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博士を知る者
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ノームの姿をしたホログラムは、ローブの袖で涙を拭いヒジリに近づく。
「どうして・・・。どうして今頃になって・・・。私達も博士も救援が来るのを千年も待ったんじゃよ!結局博士はこの星の生命を守るために邪神と相打ちとなり、今も別宇宙の亜空間を死んで漂っているんじゃ。あなた方がもっと早く来てくれれば・・・」
「我々がここへ来れなかった理由は君にも解っていたはずだ。博士が同じ時間軸の過去にタイムワープしていた事を・・・。遥か昔の地球人がどうやってこの星を見つけられるのかね?」
言われなくてもホログラムには解っている。それでも言わねば気が済まない。博士は何度星空を見上げて泣いていたか。デザインドによる迫害から逃げるようにして宇宙へと飛び出した博士だったが、やはり故郷が懐かしくてこっそりと泣いていたのを司書は見ていたのだ。
「ウィスプ様はあの時、地球に飛んだはずじゃ!魔法の使えないはずの博士が命の終わりを覚悟してマナに願いを篭めた祈りは・・・確かに魔法の形を取ってウィスプ様に届いた!なのに貴方は・・・。何故何もせず今頃になってやって来たんじゃ!ウィスプ様!」
泣きながら自分に縋る老婆のホログラムにウメボシは冷たく言い放つ。
「勘違いしないでください、ウメボシはウィスプではありません。それにもしウィスプが地球に飛んだとして、それはいつの時代ですか?もし九千年前の地球に飛んだのであれば、どう足掻いても博士を助けられなかったでしょう」
ウメボシは主にこっそりと耳打ちする。
「彼女は長い時を経て膨れ上がるバグの処理が出来なくなったようです。これはダンゴと同じ症状です。話に論理性がありません。あまりに感情的過ぎます」
「バグの除去をしてやれ、ウメボシ」
「無理です。バグはプログラムに深く浸透しており、無理に除去すればより酷くなります。こうなったら彼女をリセット・・・つまり殺した方が早いでしょう」
ウメボシの言葉は司書に聞こえていたのか、老婆は泣きながらヒヒヒと笑った。
「ワシを殺すのかぇ?だったら少し待ってくれないかねぇ?もう少しで博士の遺体がある座標が解りそうなんじゃ」
それを聞いて普段は何事にも滅多に驚かないヒジリが驚く。
「馬鹿な。別売宇宙にある亜空間だぞ!四十一世紀の科学力をもってしても無理だ。ましてや日進月歩の勢いで発展する今の科学技術に追いつけていない君がどうやって博士の場所を特定できるというのかね?」
「ヒヒッ!サカモト博士は貴方のように頭は固くはなかった。博士が目指していたのは科学と魔法の融合。その第一号がそこのデルフォイじゃ。マナや魔法と相性の悪いナノマシンを、予め死霊術で魂を篭めた杖に付着させて融合を実現させた。杖は科学も魔法も区別も付かない無垢の状態で生まれる。なので矛盾する二つを疑うことなく受け入れる事が出来たのじゃ」
「迷いや疑いが無い?」
「そうじゃ。貴方様のように科学で全てが解明できるという傲慢さはその杖にない。あるがままを受け入れる。それが油と酢を繋ぐ卵のような役目をしているのじゃよ。マヨネーズのように」
「あるがままを受け入れる・・・」
ヒジリはふとセイバーを思い出す。
未来から来た彼は魔法使いでありながらナノマシンをその身に宿していた。
虚無魔法と彼らが呼ぶサカモト粒子は触れたものを全て拒みこの世界から消し去る。そして別宇宙で使われるエネルギーに変換されるのだ。
(そう言えばセイバーは生まれつき蟲を宿していたと言っていた。だから科学を科学と認識せずに受け入れている。魔法的な何かだと思って。それに比べ私は魔法をマナ粒子の副産物だと認識し、いつか科学的に証明出来ると考えている。だとしても、だ。その考えを一体誰が汲み取って粒子に反映させている?)
