選挙制度ってやつだ。俺が反乱起こした時にはまだ選挙制度が根付いて無くてさ・・・。貴族制度が廃止にされた時に不貞腐れずに、選挙制度について知識を蓄えていれば十何年も投獄されることはなかっただろうよ」

 グラスの中のワインを飲み干すと、デイは声に焦りを含ませて話を続けた。

「もし巻物を盗んだ奴がエルダーリッチを召喚したなら、その原因である俺は一生議員になれないかもしれない。だから自分の手で巻物を取り返す事は俺が議員として返り咲くためのケジメでもあるんだよ」

「エライ!」

 デイの話を聞いていたタスネがテーブルをガシャンと叩いて感心する。

「それに比べマサヨシって奴はぁぁ!無責任過ぎるぅぅ!」

 今頃何処かでニヘラニヘラと笑って過ごしているであろうマサヨの顔を思い浮かべてタスネは地団駄を踏んで憤慨した。
 
「コロネ!あんたはデイさんに協力して巻物を取り返すのよ!そういうの得意でしょ!」

「えーーー!何で私が!」

「家に誘って話を聞こうと思った時点であんたとデイさんには縁が出来ているの。ヒジリも言ってたでしょ!縁を大事にしたいって!あんたまさか面白半分でデイさんを誘ったんじゃないでしょうね!」

「ま、まさか。(面白半分だったけど)わかった!デイのオッサン!任しな!一流のレンジャー兼スカウトである私が一緒に探してやるから!」

「すまねぇ。恩に着る」

 タスネ達の善意を受けて、デイはこれまでの人生を振り返えると、自分の生き方が恥ずかしく思えてきた。長年、他人は自分の立身出世の為の捨て駒に過ぎないと思って生きていたからだ。

 だが、ここにいる者は何の見返りも求めてこない。どうして彼らを駒だと思えようか。

(これが縁ってやつか・・・。悪くねぇ。もし議員になれたなら俺は帝国と樹族国の友好の為に働くぜ!)

「それがいいのである」

 またデイの心を読んでダンティラスは頷く。

「だから!俺の心を読むなってーの!」

「そうだよ!ダンティラス!駄目だよ!」

 タスネが可愛い顔をしてメッ!と言ったのでダンティラスは笑う。

「ハッハッハ!すまぬすまぬ」

 その夜、デイは皆と穏やかな時間を過ごしサヴェリフェ家に泊まる事になった。

 久々にギスギスとした世界から離れたデイはベッドに寝転ぶと心の中に何ともいえない安らぎがあるのを感じた。

「絆を持つってのも良いもんだな・・・」

 そう呟くと明日からは必死になって巻物泥棒を探そうと決意を固めるのであった。
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