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禁断の箱庭と融合する前の世界(153)
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キーンと耳鳴りがして、古竜から声が聞こえた。
「私のベンキはどこ?」
誰もが感じ取れるほど、その声は怒りに満ちていた。竜は暫く一人一人の心を読んでいるのか、首をあちこちに向けている。
そして顔をピタリとコロネに向けたまま動かなくなった。
「貴方、知っているのね?もう一度場所をイメージして!」
「嫌だね!」
コロネは心を閉ざし、古竜にクシャミ爆弾を投げつけた。
爆弾は古竜に当たったて煙を出したが、効果はなかった。
「ベンキは作戦が終わったら直ぐに野営地に戻ってくるって私に約束をしたの。それなのに貴方は彼を捕まえて連れて行ってしまったわ!」
「知ったこっちゃないね、エル。今は戦争の最中だ。さっさと帰りなよ」
古竜を見てたじろぐ冒険者の中でコロネは臆していない。ダガーの背を肩にトントンと当て、エルが立ち去るのを待っている。
暫く一匹と一人は睨み合い、冒険者は固唾を呑んで見守っていたが、突然コロネが糸の切れた人形のように倒れた。
「え?なんだ?おい!急にコロネが倒れたぞ!」
「古竜だ!古竜にやられたんだ!」
冒険者たちは一斉にパニックになり逃げ惑う。
ヤイバは急な事で頭が混乱し、エルに問いただすのが精一杯だった。
「何をしたんです?エルさん!」
「何って、生意気だから殺したのよ?下等種のくせに私に逆らうから・・・。それに私は死体を食べる事で情報を読み取ることが出来るの。だからコロネは貰っていくわね」
「そんな・・・エルさん!」
ヤイバがエルに近寄ろうとしたが、古竜は羽を大きく羽ばたかせるとコロネを咥えて飛び去ってしまった。
「イグナ母さんになんて言えばいいんだ・・・。あんなに呆気なくコロネさんが死ぬなんて・・・。いつも人は呆気なく死ぬんだ・・・。僕が助けられたかもしれないのに・・・」
「ヤイバ・・・。すまない・・・。コロネを誘ったのは私なのだ。私がタスネに相談しに行った時に事情を話して彼女を参戦させてしまった・・・。彼女は何とかアンドラス達の味方のふりをしてルビーを助ける方法を模索していたが、結局駄目だった。それで正攻法に出たんだ・・・・。戦争で成果を上げてアンドラスの信用を完全に勝ち取ってからルビーを開放させるやり方を・・・。だからコロネはあんなに頑なだった・・・。全ては私のせいだっ!」
「なぜ最初から僕達を頼らなかったんだ・・・、シルビィさんもコロネさんも!」
召喚師部隊に参加していたマサヨシとワロティニスが気落ちするヤイバを心配してやってきた。
「ヤイバ・・・。その・・・コロネの事は残念だったな・・・」
「お兄ちゃん、また自分のせいだと思ってるんでしょ!違うからね!」
マサヨシとワロティニスの声が聞こえてなさそうなヤイバの肩をカワーが触れる。
「まだ戦いの最中だ。落ち込んでいる暇はないぞ。次は市街戦が待っているんだ。行くぞヤイバ」
ヤイバは項垂れながらも頷くと、ワロティニスに言った。
「後方の野営地にいるイグナ母さんにこの事を伝えてくれないか?ワロ。君にこんな役目を押し付けて申し訳ないが・・・」
「わかった・・・」
なんでも背負い込んでしまう兄を見てワロは不安になった。そのうち彼は心を壊すのではないかと。
(もしコロネさんを復活させる事が出来なかったらお兄ちゃんは・・・)
ワロティニスは嫌な予感がしたが、それでもきっと父が何とかしてくれると微かに希望を込めて野営地まで走った。
一部始終を魔法水晶で見ていたアンドラスは、視聴者の思い通りに行かないドラマでも見ているかのように「あーあ」と言って残念がった。
「コロネは簡単に死んだね」
―――相手が古竜だから仕方ないね―――
「あの古竜、また攻めて来ないかな?」
―――古竜は基本的に劣等種に無関心だよ―――
「ならいいか。来たら来たで支配してしまえばいいしね。口や鼻が大きいから種を簡単に吸い込むだろう」
トントンと指先で王座の肘掛けを叩いた後、アンドラスは神の子ヤイバの様子を思い返して、体を共有しているウロタンに話しかけた。
「あの神の子ってのは、もしかして心が折れやすいんじゃないか?」
―――どうしてだい?―――
「コロネとは知り合いだったのか、彼女が死んだら覇気が無くなったように見えたよね?」
―――弱肉強食のオーガだぞ?そんな事あるかなぁ・・・。戦場でオーガが弱った仲間を容赦なく見捨てていく姿を僕は何度か見たよ?―――
「でも個体差はあるだろう」
―――シュラスにでも聞いてみる?―――
「そうだね」
王座の前で跪く樹族の王に今度はアンドラスではなくウロタンが表に現れて聞いた。
「ヤイバとはどんな人物なんだい?僕は信心深くなくて彼に全く興味がなかったから知らないんだ」
「自分もそうそう会える人物ではありませんので、知っている情報をば・・・。星のオーガであるヒジリ聖下の第一子で能力値はオール二十一、性格は普通のオーガと違って優しいと聞きます。孤児院の手伝いをしたり、戦場では弱者を守ろうとする傾向がありますかな」
「えっ?最初なんて言った?さらっと言ったけど」
「星のオーガであるヒジリ聖下の第一子で能力値がオール二十一と・・・」
「人型種でそれはあり得ないよ!高位の悪魔かなにかの類なんじゃないのか?!」
「ええ、だから彼は神の子なのです、ウロタン様」
―――人の身にその能力は過ぎた力だ・・・。いつか綻びが・・・。待てよ・・。ああ、その代償かもしれないね、彼の優しさは―――
「どういうことだい?アンドラス」
―――人の身で魔力が二十一もあるとどうなると思う?―――
