1,068 / 1,198
第十四章 他学年試合編
1055話 好きに暴れてやれ
しおりを挟む放たれる、魔術。いくつかあに分かれたうちの一つから、強大な魔力の震えを感じた。
そして上空から、巨大な岩が……隕石が落下してくる。あれは、火と土の属性を混ぜたものだ!
それは、衝突すれば私たちはもろともにやられてしまうだろう一撃。あんなもの、魔法じゃ太刀打ちできない。
「なら……」
「ちょっと待った!」
魔術を放つ……そうやって構えようとしたところに、待っての声がかかる。そして、私の前に人影が。
それは、クレアちゃんの後ろ姿。いや、クレアちゃんだけじゃない。
その横に、ロリアちゃん、ユージアちゃん、シルメィちゃん。お茶会の常連メンバーだ。
四人は、降ってくる隕石に向かって魔導の杖を向けた。
「向こうは上級生、何人が魔術を使えるかはわからない」
「だからエランさんは、温存していてください」
「私たちだって、やれるんですから」
こっちは、魔術を使えるのは私くらいだ。魔術並みの魔導を使えるダルマスは、突っ込んでいってしまっているし。
対して二年生は、他にも魔術を使える人がいるかもしれない。
そういった意味でも、私の力は温存するべきだと。魔術は一発撃つだけでもかなり消耗するのだから。
正直な話、私は魔術なら一発と言わずもっと撃てるし、みんなもそれは知っているだろう。
それを知った上で、みんな自分に任せてくれと言ってくれている。
「わかった」
「ここは任せて、好きに暴れちゃいなさい。どうせもう暴れたくて仕方ないんでしょ」
「そんな人を戦闘狂みたいに」
クレアちゃんの軽口を受けて、けれど小さくうなずいて……私は、駆け出した。
ちらりと後ろを振り返ると、クレアちゃんたちは放った魔法を隕石にぶつけている。
魔法じゃ魔術には敵わない。でも、それは一対一の話だ。
一発の魔術に対して数で応戦すれば、その限りではない。
それに……みんな、成長している。魔法でも魔術に対抗できるくらいに。
そうだよね、それはわかってるんだから……みんなを信じて後ろは任せよう!
「来たぞ、狂犬の一年生だ!」
「近づけるな、食われるぞ!」
迫る私を見た二年生が、口々に叫ぶ。上級生にも私どんな扱いなのか!?
まあ、いいや。言いたいことは言わせておこう……それに、私が突っ込めば二年生の注意は私に向くし、みんなへの負担も減るはずだ。
なら、存分に暴れてやる!
「えいやぁ!」
魔導の杖を振り、右へ左へと氷の槍をぶっ放す。それらは撃ち返されたり防がれたりしているけど、みんなの注意がこっちに向いた。
その隙をついて、後ろからはクラスのみんなが魔法攻撃を仕掛ける。どうやら、隕石の魔術も対処できたみたいだ。
このまま、押し切っていけば……
「グルルォオ!」
「おわっ!」
けれど、そう簡単にはいかない。二年生の使い魔が、私の周りを取り囲む。その数五体。
四足歩行のモンスターや、飛んでいるモンスターもいる。私と一定の距離を保ち、なにかあれば反応できる距離だ。
私の動きを制限しているうちに、他のみんなを……ってことか。私が単身突っ込んでくるのも、読んでいたみたいだ。
これを読んでいたってことは……
「やっぱ先輩かなぁ」
多分、シルフィ先輩だろう。その先輩の姿は見失ってしまったけど、二年生の中で一番付き合いがあるのは先輩。
私のことをよく知っている。私の性格も。
ただ、こんなのじゃ私は止められないよ!
「ほっ」
囲まれても、私はまずは浮遊魔法でジャンプ。包囲網を抜ける。とはいえ、飛べる使い魔二体が私を追ってくる。
けれど……私は身体強化の魔法で脚を強化。空中を強く速く蹴り、移動速度を上げる。使い魔を振り切り、このまま二年生に突撃して……
「そう来ると思った」
「!」
けれど横から声が聞こえた。シルフィ先輩だ。
どこに姿を隠していたのかはわからないけど、急に現れるなんて。私は咄嗟に身体を捻って、距離を取る。
ただ、なぜかシルフィ先輩は私にぴったりくっついてくるのだ。
「なになになに!?」
「お前を自由にさせたら、なにをするかわからないからな。距離も取らせん」
私と付かず離れず、一定の距離を保ちついてくる。私のこと警戒しすぎじゃない!?