ヒジリが考え事をしている間にも老婆は喋り続ける。
「科学は万能ではないんじゃ。人が人である限り限界は必ずある。その限界を突破させる事が出来るのが魔法だと博士は言っておられた。博士の掲げた科学と魔法の融合という精神はノームに引き継がれ、今も研究が続けられているが・・・。時が流れて世代交代をする内にノーム達の目的が研究のみに変わり、魔法と科学の融合、そしてサカモト博士の帰還という悲願達成すら忘れさられてしまった。今や彼らは島に引き篭って世界と関わりを絶っておる。だから・・・だからワシは何千年もかけて博士の居場所を何度も何度も計算して割り出そうとしたんじゃ。そしてもう少しでそれが終わる。だから殺さないでおくれ!」
ヒジリに縋る老婆を見てウメボシはハァと深いため息をついた。
「彼女がウメボシに提示した計算データはデタラメです、マスター。長い年月の間、独自の言語や計算法を生み出した可能性もありますが、ウメボシには壁に書きなぐった落書きのようにしか見えません」
「ではこの施設の情報収集の為にも彼女をリセットするか・・・。ナビシステムがこんなバグだらけでは困るからな」
「待って、ヒジリ」
イグナが闇が渦巻く瞳でヒジリを見る。
「このお婆さんにチャンスを与えてあげて・・・。かわいそう」
「イグナ・・・。彼女は司書であり、科学者のように計算をして座標を割り出すなんて事は出来ないようになっている。彼女の計算に信憑性は無いのだ。博士が戻って来れば蘇生して、過去の話や研究内容を聞ける貴重な機会ではあるが・・・。私は今すぐここの膨大な書物の内容やデータを出来るだけ正確に知りたい。そうなると今の彼女では無理なのだ」
少し離れた前方から芯のある低い声がイグナに賛同した。
「私からも頼む。星のオーガよ。この老婆に機会を・・・」
カツンとブーツを鳴らして吸魔鬼の始祖ダンティラスが歩み寄ってくる。
「彼女とは・・・ナビとはもう長い付き合いだ。永遠とも思える長い年月の中、このノームの老婆が博士の帰還を願うあまり狂っていった事は認める。だが、それはそれだけ主への思いが強いという事。どうか彼女を殺さないで欲しいのである」
「ふむ・・・」
ヒジリはいつもの癖で顎を擦って考える。
バグだらけの彼女をリセットしなかった場合、欲しい情報が瞬時に手に入らないだろう。或いは間違った情報を渡される。ナビと呼ばれた老婆と同じ業務をウメボシにやらせようか、いやそんな付け焼き刃でどうにかなる情報量ではない。いっそ地球にデータを送って情報を整理してもらうか?そうなれば情報提供する事となり、膨大なボランティアポイントが手に入るだろう。が、地球政府に対するアドバンテージや手札を減らす事にもなる。
「バグを除去出来ないのであれば・・・。彼女をどの程度まで修復出来る?ウメボシ」
「不可侵領域以外の半分といったところでしょうか?」
「司書の業務に支障がない程度まで直せそうか?」
「ギリギリですね。今後も支離滅裂な事を言うでしょうが・・・」
「よし、では彼女はこのままだ。リセットはしない」
それを聞いてイグナがニパっと笑う。
「ありがとう!ヒジリ!」
脚に抱きついていたシルビィをグイッと押しのけてイグナは抱きつく。
「お、おいぃ~・・・」
押し退けられたシルビィが不満げな声を出す。
「ヒジリ、優しいから好き!」
「私が優しい?それはどうかな?寧ろ今のはイグナの優しさだろう?」
ヒジリはイグナを抱き上げると頬にキスをした。イグナはくすぐったそうに笑って肩を竦める。
「あ、ズルい!私もキスをしてほしい!」
シルビィが両手を広げてピョンピョン跳ねる。
ヒジリは片手で抱き上げるとシルビィの頬にキスをした。
「デヒヒヒ(ああ、久しぶりのダーリン!)」