「さぁ?」
―――君は元魔法院のメイジなのに知らないのかい?魔力が高すぎると狂気に触れやすいんだよ―――
「ああ、思いだした!数百年に一度の割合で、狂気のメイジが現れるのはそれが理由だったね」
―――彼がオーガにしては優しいのは、マナを介して他者の感情を読み取りやすいからさ。―――
「人の心の苦しみや痛みが解るから優しいのか」
―――そう。だがそれは徐々に心を蝕む。他人の苦しみを背負って正気で人生を全う出来る自信は僕には無いね―――
「強力な彼を何とか利用出来ないかな・・・」
―――心を折って、弱った所を繰り虫・・・、いや種の方がいいな。この作戦でいこう。心が折れればレジスト率はグッと下がる―――
「彼の能力だと間違いなく吸魔鬼を突破して城までやってくるだろうからな。その時まで待つか」
―――そうしよう。さて何で心を折る?―――
ゲームでも攻略するかのように楽しそうに思案し王座に座る”一人の二人“は暫く悩んでいたが、見かねたシュラスが提案をした。
「処刑などどうでしょうか?砦の戦士達とルビーの処刑。彼等はヤイバとは親しい仲だと聞きます故」
「そうか。でも処刑では味気ないな。種を植え込んで戦わせよう!」
―――自分の手で処刑させるのか、面白いね―――
シュラスはハッとして二人に忠告した。
「でしたら、急いでくださいませ。先程の古竜は砦の戦士の一人を探しております。ついでにルビーを助けるやもしれませぬ」
「めんどくさいな・・・。すぐに裏側か誰かに囚人の移動を命じろ!シュラス!」
「ハッ!」
ワンドリッターはジュウゾの背中を睨みつけながら地下牢へと降りている。
(ジュウゾ・・・。闇樹族の落とし子。シュラスは何故こんな者を傍に置くのか。こやつ自体は樹族だが父親は闇に堕ちた樹族。裏切り者の子)
ソバージュの黒髪の下で眉の無い目は疑いに光っていた。
砦の戦士やルビーの入っている牢屋前に来るとその視線を牢屋の中へと向ける。
暗い中でもオーガ達は目が利くので問題ないようだが、樹族の娘は常に【暗視】の魔法でゴキブリを警戒していた。魔法の効果が瞳を金色に光らせている。
「場所を移動する。出ろ」
ソラス・ワンドリッターがそう言って牢屋の扉を開けようとするとオーガがヘラヘラと笑った。
「あんた、貴族なんだろう?なんで下っ端がするような雑用をやってんだ?」
「うるさい。下っ端に任せられないからだ。特にお前らのような小賢しいオーガは何を企むか判らん」
「そこまで警戒されるとは俺らも偉くなったもんだ。ハッ!」
「オーガ風情があまり調子にのるな。邪魔立てするようなら何人か殺しても良いと言われているのだぞ?」
「おお、こわ」
それ以降オーガは黙ったのでワンドリッターはシルビィの娘を見る。
唯一与えられたワンドで必死に人食いゴキブリと戦っていたのでローブはボロボロで所々穴が開いている。
「触媒無しで使える魔法でよく居間まで耐えきれたものだな。もうマナも尽きたか・・・。オーガのような大きな足があれば簡単に踏み潰せただろうが・・・」
ワンドリッターは欲情した目でルビーを見た。
ローブの破れた穴から見える内腿や胸元は白く、十六歳の小娘とはいえ、むっちりとしており劣情を催すには十分だった。
(ヤイバに殺させるには勿体無い美しさだな・・・)
「ワンドリッター様。そろそろ古龍が来ます。お急ぎ下さい」
「抜け道があるのなら、そこまで急がなくても良かろう?ジュウゾはオーガ達を先に連れて行け」
ジュウゾは覆面の下で眉根に皺を寄せた。
「その娘に何をなさるつもりで?」
「無粋なことを聞くな。さぁ行け」
ジュウゾは王の命を受けるソラスには逆らえない。王が幾ら得体の知れない男の言いなりになろうが、彼にとってシュラス王の命令は絶対なのだ。
(すまない・・・ルビー。任務中に私情を挟むこと出来ないのだ・・・。許してくれ)
魔法の拘束具で動きを制限されたオーガ達を抜け道へと誘導するジュウゾの背後でルビーの悲鳴が聞こえてきた。
「やだ!変態!触らないで!」
バシッ!と頬を叩く音がした。ルビーが抗ったのだろうかと思ったが頬を叩いたのはワンドリッターだった。
「生娘のまま死ぬのは可哀想だと思って哀れんでやったのに、何様だお前は!」
もう一度バシッと頬を叩く音が聞こえてくる。
ジュウゾは歩みを止めて引き返すかどうか苦悩する。
(親友の娘なのだぞ・・・。助けないのか?)
もう一人の自分が仕事に集中しろと頭の中で言う。
(いつからお前はそんなに感情に任せて動くようになった?任務中ぞ!)
自問自答するジュウゾの後ろでスカーは囁く。
「どうした?覆面のオッサン。彼女を助けようかどうか悩んでいるなら、迷わず助けるべきだな。俺はああいうの耐えられねぇ。オッサンが助けないなら俺が助けるぜ?さぁ拘束具を外してくれ。な?」
「黙れ。行くぞ・・・」
ジュウゾがそう言って歩きだそうとしたその時、今度は服を破くような音が聞こえてきてルビーのすすり泣く声が聞こえてきた。
「やだよ・・・。こんなの・・・やだよ・・・!お父さん、お母さん!!」
「さぁ大人しくしろ。直ぐに良くなる。股を開け!」
ルビーが親に助けを求める声を聞いてジュウゾは政敵の策略で闇落ちした父親を思いだした。
樹族国で樹族が闇落ちすれば自害をさせられるか国外追放が待っている。プライドの高かった父親はその場で毒を飲んで死を選んだと聞いた。
偶然その場に居たシュラス王はまだ幼かったジュウゾを不憫に思って庇い、尚且つ裏側に所属させ、それ以上害が及ばないように取り計らってくれたのである。
(王に逆らえば私は裏側を追放されよう。追放で済めばいいが・・・。例え王が操られていたとしていても、命に背けばその責任は裏側全体に及ぶ。だが・・・。ええい!構うものか!)
