史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます

白い彗星

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第十四章 他学年試合編

1042話 とても明るい子

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 かくかくしかじかちょもらんま


「……と、いうわけなんだよ」

 私は、マーチさんに話したのと同じ説明をノマちゃんとカゲくんにもする。
 フィルちゃんに昔のことを話す際に思い出したこと。今ノマちゃんの身体に異変が(多分)起こっている"魔人"という男と対峙したこと。

 ちなみにフィルちゃんは、少し離れたところで使い魔のもふもふと遊んでもらっている。

「なるほど……理解しました」

 説明を聞いたカゲくんはこくりとうなずいて、頭の中でいろいろと整理しているようだ。
 一方でノマちゃんは、むむむ……と難しい顔をしている。

「お嬢様の身体については、逐一注意して見ていましたが……これからは、いっそう注意を向けろということですね」

 この話がなくても、ノマちゃんは"魔死事件"で死んじゃうかもしれない目に遭ったんだ。
 心配なのは当然だろう。

「うん。同じクラスにも、事情を知っている人が居た方がいいからさ」

「お任せください。私はノマお嬢様に仕える者として、一切の異変を見落とさないと約束しましょう」

 おぉ、やっぱり頼もしいな。話してよかった。

 さて、ノマちゃんにとっては複雑な話だろう……本人はどう思っているんだろう。

「ノマちゃん、大丈夫?」

 自分が、異形の姿になってしまう可能性があるんだ。内心穏やかではいられないだろう。
 いくら普段から元気印のノマちゃんでも、今回ばかりは思うところがあるかもしれない。

 そう思って、私はノマちゃんの顔をそっと見つめて……

「ふむふむですわ。わかりましたわ……」

「ノマちゃん、私がこう言うのもあれだけど、あんまり気にしたらだめだよ! きっと大丈夫だから……」

「えぇ、大丈夫ですわ!」

 するとノマちゃんは、その大きな胸をどんと張ってえっへんと鼻の穴を膨らませていた。
 予想していたどれとも違う反応に、私は開いた口が塞がらない。

 な、なんか全然平気そうだ?

「の、ノマちゃん……えっと、私が言ったこと理解できた?」

「もちろんですわ! わたくしも異形の姿に変貌してしまう……というものでしょう? ですがその話自体は、以前からわかっていたことではありませんか」

「そ、それはそうだけど……」

「それに、フィールドさんが言ったんですのよ。その男は異形の姿になったけど、言葉は通じた……つまり自我があると」

 確かに、そうだ。まあ言葉が通じたとは言っても、会話ができたわけではないけど。
 ただ、こちらの言葉を理解した上で、無視しているようにも思えた。ということは、こちらの言葉を理解した上で無視する知能があるってこと。

 それが、自我があるってことじゃないか。

「だとするなら、わたくしの強い意思で力を抑え込んでしまえばいいのですわ!」

 続けてノマちゃんは、どんと言い切った。

「強い、意思で……」

「えぇ。わたくし心配していたことがあるとすれば、異形の姿になってしまったら自我もなくなってしまうのではないかということ。
 ですが、そうでないならわたくしの強い意思で抑え込めますわ! なぜならわたくしですから!」

「よっ、お嬢様! まったく根拠のない自信さすがです!」

 どやっと笑っているノマちゃんに、その姿に拍手をするカゲくん。
 その堂々とした姿を褒めたたえている……ように見えたけど、これディスってない?

 まあ、本人は気にしてないようだからいいけど……

「……まったく」

 つい、笑みがこぼれてしまう。

 カゲくんの言うように、まったく根拠のない自信。意思で抑え込めるなんて、そんなの願望だ。
 それに、今の話だって私が思い出しただけの話。そのとき会った"魔人"の話をしただけなのに。

 私の話っていう根拠のない根拠だけで、こんなにも自信満々なんて。
 なんか……ノマちゃんらしいな。

「あははっ、そうだね。きっと大丈夫だよね」

「ですわっ」

 もしかして、ノマちゃんが今日まで平穏に過ごせているのは……この超がつくほどに前向きな性格のおかげなのかもしれないな。

 病は気からって言葉もあるし。もちろんこれが病気と同じものだとは思ってないけど。
 魔導だって、本人のコンディションによりその扱い方が左右されるんだし。気の持ち方って、実はとても大事なんだ。

 そういえば、ノマちゃんが本気で落ち込んだり怒ったところ見たことがないもんな。その明るさに、私が救われることだってある。
 私尾友達の中で、一番明るい子じゃないだろうか。唯一の弱みは高い所がだめってとこだけど、それも明るさとは関係ないし。

「さて……それでは、私はそろそろお暇しましょうか」

 話も一段落したところで、カゲくんが立ち上がる。
 話を始めたときにすでに暗かったのに、そこからまたしばらく話してしまったもんな。もう時間もかなり遅くなっている。

 この時間からこっそり男子寮に帰るのは、さすがに大変そうだけど……

「では、お嬢様、エラン様。私はこれで失礼します」

「えぇ。わざわざありがとう」

「えー、カゲちゃん帰っちゃうのー?」

 とことこと歩いてきたフィルちゃんが、カゲくんの足に抱き着く。
 てかカゲちゃん!? いつの間にそんな呼び方を!?

「また会いに来ますよ」

 そんなことを言いながら、フィルちゃんの頭を軽く撫でてやるカゲくん。
 もしかして私が知らない間も、ちょくちょくこの部屋に来てるんじゃないだろうな。

 その後フィルちゃんを落ち着かせたカゲくんは、普通に部屋から出ていった。外を見ると、すでに誰も居なかった。
 やっぱり忍者みたいな子だな……
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