貴族らしからぬ笑い声を上げてヒジリの首に抱きつこうとするシルビィの頬をイグナがワンドで突いて押し返す。
「ちょっ!こら、イグナ!久々のダーリンなんだから抱きつくぐらいいいだろう!」
「駄目・・・」
ダンティラスもナビもポカンとしてその様子を見ている。
「いやはや・・・。サカモト博士は全くと言っていいほどモテなかったのに、彼は真逆であるな、ナビ」
「フェフェ。博士はスケベェな割に口説くのが下手じゃったからのう。ワシも何度か口説かれたが、あまりの口下手さにうんざりしたわい」
「な・・・なに?ナビは昔から老婆の姿をしておったはずだが・・・。(博士は何でもありだったのであるな・・・)」
ウメボシは、場がいつものゴチャゴチャした空気になりつつあると解って目が据わりだす。
(欲情した顔でマスターの脚にさり気なく腰を擦り付ける両性具有の大魔法使い。どちらが首に抱きつくかで争っている樹族国の大物貴族と闇魔女。・・・カオスです・・・マサムネ様。ここに貴方の嫌うカオスがあります・・・)
「と、冷静な第三者を気取ってみましたが、やっぱりウメボシもマスターにキスされたいです!二人とも!そこはウメボシの席ですよ!離れなさい!」
ウメボシ達がギャーギャーやっていると、書庫の闇に人の気配がする。
「なんだ?」
ヒジリが薄暗い書庫の中でガチャガチャと音のする方を見る。
すると闇の中から青い鎧のお化けが二体現れた。
一瞬イグナにはその鎧達がアンデッドであるリビングアーマーに見えたが、どうも理性があるように見える。
鎧のお化けの一匹が喋る。
「すみません、ヒジリさん。今回だけは僕は貴方の敵になる可能性があります」
その真面目そうな声と見覚えのある青い帝国鎧。胸には自由騎士の証であるグリフォンの紋章がついている。
何故こんな場所に彼がいるのか。さてはまた未来が変わったのか。
ヒジリは静かに尋ねる。
「未来が変わったのかね?セイバー」
「どうして・・・。どうして今頃になって・・・。私達も博士も救援が来るのを千年も待ったんじゃよ!結局博士はこの星の生命を守るために邪神と相打ちとなり、今も別宇宙の亜空間を死んで漂っているんじゃ。あなた方がもっと早く来てくれれば・・・」
「我々がここへ来れなかった理由は君にも解っていたはずだ。博士が同じ時間軸の過去にタイムワープしていた事を・・・。遥か昔の地球人がどうやってこの星を見つけられるのかね?」
言われなくてもホログラムには解っている。それでも言わねば気が済まない。博士は何度星空を見上げて泣いていたか。デザインドによる迫害から逃げるようにして宇宙へと飛び出した博士だったが、やはり故郷が懐かしくてこっそりと泣いていたのを司書は見ていたのだ。
「ウィスプ様はあの時、地球に飛んだはずじゃ!魔法の使えないはずの博士が命の終わりを覚悟してマナに願いを篭めた祈りは・・・確かに魔法の形を取ってウィスプ様に届いた!なのに貴方は・・・。何故何もせず今頃になってやって来たんじゃ!ウィスプ様!」
泣きながら自分に縋る老婆のホログラムにウメボシは冷たく言い放つ。
「勘違いしないでください、ウメボシはウィスプではありません。それにもしウィスプが地球に飛んだとして、それはいつの時代ですか?もし九千年前の地球に飛んだのであれば、どう足掻いても博士を助けられなかったでしょう」
ウメボシは主にこっそりと耳打ちする。
「彼女は長い時を経て膨れ上がるバグの処理が出来なくなったようです。これはダンゴと同じ症状です。話に論理性がありません。あまりに感情的過ぎます」
「バグの除去をしてやれ、ウメボシ」
「無理です。バグはプログラムに深く浸透しており、無理に除去すればより酷くなります。こうなったら彼女をリセット・・・つまり殺した方が早いでしょう」
ウメボシの言葉は司書に聞こえていたのか、老婆は泣きながらヒヒヒと笑った。
「ワシを殺すのかぇ?だったら少し待ってくれないかねぇ?もう少しで博士の遺体がある座標が解りそうなんじゃ」
それを聞いて普段は何事にも滅多に驚かないヒジリが驚く。
「馬鹿な。別売宇宙にある亜空間だぞ!四十一世紀の科学力をもってしても無理だ。ましてや日進月歩の勢いで発展する今の科学技術に追いつけていない君がどうやって博士の場所を特定できるというのかね?」
「ヒヒッ!サカモト博士は貴方のように頭は固くはなかった。博士が目指していたのは科学と魔法の融合。その第一号がそこのデルフォイじゃ。マナや魔法と相性の悪いナノマシンを、予め死霊術で魂を篭めた杖に付着させて融合を実現させた。杖は科学も魔法も区別も付かない無垢の状態で生まれる。なので矛盾する二つを疑うことなく受け入れる事が出来たのじゃ」
「迷いや疑いが無い?」
「そうじゃ。貴方様のように科学で全てが解明できるという傲慢さはその杖にない。あるがままを受け入れる。それが油と酢を繋ぐ卵のような役目をしているのじゃよ。マヨネーズのように」
「あるがままを受け入れる・・・」
ヒジリはふとセイバーを思い出す。
未来から来た彼は魔法使いでありながらナノマシンをその身に宿していた。
虚無魔法と彼らが呼ぶサカモト粒子は触れたものを全て拒みこの世界から消し去る。そして別宇宙で使われるエネルギーに変換されるのだ。
(そう言えばセイバーは生まれつき蟲を宿していたと言っていた。だから科学を科学と認識せずに受け入れている。魔法的な何かだと思って。それに比べ私は魔法をマナ粒子の副産物だと認識し、いつか科学的に証明出来ると考えている。だとしても、だ。その考えを一体誰が汲み取って粒子に反映させている?)
ヒジリが考え事をしている間にも老婆は喋り続ける。
「科学は万能ではないんじゃ。人が人である限り限界は必ずある。その限界を突破させる事が出来るのが魔法だと博士は言っておられた。博士の掲げた科学と魔法の融合という精神はノームに引き継がれ、今も研究が続けられているが・・・。時が流れて世代交代をする内にノーム達の目的が研究のみに変わり、魔法と科学の融合、そしてサカモト博士の帰還という悲願達成すら忘れさられてしまった。今や彼らは島に引き篭って世界と関わりを絶っておる。だから・・・だからワシは何千年もかけて博士の居場所を何度も何度も計算して割り出そうとしたんじゃ。そしてもう少しでそれが終わる。だから殺さないでおくれ!」
ヒジリに縋る老婆を見てウメボシはハァと深いため息をついた。
「彼女がウメボシに提示した計算データはデタラメです、マスター。長い年月の間、独自の言語や計算法を生み出した可能性もありますが、ウメボシには壁に書きなぐった落書きのようにしか見えません」
「ではこの施設の情報収集の為にも彼女をリセットするか・・・。ナビシステムがこんなバグだらけでは困るからな」
「待って、ヒジリ」
イグナが闇が渦巻く瞳でヒジリを見る。
「このお婆さんにチャンスを与えてあげて・・・。かわいそう」
「イグナ・・・。彼女は司書であり、科学者のように計算をして座標を割り出すなんて事は出来ないようになっている。彼女の計算に信憑性は無いのだ。博士が戻って来れば蘇生して、過去の話や研究内容を聞ける貴重な機会ではあるが・・・。私は今すぐここの膨大な書物の内容やデータを出来るだけ正確に知りたい。そうなると今の彼女では無理なのだ」
少し離れた前方から芯のある低い声がイグナに賛同した。
「私からも頼む。星のオーガよ。この老婆に機会を・・・」
カツンとブーツを鳴らして吸魔鬼の始祖ダンティラスが歩み寄ってくる。
「彼女とは・・・ナビとはもう長い付き合いだ。永遠とも思える長い年月の中、このノームの老婆が博士の帰還を願うあまり狂っていった事は認める。だが、それはそれだけ主への思いが強いという事。どうか彼女を殺さないで欲しいのである」
「ふむ・・・」
ヒジリはいつもの癖で顎を擦って考える。
バグだらけの彼女をリセットしなかった場合、欲しい情報が瞬時に手に入らないだろう。或いは間違った情報を渡される。ナビと呼ばれた老婆と同じ業務をウメボシにやらせようか、いやそんな付け焼き刃でどうにかなる情報量ではない。いっそ地球にデータを送って情報を整理してもらうか?そうなれば情報提供する事となり、膨大なボランティアポイントが手に入るだろう。が、地球政府に対するアドバンテージや手札を減らす事にもなる。
「バグを除去出来ないのであれば・・・。彼女をどの程度まで修復出来る?ウメボシ」
「不可侵領域以外の半分といったところでしょうか?」
「司書の業務に支障がない程度まで直せそうか?」
「ギリギリですね。今後も支離滅裂な事を言うでしょうが・・・」
「よし、では彼女はこのままだ。リセットはしない」
それを聞いてイグナがニパっと笑う。
「ありがとう!ヒジリ!」
脚に抱きついていたシルビィをグイッと押しのけてイグナは抱きつく。
「お、おいぃ~・・・」
押し退けられたシルビィが不満げな声を出す。
「ヒジリ、優しいから好き!」
「私が優しい?それはどうかな?寧ろ今のはイグナの優しさだろう?」
ヒジリはイグナを抱き上げると頬にキスをした。イグナはくすぐったそうに笑って肩を竦める。
「あ、ズルい!私もキスをしてほしい!」
シルビィが両手を広げてピョンピョン跳ねる。
ヒジリは片手で抱き上げるとシルビィの頬にキスをした。
「デヒヒヒ(ああ、久しぶりのダーリン!)」
貴族らしからぬ笑い声を上げてヒジリの首に抱きつこうとするシルビィの頬をイグナがワンドで突いて押し返す。
「ちょっ!こら、イグナ!久々のダーリンなんだから抱きつくぐらいいいだろう!」
「駄目・・・」
ダンティラスもナビもポカンとしてその様子を見ている。
「いやはや・・・。サカモト博士は全くと言っていいほどモテなかったのに、彼は真逆であるな、ナビ」
「フェフェ。博士はスケベェな割に口説くのが下手じゃったからのう。ワシも何度か口説かれたが、あまりの口下手さにうんざりしたわい」
「な・・・なに?ナビは昔から老婆の姿をしておったはずだが・・・。(博士は何でもありだったのであるな・・・)」
ウメボシは、場がいつものゴチャゴチャした空気になりつつあると解って目が据わりだす。
(欲情した顔でマスターの脚にさり気なく腰を擦り付ける両性具有の大魔法使い。どちらが首に抱きつくかで争っている樹族国の大物貴族と闇魔女。・・・カオスです・・・マサムネ様。ここに貴方の嫌うカオスがあります・・・)
「と、冷静な第三者を気取ってみましたが、やっぱりウメボシもマスターにキスされたいです!二人とも!そこはウメボシの席ですよ!離れなさい!」
ウメボシ達がギャーギャーやっていると、書庫の闇に人の気配がする。
「なんだ?」
ヒジリが薄暗い書庫の中でガチャガチャと音のする方を見る。
すると闇の中から青い鎧のお化けが二体現れた。
一瞬イグナにはその鎧達がアンデッドであるリビングアーマーに見えたが、どうも理性があるように見える。
鎧のお化けの一匹が喋る。
「すみません、ヒジリさん。今回だけは僕は貴方の敵になる可能性があります」
その真面目そうな声と見覚えのある青い帝国鎧。胸には自由騎士の証であるグリフォンの紋章がついている。
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