ジュウゾは腰のホルダーからクナイを取り出して二刀流で構えると、音もなくオーガ達の横をすり抜けて道を引き返した。
「お、やるのか?オッサン。手伝おうか?」
「動くな。直ぐに帰ってくる」
抜け道の向こう側から、抵抗するルビーのジタバタする音が聞こえてくる。
ズボンを脱いで下半身を露出したワンドリッターの背後からジュウゾはクナイを突きつけ脅す。
「それ以上、何かしてみろ。最後に自分の汚い股間を見る事になるぞ」
「やはり裏切り者の子は裏切り者であったか。私は魔法水晶を持っている。直ぐにでも王に連絡することができるのだぞ。お前がクナイを使うよりも早くお前が裏切ったというサインを送る事が出来るのだ」
「・・・」
「自害しろ。闇堕ちした親と同じようにな。そうすればお前の罪は私の中で止めておいてやる。そうでないなら、裏側はお前の所為で解体することになるだろう」
クナイを握りしめる手が汗ばむ。このままルビーを助けるか、自分の地位と部下たちの安泰をとるか。
―――ザシュ!―――
複数の小さな分身が一斉にソラス・ワンドリッターをダガーで貫いた。
ソラスは声を発する暇もなく絶命してしまった。全ての攻撃が致命傷だったからだ。しかしその攻撃はジュウゾのものではない。
「・・!?・・・誰だ?」
「私だよ、ジュウゾのおっちゃん」
どら声が闇の中から聞こえてくる。魔法を使わなくとも闇の中で目が利く裏側の長でもその闇は見通せなかった。
「コロネ・・・。死んだのでは無かったのか?」
「エルと一芝居うったんだよ。エルは念話が出来るからね。正直、どうやって皆を助け出すか悩んでいたんだけど、エルが偶然来てくれて助かったよ。暫く私は死んだことにしといて。でないとタスネお姉ちゃんに危害が及ぶかもしれないし」
「それは良いが、これからどうするのだ?囚人達は別の地下牢に送った後、洗脳手術を施される予定だと聞いたが」
「おっちゃんだって、ワンドリッターを殺してからどうするつもりだったんだよ・・・」
「アンドラスとかいう男を殺しに行くつもりだったのだ」
「ムリムリ。リューロックのオッサンに阻止されるのが関の山。私達みたいな正面切って戦うのが苦手な輩は小手先の効かない力馬鹿とは相性が悪いだろ?」
「ではどうすると言うのだ」
「抜かりはないよ。ほらこれ」
そう言ってコロネはウエストポーチから小指の先程の人形を鷲掴みにして見せた。
「これはイグナお姉ちゃんがオーガの始祖神と対峙した時に使った事がある身代わり人形さ。マナを上手く隠してくれるので、魔法探知でもバレにくいし暫くは本物と同じように動いてくれる。これを連れて行って」
「そんな貴重なアイテムがこんなにあるとはな・・・」
「伊達に小さい頃から冒険者をやってないよ」
コロネは人形をポーチにしまい、ワンドリッターが羽織っていたマントを引き剥がすと裸体のルビーに着させた。
「大丈夫か?ルビー。まだヤられてないよな?」
「うん、ありがとうコロネさん」
「よし、これでシルビィのオバちゃんやヤイバも動きやすくなるだろ。人質がいないからな。事情はエルに話すよう頼んどくよ。ヤイバ達も一芝居うってくれるだろ」
「すまない・・・。コロネ。・・・私はこの恥知らずを殺すのに一瞬躊躇したのだ。保身のためにな。お前がワンドリッターを殺してくれことでどこかホッとする自分がいる」
「いいって。おっちゃんは掟とかそういうので雁字搦めなんだろ?私みたいな冒険者はその点身軽だしな。きっと全てケリがついたら恩赦はあるよ」
コロネは手をひらひらさせながら奥にいるオーガ達に事情を説明しに道を進んでいった。
(あの小さかったドラ娘がよくここまで成長したものだ)
ジュウゾは去っていく地走り族の幼かった頃を思い出して今の成長を喜ぶと共に、躊躇無く敵を討つ冷酷さに少しの寂しさを感じた。
シオの魔法で倒れた傭兵たちと一部の帝国騎士をバリケード前で休ませている間に、先行して市街地に入っていった暗黒騎士団はゲリラ戦を挑んでくる冒険者達に手こずっていた。
「ええぃ!地の利は向こうにあるとしても、いつまで足止めをくらっているのだ!我らは世界最強の帝国騎士団だぞ!」
リーダーであったコロネを失った冒険者たちの士気は下がったものの、持ち前の臨機応変さで暗黒騎士団の団長、セン・クロウを苛立たせる事は出来た。
建物の陰からクロスボウで一斉射撃をし、帝国軍が近寄ってくると煙玉で煙幕を張って逃げる。
しかも最悪なのは、彼等は一般人を盾にするのだ。家に立て籠もる住人の中から無理やり幼児を引っ張り出し、盾のように構えてニヤニヤと笑いながら魔法を撃ってくる。
「下衆な冒険者どもめ!」
暗黒騎士、というネガティブな感情を力に変える攻撃力特化型の魔法騎士の団長は、それとは裏腹に正々堂々とした戦いを好み、常に高潔であろうとする人物である。なのでどんな汚い手を使ってでも勝とうとする冒険者には虫唾が走った。
冒険者も一般人には絶対手出しをしないという、センの人間性を観察して知った末の戦法なのだ。
「戦技は極力控えろ!特に闇の爆発系の戦技は一般人に被害が及ぶ!鎌ではなくショートソードか短剣に闇エンチャントをして戦え!」
本来の戦い方が出来ないのであれば暗黒騎士は並の戦士程度の力しか発揮できないだろう。それでも暗黒騎士達は団長の無茶振りに顔色一つ変えず従った。
「子供を盾にとるとは言語道断!」
センは子供を盾にとってニヤニヤしていた冒険者にを指差すと【死】の魔法をかけた。
冒険者はフニャっと倒れると、母親が急いで泣く子供を抱きかかえて家に隠れる。
「よし!」
「セン団長!」
鉄騎士のマーがガシャガシャと鎧の音を立てて走り寄ってきた。
「鉄騎士団はもう回復したのか?」
「あと少しです。傭兵部隊は予想以上に被害が大きく戦線より離脱しました。これよりマー隊も参加します」
「助かる」
マー隊が駆けつけたと同時に少し先の建物が爆発が起きて、暗黒騎士達が数名吹き飛ばされた。
「何事か!」
センの前に吹き飛ばされてきた暗黒騎士は軽傷だったのか直ぐに起き上がると報告する。
「先程、帝国軍に奇襲をかけたメイジの集団が現れました。住民を巻き込んで魔法を撃っています!」
「なんということを!国民を守らないどころか巻き込むとは!マー隊は暗黒騎士の援護に向かってくれ」
「ハッ!」
マー達は大盾を構えると、重戦車のような鎧を鳴らしながらメイジのいる場所へと向かった。
彼女の隊の中に有名な神の子がいない事にセンは気がついた。
「ん?そう言えば神の子ヤイバはどうした?」
そう呟いた瞬間、遠くのメイジの集団が跳ね飛ばされた。
「おお、いたわ。【姿隠し】で接近していたのか。中途半端な魔力しか持たん我らでは途中で姿を晒してしまうが、流石はヤイバ」
ヤイバが跳ね飛ばした集団の中にシオはいなかった。
「くそ!肝心のシオさんがいないだと・・・?」
メイジを助けようと冒険者たちが魔法や弓矢を放つがヤイバは防ごうともしない。防ぐ意味がないからだ。お粗末な魔法や攻撃では何とか命中したとしても貫通はしない。
魔法や矢はヤイバの鎧にカンカンと跳ね返されて、冒険者たちは歩く魔法要塞の異名を持つ彼の魔法で氷漬けにされてしまう。
「人の形をした化物が!俺は星のオーガなんか信仰していないからな!」
ヤイバの体当たりで骨折し、動けなくなったメイジが足元で呻く。
悪意に満ちた目と言葉はズキリとヤイバの心に突き刺さるが、今はそれどころではないと、メイジにシオの居場所を聞いた。
「シオさんはどこだ!」
「さぁな?」
喧騒の中、シオを探して見渡していると遠くでカワーの悲鳴が聞こえた。
「何をする!ハイダルネ!」
ハイダルネはカワーの背後から【火球】を放っていた。ヤイバほどではないにしろ、カワーの魔法防御も高く火球では大したダメージを与えていない。
カワーはてっきり彼女が魔法のアイテムを誤射したのかと思っていたが、ヤイバは見抜いていた。
「それはハイダルネじゃない!敵だ!敵の【変装】だ!」
変装を見破られたシオが元の姿に戻ると、暗黒騎士が駆け寄ってくる前に素早く詠唱を終わらせた。
「【閃光】【業火】」
連続で魔法を唱えられるのは高レベルメイジの証である。
閃光は暗黒騎士の目を焼き、業火はその身を焼く。
そして更に厄介なことに、彼は負傷して倒れた味方達を広範囲の癒やしで回復してしまったのだ。
回復すると【透明化】で消え、戦おうと押し寄せてくる冒険者たちに紛れて逃げていった。
「くそ!僕の知り合いは敵になると厄介な人たちばかりだな!隊長、僕はシオさんを追います!彼を放っておけば次々と敵を回復してしまいますから」
「頼んだ!」
挑んでくる冒険者達をシールドバッシュトレインで弾き飛ばしながら、ヤイバはシオを追う。透明化してもヤイバには【魔法探知】で見えているのだ。
「最前線に出て来て強力な魔法と回復の祈りなんて、勇気あるシオさんにしか出来ないだろうな。普通はメイジ兼ヒーラーは後方で控えているのに・・・。ん?そういえばいつもシオさんが持っている煩いあの杖はどこだ?」
杖のことを考えているとどこからか、その杖の憎たらしい声が聞こえてくる。
ヤイバは混戦となった市街地で冒険者を跳ね飛ばしながら、声のする方を探る。
「はひぃ!ひひぃ!いい加減にしろ!嬢ちゃん!飛ぶのは疲れるんだぞ!早く俺を握れって!そうすりゃお前の体を正常にしてやれるんだから!でも握る時は愛しい人の棒を握るように優しく握ってね!フハー!」
よく見ると逃げ去るシオの後方斜め上で杖が飛びながら追いかけていた。
「こんな時でも下ネタですか・・・」
ヤイバが聖なる光の杖に追いついてジャンプして掴んだ。
「はふっ!もっと優しく握ってよ!出ちゃうから!」
「何が出るんですか!全く!」
「久しぶりだな~、坊主。お前見てると幼い頃のお前をいつも思い出すんだわ。ベッドで裸で寝てたシオの下半身を見てびっくりして泣いてただろ」
「会うとその話ばっかりして!小さい頃の話でしょう!しかもそう仕向けたのは貴方ですよ!」
「まぁ昔話はこの辺にして、ちょっくら俺でお嬢ちゃんを殴ってくれねぇか?優しくそっとな?お前のバカ力じゃシオの頭を木っ端微塵にしかねかねないからよ」
ヤイバは頷くとブンと杖を振った。
シオは後ろに目があるかの如く難なくその攻撃を避ける。
「おい、手練のシオに普通の攻撃が当たると思うのか?坊主。それに今の一撃は当たっていれば骨が砕けていた大怪我だわ!」
「む、難しいな・・・。魔法で足止めできないかな・・・。シオさんの弱点属性は?」
「土だな」
「【イバラの罠】!」
土系魔法の足止め効果のある魔法がシオの脚に絡んだ。しかしレジストされてイバラの蔓は消えてしまった。
「普通にレジストするじゃないですか!」
「あのな、シオは並の冒険者や騎士じゃないんだぞ!レジストされて当たり前だろうが!アホ坊!戦闘経験で培った知識はお前より遥かに上なの!」
経験を積めば、能力を何倍にも出来る者もいる。普通は生まれ持った能力の限界値を目指して修行を積むのだが、能力の限界まで達したものは、次に能力の幅を広げたり効率化を模索する。
シオの場合では魔法の手数を増やす、詠唱のムダを無くす、シルビィと同じく魔法の貫通力を高める等。そうすることで自分の能力を最大限にいかし、何倍にもすることが出来る。巷では上位スキルと呼ばれるものだ。
「僕だって上位スキルは持っているんだ!なのに、何故当たらない?」
「攻撃が来ると解ってて当たる奴なんているかよ!」
「じゃあシオさんは僕の攻撃が読めているって事なんですか?」
「その通り。地道にフェイントや絡め手で虚を突くしかないな」
「そういうのは色々とめんどくさいです・・・。虚をつくための虚を用意してみたいなのはちょっと・・・。」
ヤイバが珍しく腰袋から触媒を取り出した。脆くて白い石を砕いて詠唱したかと思うと、シオの前に大きな地割れが出来た。
「【大地割れ】だ!」
