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第十三章 黒髪少女の軌跡編
992話 管理
しおりを挟む家に帰ってきた。なんだか人ごみにつかれちゃったよー。
「ふぁあー、やっぱりわが家が一番だぁ」
「はは、エランにとってここがくつろげる場所になっているのなら、よかったよ」
ししょーは荷物をかたづけながら、笑っていた。私はそふぁーにだいぶ!
まだ一日しかたっていないのに、こんなことを言うのは変かなぁ?
でも、本当にそう思ってるんだもん!
「ししょー、まじゅつっていうの、私も使えるようになりたい!」
さっき町の中でつかったらしい、まじゅつというもの。
せいれいさんの力を借りて使えるもらしいけど、それってなんだかすっごく素敵じゃない!?
でもさっきのはむじかくってやつだったから、ちゃんと扱えるようになりたいんだ。
「そうか……エランも、魔術に興味が出ているってことなんだね!」
「うん!」
「……基本は、さっき教えた通りだ。魔術の基本は、魔力を知ることと……まあこれは、魔法にも同じくいえることなんだけどね」
「ふんふん」
「それに、精霊と心を通わせることが必須条件だ。その点を言うと、エランはすでに条件を満たしているんだよな……」
ほぉ……つまり、私はすごいってことかな!?
「精霊は、清い心を持つ人間を好むみたいだけど……エランは子供な分、心がきれいだから精霊に好かれやすいのはわかる。記憶がないって言うのは、言い方を変えれば他になにも邪念がないということ。ただ、エランが記憶を失う前から精霊と心を通わせていたから、その限りではないか……」
「……ししょーは、精霊さんとお話しできるんだよね?」
「私?」
私の話もいいけど、ししょーのお話も聞いてみたいな!
ししょーにも当然小さい頃はあったんだろうし、そういう話ちょうだい!
「私は……そうだな、昔から精霊と仲良くはしていたと思うよ。まあエルフ自体が、精霊に好かれやすい種族って言うのもあるんだけどね」
「へぇえ……確か、エルフって森のようせいって言われてるんだっけ」
「……そうだけど、どこでそんな知識を。記憶を失う前のエランは、結構博識だったのかな?」
エルフがそう呼ばれてるって……なんか、知ってたな。
そっかぁ、私ってばはくしきなんだなぁ。えへへへ。
それにしても、ししょーもまじゅつは使えるのか。
「私もまじゅつたくさんうちたい! 練習したい!」
「……エラン、先ほども言ったが魔術というのは、すごく疲れるんだ。本来一日に何度も撃てるものじゃないんだよ」
「そーなの?」
「そう。それだけでなく、魔術は制御も魔法以上に難しい。さっきは、空中に逃げた男を風属性の魔術で捕まえるに留めたから、複雑な制御は必要なかったみたいだけど」
……さっきの男、思い切りじめんにびたーんって打ちつけられていたけどな。せいぎょもなにもなかったけど。
まあ、悪い人だから別にいっか。
「いっぱいはうてないの?」
「……そもそも魔術は、規模が大きすぎるから迂闊に練習できるようなものでもないんだ。精神的にも、規模的にもね」
「そっかぁ」
それは残念だな。せいれいさんと仲良くできたら、それだけいっぱいうてると思っていたんだけどなぁ。
それから私はそふぁーに座り、足をぷらぷらさせる。
ししょーは、きっちんで料理をしているようだ。
「はい、エランお待たせ」
そして出てきたのは……お肉の丸焼きだった。
「ししょー?」
「……ほら、と子供はお肉が好きだろう?」
「さすがに連続はなぁ」
しかも丸焼きだし。
もしかして……
「ししょー、おりょうり苦手なの?」
「ぎくっ! ……そそ、そんなことは……」
うわぁ、目が泳ぐってこういうことを言うんだ。私初めて見た。
それにしても、ししょーってばおりょうり苦手なのか……なんか意外。でもそれとおんなじで、なんだか納得もする。
なんかししょーって……
「かんぺきそうに見えて、ちょっと抜けてそうだもんね」
「! そ、そんなことはないと思うが……」
「あ」
しまった、声に出てた。
でも本当のことだ、私はていせいはしないよ。
そう、ししょーは背が高くてかっこよくてびけーだけど、なんというか……中身が、あんまりかっこいい感じじゃない。
「よーし、決めた!」
私はお肉の丸焼きにかぶりつき、もぐもぐ食べながら一つ決めたことがある。
「き、決めたってなにを?」
「これから、料理は私が作るよ!」
「……え」
ししょーは、きょとんとしたひょうじょうを浮かべている。
ふふん、おどろいているようだねぇ。まさか私がそんな事を言うなんて思わなかったでしょう。
ししょーが料理がにがてなら、私がそれをおぎなってやるのさ!
それに、だ。
「家に置いてもらうなら、なにかしないとね」
「エラン……いや、エランがそこまで考える必要は。というか、別に私はなにかを求めてなんかいないよ?」
うーん、ししょーならそう言ってくれると思ったけど……
「どっちみち、毎食お肉の丸焼きはかんべんしてほしいんだよ」
「ぅ……いや、私だっていつもそればかりなわけじゃないさ。時には野菜を炒めたものとか、栄養面にも気を遣ってだね」
「そのへんの雑草とか食べてるんじゃないよね」
「……」
なぜそこで黙る。これはほんとに健康めんまでしんぱいになっちゃうじゃん。
これは……私が、やるしかないな!
ししょーの健康かんり、私がかんりしてあげる!
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