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第十三章 黒髪少女の軌跡編
1021話 家族
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……強くなろうと誓って、さらに月日が流れた。
私は魔力の使い方はよりうまくなったと思うし、魔術だって一発撃ったくらいじゃ倒れることもなくなった。
魔法、魔術……二つを使い分けたり、魔術を使う際の隙をなくす方法だっていくつか考えたり。
ただ魔力について考えるだけじゃなくて、どういう使い方をすればよりうまく扱えるようになるのか。そういったことも考えていると、時間がいくらあっても足りないくらいだ。
「ふぅ……」
今日も今日とて、魔法の練習だ。魔力は元々その人が持っているものに加えて、訓練することでその魔力量も増えていく。
ま、私はあまりそれは意識していない。ただただ、魔導が好きだから……いっぱい練習しているんだ。
師匠も時間がある時は、私の訓練に付き合ってくれたりする。やっぱり、一人でコツコツやるのと誰かが居てくれるのでは、違う。人間相手だと、いろいろ発見があって良い。
まあ、師匠以外の練習相手はモンスターや魔物しかいないんだけどね。
そういえば、あれ以来魔獣とは会っていない。本来なら、魔獣になってしまう前の魔物を倒すことで魔獣になることを防ぐけど、これまではいきなり魔獣が現れていた。
そういったことも、ないのだ。
「師匠は、原因はわからないままだって言ってたな」
師匠もその件について調べてくれているけど、原因はわからないままだ。
もっとも、いきなり魔獣が現れるなんて件があったら、もっと魔獣への危機感は上がっていただろう。
なんたって、あんなのがいきなり町中にでも現れたら。それだけで、下手したら町一つ壊滅してしまうだろう。
「エラン、今日も調子はよさそうだね」
「! 師匠!」
「魔力は、そのときの精神状態にも影響される。ケアはしっかりしておくんだよ」
「はーい」
師匠のところで、こうして魔導について学んでいく。それは私にとってとても幸せな時間だ。
師匠は、相変わらず私のことを調べてくれている。でも、相変わらず手がかりは見つからない。
自分のことがわからないまま、もう何年も過ごしている。でも、いいんだ。私にとっては、今の私が私で……師匠は、家族だから。
そうなると、師匠は……お兄さん、というには年が離れすぎているしなぁ。やっぱり、お父さん?
「それにしても、エランもすっかり大きくなったね」
「えっち」
「そういう意味じゃない」
自分で言っておいてなんだけど、確かに成長しているはずの身体の一部があまり成長していないのが悩みだったりする。
たまにベルザ国に行った時は、私と同い年くらいなのに私よりおっぱい大きい子それなりに見かけるのになぁ。
いや、別に気にしてないけどね? 悩みって言っても、別に……こ、これからだし!
「魔導も、かなり上達したみたいだし。おそらく、同年代の中でもかなりの使い手だと思うよ」
「! え、えぇ、なにさ急に師匠。そ、そんな褒めちゃって」
やだなぁ、師匠ったら。いきなり褒めてくるんだからもう。
べ、別に褒められたって私は……う、嬉しいけど!
今日の晩御飯は、師匠の好きなものを作ってあげよう。
「エラン」
「なあに、師匠」
「エランは、自分と同じく魔導を学ぶ子たちと、一緒に学びたいと思うかい?」
……師匠、どうしたんだろう。なんだかいつもより真剣な顔をしているような。
同じ立場の子たちと、魔導を学びたいか、か……
「うん、それ面白そう!」
「……そうか」
あ、もしかして師匠、私と同じくらいの子を連れてきて一緒に教えてくれたりするのかな。
もしそうだとしたら、それは実に楽しそうだ。
それから師匠は、また国に行ってしまったので、私は一人で魔導の練習をすることにする。
最近は、いい訓練方法を見つけたんだよね。
「その名も、分身訓練!」
分身魔法で、自分を二人にする。そして、自分対自分といった形で手合わせをするのだ。
分身した自分は、力はきっかり二分されている。なので、同じ力同士で戦うことができるのだ。
……ただ一つ、問題があるとすれば……
「はぁ、はぁ……お、おぇえええっ……」
これ……めっさ疲れるんだよねぇ。
分身した"自分"は、視界が共有されている。それはつまり、視界の中に二つの景色が同時に流れ込んでくるということ。
これは分身を増やせばその分、視界情報がめちゃめちゃになる。だから、なんとか二人までなら許容できたと思ったんだけど……
自分で自分を見つめて、そして自分に攻撃して自分から攻撃されて……魔法で攻撃して魔法で防いで、を繰り返す。攻撃が当たれば当然痛い。そりゃそうだ、分身してても私は私。どっちが攻撃を受けても痛いことに変わりはない。
なので……
「おぇえええ……」
なんていうか、酔う。すごい酔う。景色がごちゃごちゃになるし、魔力の操作やらなんやらもうわけわかんなくなる。
なので、これが訓練になるのか正直わからない。
「ふぅう……やっぱり、誰かと訓練したいよなぁ」
寝転がり、空を見る。師匠は、正直何回もやりすぎて、新鮮味がない。
さっき師匠が言っていた……それは面白そうで、私のためになるのだろうと思えることだった。
もし、そういう環境になるのだったら、私は……
「……もっと、強くなれるのかな」
……師匠から、魔導学園と言う場所の存在を聞いたのは、それから数日経ってのことだった。
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