杖が驚いてそう叫ぶ。
急に開いた地割れをシオは飛び越えようとしたが、飛び越えようとする間にも地割れは広がっていった。
シオは咄嗟に【浮遊】で落下だけは免れようとしたが、ゆっくりと降下している間に地割れを飛び越えてきたヤイバに捕まり、杖で小突かれた。
「なんちゅう豪快な足止めよ・・・ヤイバ・・・。虚を突くとか言ってた俺様が恥ずかしいだろうが・・・」
聖なる光の杖は呆れてぼやいた。
「よし!これで市街戦は勝ったも同然だ!」
ヤイバの言葉通り、戦力の中心だったシオが捕まり、敵のヒーラー達は後から来た鉄騎士団に捕らえられ、王宮メイジ達や冒険者達は回復手段を失い戦意も失った。
「私のベンキはどこ?」
誰もが感じ取れるほど、その声は怒りに満ちていた。竜は暫く一人一人の心を読んでいるのか、首をあちこちに向けている。
そして顔をピタリとコロネに向けたまま動かなくなった。
「貴方、知っているのね?もう一度場所をイメージして!」
「嫌だね!」
コロネは心を閉ざし、古竜にクシャミ爆弾を投げつけた。
爆弾は古竜に当たったて煙を出したが、効果はなかった。
「ベンキは作戦が終わったら直ぐに野営地に戻ってくるって私に約束をしたの。それなのに貴方は彼を捕まえて連れて行ってしまったわ!」
「知ったこっちゃないね、エル。今は戦争の最中だ。さっさと帰りなよ」
古竜を見てたじろぐ冒険者の中でコロネは臆していない。ダガーの背を肩にトントンと当て、エルが立ち去るのを待っている。
暫く一匹と一人は睨み合い、冒険者は固唾を呑んで見守っていたが、突然コロネが糸の切れた人形のように倒れた。
「え?なんだ?おい!急にコロネが倒れたぞ!」
「古竜だ!古竜にやられたんだ!」
冒険者たちは一斉にパニックになり逃げ惑う。
ヤイバは急な事で頭が混乱し、エルに問いただすのが精一杯だった。
「何をしたんです?エルさん!」
「何って、生意気だから殺したのよ?下等種のくせに私に逆らうから・・・。それに私は死体を食べる事で情報を読み取ることが出来るの。だからコロネは貰っていくわね」
「そんな・・・エルさん!」
ヤイバがエルに近寄ろうとしたが、古竜は羽を大きく羽ばたかせるとコロネを咥えて飛び去ってしまった。
「イグナ母さんになんて言えばいいんだ・・・。あんなに呆気なくコロネさんが死ぬなんて・・・。いつも人は呆気なく死ぬんだ・・・。僕が助けられたかもしれないのに・・・」
「ヤイバ・・・。すまない・・・。コロネを誘ったのは私なのだ。私がタスネに相談しに行った時に事情を話して彼女を参戦させてしまった・・・。彼女は何とかアンドラス達の味方のふりをしてルビーを助ける方法を模索していたが、結局駄目だった。それで正攻法に出たんだ・・・・。戦争で成果を上げてアンドラスの信用を完全に勝ち取ってからルビーを開放させるやり方を・・・。だからコロネはあんなに頑なだった・・・。全ては私のせいだっ!」
「なぜ最初から僕達を頼らなかったんだ・・・、シルビィさんもコロネさんも!」
召喚師部隊に参加していたマサヨシとワロティニスが気落ちするヤイバを心配してやってきた。
「ヤイバ・・・。その・・・コロネの事は残念だったな・・・」
「お兄ちゃん、また自分のせいだと思ってるんでしょ!違うからね!」
マサヨシとワロティニスの声が聞こえてなさそうなヤイバの肩をカワーが触れる。
「まだ戦いの最中だ。落ち込んでいる暇はないぞ。次は市街戦が待っているんだ。行くぞヤイバ」
ヤイバは項垂れながらも頷くと、ワロティニスに言った。
「後方の野営地にいるイグナ母さんにこの事を伝えてくれないか?ワロ。君にこんな役目を押し付けて申し訳ないが・・・」
「わかった・・・」
なんでも背負い込んでしまう兄を見てワロは不安になった。そのうち彼は心を壊すのではないかと。
(もしコロネさんを復活させる事が出来なかったらお兄ちゃんは・・・)
ワロティニスは嫌な予感がしたが、それでもきっと父が何とかしてくれると微かに希望を込めて野営地まで走った。
一部始終を魔法水晶で見ていたアンドラスは、視聴者の思い通りに行かないドラマでも見ているかのように「あーあ」と言って残念がった。
「コロネは簡単に死んだね」
―――相手が古竜だから仕方ないね―――
「あの古竜、また攻めて来ないかな?」
―――古竜は基本的に劣等種に無関心だよ―――
「ならいいか。来たら来たで支配してしまえばいいしね。口や鼻が大きいから種を簡単に吸い込むだろう」
トントンと指先で王座の肘掛けを叩いた後、アンドラスは神の子ヤイバの様子を思い返して、体を共有しているウロタンに話しかけた。
「あの神の子ってのは、もしかして心が折れやすいんじゃないか?」
―――どうしてだい?―――
「コロネとは知り合いだったのか、彼女が死んだら覇気が無くなったように見えたよね?」
―――弱肉強食のオーガだぞ?そんな事あるかなぁ・・・。戦場でオーガが弱った仲間を容赦なく見捨てていく姿を僕は何度か見たよ?―――
「でも個体差はあるだろう」
―――シュラスにでも聞いてみる?―――
「そうだね」
王座の前で跪く樹族の王に今度はアンドラスではなくウロタンが表に現れて聞いた。
「ヤイバとはどんな人物なんだい?僕は信心深くなくて彼に全く興味がなかったから知らないんだ」
「自分もそうそう会える人物ではありませんので、知っている情報をば・・・。星のオーガであるヒジリ聖下の第一子で能力値はオール二十一、性格は普通のオーガと違って優しいと聞きます。孤児院の手伝いをしたり、戦場では弱者を守ろうとする傾向がありますかな」
「えっ?最初なんて言った?さらっと言ったけど」
「星のオーガであるヒジリ聖下の第一子で能力値がオール二十一と・・・」
「人型種でそれはあり得ないよ!高位の悪魔かなにかの類なんじゃないのか?!」
「ええ、だから彼は神の子なのです、ウロタン様」
