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第十四章 他学年試合編
1043話 試合前日の日
しおりを挟む……他学年試合に向けて、使い魔との交流を深めたりと着々と準備を進めていく。そんな日々を送っていると、時間というのはあっという間に流れていくもので。
「さて……ついに明日は、他学年試合当日だ」
教卓に立つサテラン先生が言う。その言葉に、クラスのみんなの反応は様々だ。
ワクワクしている子もいれば、緊張をあらわにしている子もいる。どっしり構えている子も。
ダルマスや筋肉男が、まさにそれだ。
「明日かぁ」
そして私は、ワクワクタイプ。ついに来たこの日に、高鳴る胸を抑えきれない。
明日となると、さすがに実感がわいてくる。それに、学校全体がちょっとざわざわしている気もする。
思いを馳せているのはなにも、私たちだけじゃないのだ。
廊下ですれ違う上級生だって、いつもと違った感じがするのだ。
「明日に備えて、お前たちは準備をしてきた。その力を、存分にぶつけてやれ」
にっ、と先生は笑う。私たちが頑張ってきた姿を一番近くで見てきたんだ。
他のクラスの子も同様に準備してきただろうけど、私たちだって負けてない!
……ちなみにこの数日の間、ノマちゃんはいつも通りだった。カゲくんにも協力を依頼して、彼から状況を聞く機会も増えた。
ただ……
『エラン様、本日の報告を』
『わひぁあ!?』
……一人の時にいきなり背後から現れるのは、やめてほしい。
気を張っていてもカゲくんは気配がわかりづらいのに、油断しているところに現れると心臓に悪い。
クラスでのノマちゃんの様子を伝えてくれるのはありがたいんだけどさ。
『ご心配なく。ノマお嬢様の平常時の心拍数、血圧、脈の動き、さらには体型に至るまで、全て把握しております。異変があればすぐにわかります』
そう言ってくれたときは、さすがにちょっとキモかった。カゲくんの恋愛対象が男で、女に興味はないとしてもなかなかにアウトだろう。
……とまあ、ノマちゃんは普段通りってことだ。
他にも、体調を崩したりした子はいない。みんな、万全に整えている。
「では、改めて他学年試合の動きを説明する。試合では、クラス対抗の勝ち抜き戦となっている。一年生四クラス、二年生四クラス、三年生四クラス……これらが、勝ち抜き式に試合をする」
合計で十二クラスか……結構あるな。
とはいっても、一つのクラスが別々のクラスとそれぞれ試合をするわけじゃないんだ。あくまでクラスの勝ち抜き戦だもん。
私としては、全部のクラスとぶつかってみたい気持ちもあるけど。
「どのクラスと当たるのかは、事前にはわからないんですか?」
「あぁ、試合で当たるクラスは当日……試合直前に発表する。発表とは言っても、決めるのはくじでだ。我々が決めているわけではない」
なるほど。どのクラスと試合をするのか、それは当日のその時になるまでわからない。
決めるのも、くじだから確かにこれは公平性がある。
もし知っていれば、そのクラスだけに集中して対策を考える……なんてこともできるもんね。
学校の行事とは言え、事前にわかって対策ではなくいきなりのことにも対応できる力を育てたいのだろう。
「あれ、ということは一年生同士が当たることもあるってことですか?」
「あぁ、そうなる」
あ、そうか……くじで決めるなら、同じ学年が試合になることもあるのか。
他の学年としか試合ができないようなシステムも考えたのだろうけど、いろいろややこしそうだ。ここは、他の学年と当たる可能性を願おう。
……てことは、勝ち続ければ……どれだけのクラスと試合ができるんだ?
「しかし先生、全十二クラスだと、最終的に勝ち上がるのは三クラスになるのでは?」
「それも問題はない。決勝は……三つのクラスで総当たり戦をやってもらう」
わぉ、それは大胆な編成だ。
でも、それもまた面白いかも! 三つのクラス入り乱れてかぁ。
それは、おそらく歴代もそうしてきたのだろう。
「試合の日程は、二日に分けて行う。二日目に決勝、見学は自由とする」
試合は日にちを分けるのか。まあ、立て続けにやるのは疲労もたまってるだろしね。
どうせやるなら、万全の状態で決勝にのぞみたいし!
当日まで試合相手がわからないというのも、また良き! ワクワクが止まらねえぜ!
「それとフィールド。お前の黒竜についてだが……」
「ごくり」
「別に制限などは設けていない。なので、気にせず暴れていいぞ」
先生が私を見て、言う。
他学年試合に際して、私の使い魔……つまりクロガネの扱いをどうするかは一つの悩みだったみたいだ。
なんせ、あまりに強大すぎるから。
なのでもしかしたら、クロガネを出しちゃいけないと言われるかもしれないと思ってた。
そんな事になってたら、私はどうしていたかわからないけどね。
「これは他の教師と話し合い、生徒たちの意見を確認した上での判断だ」
「生徒たち?」
「あぁ、他のクラス、学年のな。お前が黒竜を使うことに対する反応……そのほとんどが、全力のお前と戦ってみたい、だったよ」
腕を組み、そのことを思い出しているのかうっすらと笑っている先生。
そっか、みんながそんなことを思ってくれているのか。
これは、その気持ちには全力で応えたいよね!
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