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第十四章 他学年試合編
1048話 どこが手合わせだ
しおりを挟む「ふぁあ……はぁ、はぁ」
私も、もう限界だ。魔力出し尽くした。
力が抜けて後ろに倒れる。だけど、次に来ると思ってた硬い地面にぶつかる痛みは来ない。
誰かに抱きとめられている。それがわかって、私はゆっくり首を動かした。
「あ、クレアちゃん」
「あ、じゃないわよあ、じゃ」
そこにいたのは、クレアちゃんだった。私が倒れてしまう前に、後ろから抱きとめてくれた。
というか、今膝枕されてるぅ。
クレアちゃんは呆れたような表情を浮かべている。
「まったく、どこか手合わせよ。あんな本気の本気」
「あははは……ていうか、みんな見てたんだ?」
「あんなん近くでやられて、自分のことに集中なんてできないわよ」
今は自習の時間だから、みんなが訓練所に来ているわけではない。それでも、半分近くはここに来ている。
そのみんなも、こちらをじっと見ていた。
あぁ、全然気づかなかったよ。道理で、途中から周りの気配がなくなったわけだ。
目の前のことに集中していたからだけではなかったみたいだ。
「だ、ダルマスは……? 死んでないよね?」
「勝手に殺すな」
首を動かすと、ダルマスもまた仰向けになって寝転がっていた。
二人とも全力の全力まで出し尽くしたもんなぁ。
「初めて決闘したときは私のパンチで気絶してたのに、ずいぶん成長したじゃん」
「言ってろ」
そのときのことを思い出して、クスクスと笑ってしまう。
強くなったのは私だけ……なんてことは思ってもないけど、私が思ってた以上にダルマスも成長していた。
きっと、私との訓練以外でもいろんなことをやっていたのだろう。私が知らないところでも、
「お前たちー!」
すると、広い室内に大きな声が響いた。こんなにも広いから、声は反響している。
私は声の方向に首を向ける。多分みんなもだ。
すると、入り口にはサテラン先生が立っていた。
「あ、先生」
「あ、先生、じゃない! なにをしているんだお前たちは……」
ズカズカと足を進め、近くまで来てから立ち止まる。腰に手を当て、その表情は少しムスッとしているように見える。
「いやぁ、先生自由な時間にしていいって言ってたから。ダルマスと少し、手合わせをね……」
「これのどこが手合わせだ!」
先生、どこから見てたんだろう。
「あ、その下りもうクレアちゃんでやったんで」
「なんの話だ!」
それから私とダルマスは、説教を受けることになってしまった。動けないままなので、寝転がったまま。
膝枕をしているためこの場から動けないクレアちゃんには、付き合わせることになり大変申し訳ないことをした。
一応、私としても「自習なんだからなにしてもいいじゃないですか」と反論はしてみた。すると……
「限度がある」
と一喝されてしまった。
まあ考えてみれば、あれは手合わせというには、だいぶハッスルしすぎてしまったような気がしないでもない。
まるでカゼルさんのときみたいだ。
明日の最終調整……のつもりが、ついつい熱が入ってしまった。
「まったく……明日に備えて魔力を蓄えるなり、多少訓練するなら、ともかく、どこに魔力が尽きるまで殴り合うバカがいるんだ」
先生は呆れたように、ため息を漏らした。額に手を当てている、頭が痛そうだ。
ごめんなさいねぇ、バカ一号で。
確かに今、魔力はかなり消費されてしまった。でも、大丈夫。
「問題ないですよ。明日までにゆっくり休んでいっぱいご飯を食べれば、寝て起きた頃にはもう魔力まんまん……あ、満タンですよ」
「お前が大丈夫でもダルマスはそうはいかんだろう」
ぐっ、と親指を立てて大丈夫アピールをするのだけど、心配されているのは私よりダルマスだった。
ダルマスももうほとんど魔力使っちゃったもんねぇ。明日までに全回復するのか。
そんなことを考えていると、ダルマスが「問題ありません」と返していた。
「フィザード……俺の使い魔不死鳥なら、俺の尽きた魔力を回復させることも可能です」
お、使い魔の存在か! ダルマスの使い魔不死鳥は、傷は治してくれるとわかっていたけど、まさか魔力の回復までできるなんて!
……って、それって使い魔の力を使うってことだよね。ダルマスのやつ、使い魔の力を使えるようになったのか。
最初は言うことを聞いてくれなくて、苦労していたみたいだけど……キリアちゃんと二人で言うことを聞かない使い魔同士、いろいろやってたみたいだしな。
そうだ、キリアちゃんにダルマスとの仲が進展したのか聞いてみよう。ししし。
今回の手合わせでは、お互いに使い魔は使っていなかったけど……
「今度は使い魔も使用可で勝負しようよ!」
「望むところだ。互いに、まだ全力ではなかったからな」
「……この二人は……!」
私とダルマスの新たな約束に、先生は頭を抱えていた。
そんなこんなで他のみんなはそれぞれ自分の時間を過ごしていき、私たちはそれをぼーっと見ていた。
「ごめんねクレアちゃん。でも、私のことは放っておいてもいいんだよ?」
クレアちゃんは、私に膝枕をしているせいで動けない。
ありがたいけど、申し訳ないなども思うわけだ。
「いいわよ別に。ちょっと休憩しようと思ってたしね」
「……そっか」
私も回復するまで、しばらくこうしてようっと。
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