―――人の身にその能力は過ぎた力だ・・・。いつか綻びが・・・。待てよ・・。ああ、その代償かもしれないね、彼の優しさは―――
「どういうことだい?アンドラス」
―――人の身で魔力が二十一もあるとどうなると思う?―――
「さぁ?」
―――君は元魔法院のメイジなのに知らないのかい?魔力が高すぎると狂気に触れやすいんだよ―――
「ああ、思いだした!数百年に一度の割合で、狂気のメイジが現れるのはそれが理由だったね」
―――彼がオーガにしては優しいのは、マナを介して他者の感情を読み取りやすいからさ。―――
「人の心の苦しみや痛みが解るから優しいのか」
―――そう。だがそれは徐々に心を蝕む。他人の苦しみを背負って正気で人生を全う出来る自信は僕には無いね―――
「強力な彼を何とか利用出来ないかな・・・」
―――心を折って、弱った所を繰り虫・・・、いや種の方がいいな。この作戦でいこう。心が折れればレジスト率はグッと下がる―――
「彼の能力だと間違いなく吸魔鬼を突破して城までやってくるだろうからな。その時まで待つか」
―――そうしよう。さて何で心を折る?―――
ゲームでも攻略するかのように楽しそうに思案し王座に座る”一人の二人“は暫く悩んでいたが、見かねたシュラスが提案をした。
「処刑などどうでしょうか?砦の戦士達とルビーの処刑。彼等はヤイバとは親しい仲だと聞きます故」
「そうか。でも処刑では味気ないな。種を植え込んで戦わせよう!」
―――自分の手で処刑させるのか、面白いね―――
シュラスはハッとして二人に忠告した。
「でしたら、急いでくださいませ。先程の古竜は砦の戦士の一人を探しております。ついでにルビーを助けるやもしれませぬ」
「めんどくさいな・・・。すぐに裏側か誰かに囚人の移動を命じろ!シュラス!」
「ハッ!」
ワンドリッターはジュウゾの背中を睨みつけながら地下牢へと降りている。
(ジュウゾ・・・。闇樹族の落とし子。シュラスは何故こんな者を傍に置くのか。こやつ自体は樹族だが父親は闇に堕ちた樹族。裏切り者の子)
ソバージュの黒髪の下で眉の無い目は疑いに光っていた。
砦の戦士やルビーの入っている牢屋前に来るとその視線を牢屋の中へと向ける。
暗い中でもオーガ達は目が利くので問題ないようだが、樹族の娘は常に【暗視】の魔法でゴキブリを警戒していた。魔法の効果が瞳を金色に光らせている。
「場所を移動する。出ろ」
ソラス・ワンドリッターがそう言って牢屋の扉を開けようとするとオーガがヘラヘラと笑った。
「あんた、貴族なんだろう?なんで下っ端がするような雑用をやってんだ?」
「うるさい。下っ端に任せられないからだ。特にお前らのような小賢しいオーガは何を企むか判らん」
「そこまで警戒されるとは俺らも偉くなったもんだ。ハッ!」
「オーガ風情があまり調子にのるな。邪魔立てするようなら何人か殺しても良いと言われているのだぞ?」
「おお、こわ」
それ以降オーガは黙ったのでワンドリッターはシルビィの娘を見る。
唯一与えられたワンドで必死に人食いゴキブリと戦っていたのでローブはボロボロで所々穴が開いている。
「触媒無しで使える魔法でよく居間まで耐えきれたものだな。もうマナも尽きたか・・・。オーガのような大きな足があれば簡単に踏み潰せただろうが・・・」
ワンドリッターは欲情した目でルビーを見た。
ローブの破れた穴から見える内腿や胸元は白く、十六歳の小娘とはいえ、むっちりとしており劣情を催すには十分だった。
(ヤイバに殺させるには勿体無い美しさだな・・・)
「ワンドリッター様。そろそろ古龍が来ます。お急ぎ下さい」
「抜け道があるのなら、そこまで急がなくても良かろう?ジュウゾはオーガ達を先に連れて行け」
ジュウゾは覆面の下で眉根に皺を寄せた。
「その娘に何をなさるつもりで?」
「無粋なことを聞くな。さぁ行け」
ジュウゾは王の命を受けるソラスには逆らえない。王が幾ら得体の知れない男の言いなりになろうが、彼にとってシュラス王の命令は絶対なのだ。
(すまない・・・ルビー。任務中に私情を挟むこと出来ないのだ・・・。許してくれ)
魔法の拘束具で動きを制限されたオーガ達を抜け道へと誘導するジュウゾの背後でルビーの悲鳴が聞こえてきた。
「やだ!変態!触らないで!」
バシッ!と頬を叩く音がした。ルビーが抗ったのだろうかと思ったが頬を叩いたのはワンドリッターだった。
「生娘のまま死ぬのは可哀想だと思って哀れんでやったのに、何様だお前は!」
もう一度バシッと頬を叩く音が聞こえてくる。
ジュウゾは歩みを止めて引き返すかどうか苦悩する。
(親友の娘なのだぞ・・・。助けないのか?)
もう一人の自分が仕事に集中しろと頭の中で言う。
(いつからお前はそんなに感情に任せて動くようになった?任務中ぞ!)
自問自答するジュウゾの後ろでスカーは囁く。
「どうした?覆面のオッサン。彼女を助けようかどうか悩んでいるなら、迷わず助けるべきだな。俺はああいうの耐えられねぇ。オッサンが助けないなら俺が助けるぜ?さぁ拘束具を外してくれ。な?」
「黙れ。行くぞ・・・」
ジュウゾがそう言って歩きだそうとしたその時、今度は服を破くような音が聞こえてきてルビーのすすり泣く声が聞こえてきた。
「やだよ・・・。こんなの・・・やだよ・・・!お父さん、お母さん!!」
「さぁ大人しくしろ。直ぐに良くなる。股を開け!」
ルビーが親に助けを求める声を聞いてジュウゾは政敵の策略で闇落ちした父親を思いだした。
樹族国で樹族が闇落ちすれば自害をさせられるか国外追放が待っている。プライドの高かった父親はその場で毒を飲んで死を選んだと聞いた。
偶然その場に居たシュラス王はまだ幼かったジュウゾを不憫に思って庇い、尚且つ裏側に所属させ、それ以上害が及ばないように取り計らってくれたのである。
(王に逆らえば私は裏側を追放されよう。追放で済めばいいが・・・。例え王が操られていたとしていても、命に背けばその責任は裏側全体に及ぶ。だが・・・。ええい!構うものか!)
ジュウゾは腰のホルダーからクナイを取り出して二刀流で構えると、音もなくオーガ達の横をすり抜けて道を引き返した。
「お、やるのか?オッサン。手伝おうか?」
「動くな。直ぐに帰ってくる」
抜け道の向こう側から、抵抗するルビーのジタバタする音が聞こえてくる。
ズボンを脱いで下半身を露出したワンドリッターの背後からジュウゾはクナイを突きつけ脅す。
「それ以上、何かしてみろ。最後に自分の汚い股間を見る事になるぞ」
「やはり裏切り者の子は裏切り者であったか。私は魔法水晶を持っている。直ぐにでも王に連絡することができるのだぞ。お前がクナイを使うよりも早くお前が裏切ったというサインを送る事が出来るのだ」
「・・・」
「自害しろ。闇堕ちした親と同じようにな。そうすればお前の罪は私の中で止めておいてやる。そうでないなら、裏側はお前の所為で解体することになるだろう」
クナイを握りしめる手が汗ばむ。このままルビーを助けるか、自分の地位と部下たちの安泰をとるか。
―――ザシュ!―――
複数の小さな分身が一斉にソラス・ワンドリッターをダガーで貫いた。
ソラスは声を発する暇もなく絶命してしまった。全ての攻撃が致命傷だったからだ。しかしその攻撃はジュウゾのものではない。
「・・!?・・・誰だ?」
「私だよ、ジュウゾのおっちゃん」
どら声が闇の中から聞こえてくる。魔法を使わなくとも闇の中で目が利く裏側の長でもその闇は見通せなかった。
「コロネ・・・。死んだのでは無かったのか?」
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「それは良いが、これからどうするのだ?囚人達は別の地下牢に送った後、洗脳手術を施される予定だと聞いたが」
「おっちゃんだって、ワンドリッターを殺してからどうするつもりだったんだよ・・・」
「アンドラスとかいう男を殺しに行くつもりだったのだ」
「ムリムリ。リューロックのオッサンに阻止されるのが関の山。私達みたいな正面切って戦うのが苦手な輩は小手先の効かない力馬鹿とは相性が悪いだろ?」
「ではどうすると言うのだ」
「抜かりはないよ。ほらこれ」
そう言ってコロネはウエストポーチから小指の先程の人形を鷲掴みにして見せた。
「これはイグナお姉ちゃんがオーガの始祖神と対峙した時に使った事がある身代わり人形さ。マナを上手く隠してくれるので、魔法探知でもバレにくいし暫くは本物と同じように動いてくれる。これを連れて行って」
「そんな貴重なアイテムがこんなにあるとはな・・・」
「伊達に小さい頃から冒険者をやってないよ」
コロネは人形をポーチにしまい、ワンドリッターが羽織っていたマントを引き剥がすと裸体のルビーに着させた。
「大丈夫か?ルビー。まだヤられてないよな?」
「うん、ありがとうコロネさん」
「よし、これでシルビィのオバちゃんやヤイバも動きやすくなるだろ。人質がいないからな。事情はエルに話すよう頼んどくよ。ヤイバ達も一芝居うってくれるだろ」
「すまない・・・。コロネ。・・・私はこの恥知らずを殺すのに一瞬躊躇したのだ。保身のためにな。お前がワンドリッターを殺してくれことでどこかホッとする自分がいる」
「いいって。おっちゃんは掟とかそういうので雁字搦めなんだろ?私みたいな冒険者はその点身軽だしな。きっと全てケリがついたら恩赦はあるよ」
コロネは手をひらひらさせながら奥にいるオーガ達に事情を説明しに道を進んでいった。
(あの小さかったドラ娘がよくここまで成長したものだ)
ジュウゾは去っていく地走り族の幼かった頃を思い出して今の成長を喜ぶと共に、躊躇無く敵を討つ冷酷さに少しの寂しさを感じた。
シオの魔法で倒れた傭兵たちと一部の帝国騎士をバリケード前で休ませている間に、先行して市街地に入っていった暗黒騎士団はゲリラ戦を挑んでくる冒険者達に手こずっていた。
「ええぃ!地の利は向こうにあるとしても、いつまで足止めをくらっているのだ!我らは世界最強の帝国騎士団だぞ!」
リーダーであったコロネを失った冒険者たちの士気は下がったものの、持ち前の臨機応変さで暗黒騎士団の団長、セン・クロウを苛立たせる事は出来た。
建物の陰からクロスボウで一斉射撃をし、帝国軍が近寄ってくると煙玉で煙幕を張って逃げる。
しかも最悪なのは、彼等は一般人を盾にするのだ。家に立て籠もる住人の中から無理やり幼児を引っ張り出し、盾のように構えてニヤニヤと笑いながら魔法を撃ってくる。
「下衆な冒険者どもめ!」
暗黒騎士、というネガティブな感情を力に変える攻撃力特化型の魔法騎士の団長は、それとは裏腹に正々堂々とした戦いを好み、常に高潔であろうとする人物である。なのでどんな汚い手を使ってでも勝とうとする冒険者には虫唾が走った。
冒険者も一般人には絶対手出しをしないという、センの人間性を観察して知った末の戦法なのだ。
「戦技は極力控えろ!特に闇の爆発系の戦技は一般人に被害が及ぶ!鎌ではなくショートソードか短剣に闇エンチャントをして戦え!」
本来の戦い方が出来ないのであれば暗黒騎士は並の戦士程度の力しか発揮できないだろう。それでも暗黒騎士達は団長の無茶振りに顔色一つ変えず従った。
「子供を盾にとるとは言語道断!」
センは子供を盾にとってニヤニヤしていた冒険者にを指差すと【死】の魔法をかけた。
冒険者はフニャっと倒れると、母親が急いで泣く子供を抱きかかえて家に隠れる。
「よし!」
「セン団長!」
鉄騎士のマーがガシャガシャと鎧の音を立てて走り寄ってきた。
「鉄騎士団はもう回復したのか?」
「あと少しです。傭兵部隊は予想以上に被害が大きく戦線より離脱しました。これよりマー隊も参加します」
「助かる」
マー隊が駆けつけたと同時に少し先の建物が爆発が起きて、暗黒騎士達が数名吹き飛ばされた。
「何事か!」
センの前に吹き飛ばされてきた暗黒騎士は軽傷だったのか直ぐに起き上がると報告する。
「先程、帝国軍に奇襲をかけたメイジの集団が現れました。住民を巻き込んで魔法を撃っています!」
「なんということを!国民を守らないどころか巻き込むとは!マー隊は暗黒騎士の援護に向かってくれ」
「ハッ!」
マー達は大盾を構えると、重戦車のような鎧を鳴らしながらメイジのいる場所へと向かった。
彼女の隊の中に有名な神の子がいない事にセンは気がついた。
「ん?そう言えば神の子ヤイバはどうした?」
そう呟いた瞬間、遠くのメイジの集団が跳ね飛ばされた。
「おお、いたわ。【姿隠し】で接近していたのか。中途半端な魔力しか持たん我らでは途中で姿を晒してしまうが、流石はヤイバ」
ヤイバが跳ね飛ばした集団の中にシオはいなかった。
「くそ!肝心のシオさんがいないだと・・・?」
メイジを助けようと冒険者たちが魔法や弓矢を放つがヤイバは防ごうともしない。防ぐ意味がないからだ。お粗末な魔法や攻撃では何とか命中したとしても貫通はしない。
魔法や矢はヤイバの鎧にカンカンと跳ね返されて、冒険者たちは歩く魔法要塞の異名を持つ彼の魔法で氷漬けにされてしまう。
「人の形をした化物が!俺は星のオーガなんか信仰していないからな!」
ヤイバの体当たりで骨折し、動けなくなったメイジが足元で呻く。
悪意に満ちた目と言葉はズキリとヤイバの心に突き刺さるが、今はそれどころではないと、メイジにシオの居場所を聞いた。
「シオさんはどこだ!」
「さぁな?」
喧騒の中、シオを探して見渡していると遠くでカワーの悲鳴が聞こえた。
「何をする!ハイダルネ!」
ハイダルネはカワーの背後から【火球】を放っていた。ヤイバほどではないにしろ、カワーの魔法防御も高く火球では大したダメージを与えていない。
カワーはてっきり彼女が魔法のアイテムを誤射したのかと思っていたが、ヤイバは見抜いていた。
「それはハイダルネじゃない!敵だ!敵の【変装】だ!」
変装を見破られたシオが元の姿に戻ると、暗黒騎士が駆け寄ってくる前に素早く詠唱を終わらせた。
「【閃光】【業火】」
連続で魔法を唱えられるのは高レベルメイジの証である。
閃光は暗黒騎士の目を焼き、業火はその身を焼く。
そして更に厄介なことに、彼は負傷して倒れた味方達を広範囲の癒やしで回復してしまったのだ。
回復すると【透明化】で消え、戦おうと押し寄せてくる冒険者たちに紛れて逃げていった。
「くそ!僕の知り合いは敵になると厄介な人たちばかりだな!隊長、僕はシオさんを追います!彼を放っておけば次々と敵を回復してしまいますから」
「頼んだ!」
挑んでくる冒険者達をシールドバッシュトレインで弾き飛ばしながら、ヤイバはシオを追う。透明化してもヤイバには【魔法探知】で見えているのだ。
「最前線に出て来て強力な魔法と回復の祈りなんて、勇気あるシオさんにしか出来ないだろうな。普通はメイジ兼ヒーラーは後方で控えているのに・・・。ん?そういえばいつもシオさんが持っている煩いあの杖はどこだ?」
杖のことを考えているとどこからか、その杖の憎たらしい声が聞こえてくる。
ヤイバは混戦となった市街地で冒険者を跳ね飛ばしながら、声のする方を探る。
「はひぃ!ひひぃ!いい加減にしろ!嬢ちゃん!飛ぶのは疲れるんだぞ!早く俺を握れって!そうすりゃお前の体を正常にしてやれるんだから!でも握る時は愛しい人の棒を握るように優しく握ってね!フハー!」
よく見ると逃げ去るシオの後方斜め上で杖が飛びながら追いかけていた。
「こんな時でも下ネタですか・・・」
ヤイバが聖なる光の杖に追いついてジャンプして掴んだ。
「はふっ!もっと優しく握ってよ!出ちゃうから!」
「何が出るんですか!全く!」
「久しぶりだな~、坊主。お前見てると幼い頃のお前をいつも思い出すんだわ。ベッドで裸で寝てたシオの下半身を見てびっくりして泣いてただろ」
「会うとその話ばっかりして!小さい頃の話でしょう!しかもそう仕向けたのは貴方ですよ!」
「まぁ昔話はこの辺にして、ちょっくら俺でお嬢ちゃんを殴ってくれねぇか?優しくそっとな?お前のバカ力じゃシオの頭を木っ端微塵にしかねかねないからよ」
ヤイバは頷くとブンと杖を振った。
シオは後ろに目があるかの如く難なくその攻撃を避ける。
「おい、手練のシオに普通の攻撃が当たると思うのか?坊主。それに今の一撃は当たっていれば骨が砕けていた大怪我だわ!」
「む、難しいな・・・。魔法で足止めできないかな・・・。シオさんの弱点属性は?」
「土だな」
「【イバラの罠】!」
土系魔法の足止め効果のある魔法がシオの脚に絡んだ。しかしレジストされてイバラの蔓は消えてしまった。
「普通にレジストするじゃないですか!」
「あのな、シオは並の冒険者や騎士じゃないんだぞ!レジストされて当たり前だろうが!アホ坊!戦闘経験で培った知識はお前より遥かに上なの!」
経験を積めば、能力を何倍にも出来る者もいる。普通は生まれ持った能力の限界値を目指して修行を積むのだが、能力の限界まで達したものは、次に能力の幅を広げたり効率化を模索する。
シオの場合では魔法の手数を増やす、詠唱のムダを無くす、シルビィと同じく魔法の貫通力を高める等。そうすることで自分の能力を最大限にいかし、何倍にもすることが出来る。巷では上位スキルと呼ばれるものだ。
「僕だって上位スキルは持っているんだ!なのに、何故当たらない?」
「攻撃が来ると解ってて当たる奴なんているかよ!」
「じゃあシオさんは僕の攻撃が読めているって事なんですか?」
「その通り。地道にフェイントや絡め手で虚を突くしかないな」
「そういうのは色々とめんどくさいです・・・。虚をつくための虚を用意してみたいなのはちょっと・・・。」
ヤイバが珍しく腰袋から触媒を取り出した。脆くて白い石を砕いて詠唱したかと思うと、シオの前に大きな地割れが出来た。
「【大地割れ】だ!」
杖が驚いてそう叫ぶ。
急に開いた地割れをシオは飛び越えようとしたが、飛び越えようとする間にも地割れは広がっていった。
シオは咄嗟に【浮遊】で落下だけは免れようとしたが、ゆっくりと降下している間に地割れを飛び越えてきたヤイバに捕まり、杖で小突かれた。
「なんちゅう豪快な足止めよ・・・ヤイバ・・・。虚を突くとか言ってた俺様が恥ずかしいだろうが・・・」
聖なる光の杖は呆れてぼやいた。
「よし!これで市街戦は勝ったも同然だ!」
ヤイバの言葉通り、戦力の中心だったシオが捕まり、敵のヒーラー達は後から来た鉄騎士団に捕らえられ、王宮メイジ達や冒険者達は回復手段を失い戦意も失った。
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