使い魔で私を囲ったのも、敢えて空中に誘い込むためか……なんか私の考えを見透かされてるみたいだ。
「先輩ってば、そんなに私のこと見てくれてたなんて。照れるなぁ」
「そんな挑発には乗らん」
……ちっ、だめか。普段ならば結構ノリがいいのに、やっぱり試合ともなると普段とは違うな。
先輩が離れないなら……この場で先輩を倒すしかないか。
「ふっ」
「!」
私が考えを決めた瞬間、血の雨が飛んでくる。魔力防壁が通用しないことはわかっているので、猛スピードでかわし切るしかない。
でも、どういうわけか血の雨は私を追いかけてくるのだ。
「言っただろう、血を操る力だと」
……ってことは、私を追尾してくるのも血を操るって範疇に入っているのか。厄介だなぁ!
防壁が通用しないなら、真正面から打ち砕いてやる! 魔力に影響されなくても、攻撃で押しつぶすことはできるでしょ!
私は火をイメージし、その弾を血の雨へとぶつける。
血の雨は、火に燃やしつくされる……と思ったのだけど、なんと血の雨は火を貫通して向かってくるではないか。
「これもだめ!?」
あくまで魔力で生成したものは通用しないってことかよ、ちくしょう!
でも、火の玉は先輩を狙っているはずだし……あれ、先輩いない。
「お前は周りが見えなくなることが、多々あるな」
「!」
いつの間にか背後にいたシルフィ先輩が……私の腕に、触れた。
吸血鬼は、血を操る……そう、言ってたけど。まさかそれって、自分以外の血もってことなんじゃ……!?
11
あなたにおすすめの小説
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
テーラーボーイ 神様からもらった裁縫ギフト
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はアレク
両親は村を守る為に死んでしまった
一人になった僕は幼馴染のシーナの家に引き取られて今に至る
シーナの両親はとてもいい人で強かったんだ。僕の両親と一緒に村を守ってくれたらしい
すくすくと育った僕とシーナは成人、15歳になり、神様からギフトをもらうこととなった。
神様、フェイブルファイア様は僕の両親のした事に感謝していて、僕にだけ特別なギフトを用意してくれたんだってさ。
そのギフトが裁縫ギフト、色々な職業の良い所を服や装飾品につけられるんだってさ。何だか楽しそう。
追放された公爵令嬢はモフモフ精霊と契約し、山でスローライフを満喫しようとするが、追放の真相を知り復讐を開始する
もぐすけ
恋愛
リッチモンド公爵家で発生した火災により、当主夫妻が焼死した。家督の第一継承者である長女のグレースは、失意のなか、リチャードという調査官にはめられ、火事の原因を作り出したことにされてしまった。その結果、家督を叔母に奪われ、王子との婚約も破棄され、山に追放になってしまう。
だが、山に行く前に教会で16歳の精霊儀式を行ったところ、最強の妖精がグレースに降下し、グレースの運命は上向いて行く
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
無能と蔑まれ敵国に送られた私、故郷の料理を振る舞ったら『食の聖女』と呼ばれ皇帝陛下に溺愛されています~今さら返せと言われても、もう遅いです!
夏見ナイ
恋愛
リンドブルム王国の第二王女アリアは、魔力を持たない『無能』として家族に虐げられ、厄介払いとして敵国ガルディナ帝国へ人質に送られる。死を覚悟した彼女だが、あまりに不味い帝国の食事に耐えかね、前世の記憶を頼りに自ら厨房に立つことを決意する。
彼女が作った温かい家庭料理は、偶然離宮を訪れた『氷の皇帝』レオンハルトの孤独な心を癒していく。やがてその味は堅物騎士団長や宰相をも虜にし、食べた者を癒す奇跡から『食の聖女』と讃えられるように。
価値を知った故郷が「返せ」と言ってきたが、もう遅い!
これは、料理で運命を切り開き、最強皇帝から世界一甘く溺愛される、美味しい逆転シンデレラストーリー。
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました
久遠 れんり
ファンタジー
別の世界からの侵略を機に地球にばらまかれた魔素、元々なかった魔素の影響を受け徐々に人間は進化をする。
魔法が使えるようになった人類。
侵略者の想像を超え人類は魔改造されていく。
カクヨム公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる